「兵隊やくざ」



兵隊やくざ (1965年 大映 監督:増村保造 主演:勝新太郎田村高廣、滝瑛子、淡路恵子成田三樹夫早川雄三 他)
有田頼義の「貫三郎一代」を映画化したもので、「座頭市」で有名な勝新太郎のこれも代表作。シリーズ化されており、全9作ある。1作目は増村保造監督。第二次世界大戦中の昭和18年満州が舞台。関東軍勝新太郎演じる大宮貴三郎が入隊してくる。大宮はやくざの用心棒をやっていた男でとにかく強い。大宮の指導係に任命されたのが、田村高廣演じる有田三年兵。有田は幹部候補の試験をわざと落第し、満期除隊が近づき、一日も早く東京に帰りたいと願っていた。我が道を行く大宮は規律の厳しい軍隊の中で、多くの先輩に目をつけられ、トラブルを多発する。有田は常に大宮をフォローし、いつしか大宮は有田に恩を感じ、有田も大宮を可愛く感じる。戦況が悪化して大宮は前線に行くことになるが、わざと無断外出して規則を破りそれを逃れた。しかし、ついに有田も大宮も前線に行くことになる。そこで大宮は有田に恩返しとばかりに・・・という話。前知識が無く、タイトルだけ見るとイマイチな気がして、あまり期待していなかったのですが、これがどうして、メチャ面白い。まず勝新太郎がとてもハマり役。暴力的で奔放で馬鹿と思いきや知恵もあり、憎めない存在。これは大宮という役柄ではあるが、勝新太郎という役者自身の持つ魅力との相乗効果に思える。そして指導役である有田のキャラも素晴らしい。二人のやりとりや行動、話の展開から、これは戦争ドキュメントではなく、エンターテイメント的な作品であると感じた。コメディに近い気もする。大宮と有田の二人の関係がとても良いし、ストーリー展開もわかり易い。暴力的な描写がとても多くてリアルなところも流れを引き締める。これは傑作だと思う。