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辺境の偏屈屋の日記

2011-05-16

避難所生活にも限界が

東日本大震災後、一時構造用合板の仕入れができない時期がありました。私の廻りの建材業者や建設会社も入荷しないと困っていましたが、現在は解消したようです。
構造用合板は住宅の壁下地、床下地に使われる、厚さ9ミリから30ミリ程の合板です。

この原因は、国内で合板の約3割弱のシェアを持っていた東北沿岸の合板工場が被災したのを始め、日本合板工業組合に加盟している6社が被災した影響でした。

合板が無いと言っていた時期でも、構造用合板に代替できるOSB(Oriented Strand Board:繊維方向に薄くカットし木片を一定の方向性を持たせて積層し接着したボード)という構造用パネルは供給できていました。
OSBは湿気に若干弱い面がありますが、建築物で使用する際に風雨にさらすことはありませんので、特に問題はありません。敬遠する人もいますが、強度面等機能面では合板と遜色ありません。

さて、この合板に関して、供給力不足を懸念した政府が緊急輸入する旨言及しましたが、合板業界は品不足はありえず、過剰に発注を掛けているために品不足のように見えているだけと主張していました。

しかし、ユーザー側としては仕入れできない時期がありましたので、現実に供給は滞っていたのですが、後から過剰に在庫を抱え込んでいた建材屋等のことを耳にすることもあり、業界の主張も正しいように思えます。

もともと、リーマンショック以降住宅着工件数は大きく落ち込みました。恐らく合板も国内では生産調整及び海外製品の輸入調整を行って対応していた筈です。
その後、住宅エコポイント制度の後押しがあって、それなりに需要の喚起はありましたが、リーマンショック以前には戻っていません。

アメリカでも、サブプライムローンの破綻から住宅着工件数は2006年より大きく落ち込んでいます。それでも最近は持ち直してきているようですが、水準としては大きく割り込んだ状態です。
構造用合板は日本国内生産よりも海外からの輸入量の方が若干多い状況です。海外製品の輸入量を拡大する必要があるとしても、わざわざ政府がアナウンスするほどのものでなく、商社サイドで日常的な業務の範囲で数量調整できる程度のものと考えます。日本のメーカーも休みなく増産体制を敷いている状況です。


当時も言われていましたが、政府は仮設住宅6万戸を建設するために、資材不足に対して過剰反応をしていたと思われます。
仮設住宅の構造用合板でしたら、供給に不安のなかったOSBでも十分でしたし、そもそも仮設住宅用の構造用合板の使用量は知れています。

仮設住宅建設の状況は今でも遅々としているようですが、当時も仮設住宅の建設がはかどらないことに、被災地の方々、野党、国民から不満の声がでていました。建設用地の確保が進んでいないこともありますが、政府がこうした批判をかわすため、政府の努力の範疇以外で、できない理由(外部要因)を求めたいために、合板の供給不足をことさらアピールしたかったのではないか見る向きもありましたが、そんなところかもしれないと思います。


建設地に関しても、各地で候補地は上がってきていても、そこから先の意思決定が進まないという話を耳にします。
今後の街づくりとの関連も考えれば、即決とはいかないでしょうが、とにかく、今現在落ち着いて住む所がないのです。復興後の将来像(街)との調和などを考えていたら、いつまで経っても進みませんので、津波の被害は免れそうな安全な場所で、給水、排水、電気の引き込み等が可能な場所で、ある程度の集落ができる規模の場所であれば、どんどん建設していかないと、8月どころか、年も越せなくなりかねません。


政府からも復興の街づくり案が出ていたかに思いますが(首相案だったかもしれませんが)、政府案は恣意的に打ち上げ花火を上げていて、例えば、速攻で地元との新たな街づくりのコンセンサスを得て、整備にかかる、援助を行う等が行われているのかと、裏付けのない打ち上げ花火を見る都度不安になります。
最近は不安を通り越して、ウンザリとした気分になります。

街づくり案など一つの町村に何十パターンもあるわけでもないでしょうし、大概は出尽くしているので、ことさら時間を掛けたからといって、名案が出るものでもないと思います。それに、都市計画は行政の重要な仕事です。地元が動きやすいように、国にはバックアップしてもらいたいです。
落ち着いて暮らす場所のない方が多い現状では、街づくりの理想など言っている間に、仮設住宅を1戸でも多く供給してあげなければいけません。

対応が遅いと、民間の賃貸住宅を求めて他所の地に移り、他所の地で仕事を探そうとする方々が多くなるでしょう。地元の復興には働き盛りの方々が地元で働き、生活を営むことが欠かせません。
地元に落ち着いて住む場所がなければ、若者・壮年者は地元を去り、他所で仕事を求めます。残った方はお年寄りがほとんどとなる可能性があります。お年寄りしか残らなくなった地元は、お年寄りにとっても暮らしにくい寂しい街になってしまいます。仮設住宅は当初予定よりも少なくて済むようになり、建設費が少なくて済みますが、街の復興は失敗になる恐れが大きくなります。


地方が血を流せば、それは国の痛みにもなります。神経回路が無駄に長かったりして、すぐには国が痛みを感じないかもしれませんが、早晩ダメージが出てきます。


地元に手を貸すと財政援助しなければならなくなるので、いつでも縁が切れるように距離を取っているように、政府の姿勢が見えてしまいます。