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2012-02-10

iPad以前とiPad以後

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5年程先から今を振り返ったなら、このいち二年がiPad以前とiPad以後というくくりで捉える時期であったのだな、と皆が思うに違いない。

Canalysが最近発表したsmartphoneとclientPCの出荷台数を比較したデータは、興味深い内容である。

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2011年smartphoneの出荷台数は、ついにclientPCを抜いた。
smartphoneの出荷台数は、4億8千8百万台。一方clientPCの出荷台数は、4億1千5百万台だ。まさに、mobile全盛の時代を迎えようとしている。

この発表記事の中かで、さらに興味深いことは、pad(=tablet)の出荷台数である。2011年Q4のDesktopPCの出荷台数は2千9百万台。一方tabletの出荷台数は、2千6百万台を越えた。2011年を通すと、まだDesktopPCの出荷台数はtabletの出荷台数を上回っているが、tabletがDesktopPCの出荷台数を追い抜くのは時間の問題であろう。

tabletは、なぜここまで急速に普及し始めたのだろうか。
iPad登場以前にも、tabletの市場は存在していた。
コンビニに行くと、時たま店員さんがオーダ発注用のtabletを手に持っている。居酒屋に行くと、メニューのオーダ用にtabletがおかれたりもしている。コンビニの店舗に行くとチケット販売用のKIOSK端末が置かれている。KIOSK端末のあの入力操作用の画面は、広い意味でtabletでもある。そうなると、駅の切符販売機の入力操作用の画面もtabletである。
意外と身近かなところにtabletは存在していたのである。ただ、多くは特定の業務に特化した、専用のtabletであった。

それでは、今なぜtabletが爆発的に普及し始めたのだろうか。

もともと、tabletは、そのユーザインターフェイスの容易性が評価されていた。
とにかく、タッチを繰り返すだけで目的の業務を完遂できるのだ。
ユーザが目的を完遂するのに、タッチのみでできるという容易性が、PCとは全く異なっていたのである。
ただ、PCと比べて劣るのは、タッチのみでの操作とうい容易性と裏腹の関係になるが、特定の用途向けに特化されているという汎用性のなさにある。

iPadはこの壁を打ち壊したのである。iPadは、この壁を打ち壊し、特定用途ではなく、どの様な用途にも変化を遂げるデバイスtabletを蘇らせたのだ。

ただそれを実現する為には、いくつかの技術的な要素が揃わないければならない。
思うに、その技術的要素とは、次の3つであろう。
まずは、マルチタッチというUI技術。次は、低消費電力を常に目指してきたARMのCPU性能の向上。3点目は、無線通信インフラの整備を基盤としたインターネットの普及。(これにはクラウド化も含まれる。)
この3つの技術の発展が渾然一体となって、今のiPadを代表とするtabletの認知と市場が拡大する下地が出来上がったのである。

まずは、マルチタッチとうUIは、従来のtabletの基本操作でもある、tabletの画面に表示された選択ボタンを押して業務を遂行することから、PCのインターフェイスであるKBとマウスの機能を表示画面上に取り込んでしまった。また、スワイプやピンチや複数本の指のジェスチャー機能により、KBやマウス以上のユーザフレンドリーなインターフェイスを実現してしまったのである。

tabletというカテゴリは、人間が机の前に座って操作するのではなく、人間があっちこっち動き回っている間も操作できるデバイスなのである。そのため、バッテリー駆動が基本だ。バッテリー駆動できるためには、CPUは消費電力が低くないといけない。CPUの消費電力を落とすには、単純にいえば、CPUの動作周波数を落とせば良い。ただ、CPUの動作周波数を落とせば、当然処理能力が落ちる。処理能力が落ちれば、実現できるアプリにも限界がある。
tabletは、この消費電力の低減とCPU性能の確保のせめぎ合いでもあるのだ。
ただここにきて、ARMチップがそこそこのCPU性能を確保しつつ低消費電力も実現してしまった。このARMチップの存在は大きい。
x86系に代表されるintel全盛の時代に、よくぞ生き抜いて来たと、ARMに拍手を送りたい。

そして、インターネットの普及である。インターネットの普及によりクラウド化が進み、端末側でハイスペックのCPUは不要となった。(クラウド側では、ハイスペックのCPUは必要だが。)
そして、どこにいても世界と繋がる環境が整備されたのだ。tabletの画面が、いつでもどこにいても世界と繋がる窓として機能しているのである。

さて、こう見てくると、今この時だからこそtabletの新たな価値が見出されたといえる。そして、tabletの新たな価値に最初に気づき、iPadの製品化に邁進したのがスティーブ・ジョブズであったのだ。

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