「陸軍中野学校 竜三号指令」



陸軍中野学校 竜三号指令 (1967年 大映 監督:田中徳三 主演:市川雷蔵加東大介、安田道代、松尾嘉代、仲村隆 他)
陸軍中野学校のシリーズ三作目。今回も基本路線は同じですが、ストーリーがより複雑でスパイものらしくなっています。市川雷蔵演じる椎名次郎と加東大介演じる草薙中尉の二人、そのキャラクターに安心感を覚えるのはすっかりファンになった証拠か(笑)あらすじとしては、中国との和平交渉に向かった一行が襲撃され殺されてしまい、草薙中尉の命令で椎名が派遣されます。中国を舞台に軍司令部内、親日派、強硬派、様々な登場人物が疑いの視点でマークされ、様々な証拠を掴み、事件の真相に近づいていきます。ちょっと略しすぎですが、こういうストーリーは言葉にすると面白みが半減するのです。今回も中野学校の同期である杉本が登場します。敵に囚われた杉本を救出するところで、椎名中尉(前作の終わりで少尉から中尉に昇格)がタバコでモールス信号を送るところが面白い。椎名と杉本のコンビは捕虜になった日本人を助け出し、逃げ出すのですが、途中で杉本が銃で撃たれ、椎名達を救うために自ら地雷に飛び込み死んでしまう。椎名と杉本のコンビが結構好きだったので、とても残念です。今回のヒロインは安田道代。安田道代と言えば、「氷点」を見たときにも思いましたが、やはり「痴人の愛」とのギャップが堪りません。今回の役柄も清純でキュートです。そう考えると「痴人の愛」のナオミ役の衝撃度は大きかったのではないか。と想像します。そして悪役で登場する松尾嘉代も大人の色気があって素敵。今回も様々なスパイの道具が登場しますが、ちょっと地味なものが多い。いろんなところから小さいナイフを取り出しますが、それが大活躍で、意外とナイフって便利だな、と思ったりします。いやあ、今回も面白かったです。