『BEST FICTION』安室奈美恵
- アーティスト: 安室奈美恵
- 出版社/メーカー: エイベックス・エンタテインメント
- 発売日: 2008/07/30
- メディア: CD
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見事NO.1になった3月発売のシングル「60S70S80S」が、PVも含めてあまりにクオリティが高くてぶったまげてしまって、ホントならちょこっとレビュっておきたかったのだけど、結局何も書けなくってね。。。そこで改めてこちらから。
- 「60S70S80S」
とにかく、日本の音楽シーンにおいて、これほど大胆にサンプリング(それも洋楽ヒットよね)を用いて、かつコマーシャリズムに富んだ作品をリリースした初めてのアーティストとして、ここにまたアムロちゃんの名前が刻まれたわけね。PVでは、特にMGMミュージカルのようにカラフルでゴージャスな「60S:NEW LOOK」が最高!バックに大勢の白人ダンサーを従えながらも、メインのアムロちゃんがダンスもルックスも全くかすむことなく輝いていて、俺は映画「紳士は金髪がお好き」の中でイケメン男子ダンサーを大勢従えてピンクの宝石のように輝いていた、かのマリリン・モンローを思い出したのね。(あれはマドンナが「マテリアル・ガール」のPVでまんまリメイクしてたから、ご存知のヒトも多いはず。)
この作品のクレジットを見ると、予想に反して、スタッフのほとんどが日本人。アムロちゃんも、スタッフも、すでに完全に世界標準、という感じがするのよね。と言ったらちょっとオーバーかしら?
- 「shine more」「Put'Em Up」「SO CRAZY」「ALARM」
コムロから離れて、自分のヤリタイ世界・黒っぽい世界を追求した結果が、R&B作品の「和訳」という手法。2003年前後の作品群で、このあたりが彼女がセールス的にイチバン苦しかった頃だ。セールスは4〜5万枚にまで落ち込んでしまったのだけど、結局ここで出来上がった世界がその後の彼女の大復活の足固めになったのは間違いないのだ。この時期の作品はどれも実にシブくてカッコ良いのだけど、俺としては「Put'Em Up」。この抑揚のない日本語の羅列が生む何ともクセになるグルーブ感、これにシビれちゃいます。逆に英語じゃこのリズム感は出ないんじゃないかな?これぞ、Namie's Style。
- 「GIRL TALK」「WANT ME,WANT ME」「CAN'T SLEEP,CAN'T EAT,I'M SICK」
これ以外にも「ALL FOR YOU」とか何曲かバラードが挟まって、バラードだと決まってそこそこのセールスが上がったりして、う〜ん。な感じなのだけど、やっぱりバラードは自己陶酔系の「じゃぱにーず」ディーバ様たちにお任せして(笑)、アムロちゃんにはその飛びぬけたリズム感とダンサーとしてのセンスを活かした黒っぽいサウンドを追求してほしいのだ。そして実際、多くの“ディーバ”たちを尻目に、コマーシャリズムと本格的なR&Bを絶妙に融合させたオンリーワンの道を突き進んでいる彼女がいて、アルバム『Queen of Hip-Pop』、『PLAY』と一作ごとに、もはや他の追従を許さないところまで来ているんじゃないかしらね。そんな作品群がこれら。向かう所敵なし!と言ったら、これもまたオーバーかしら?
そんなわけで、ちょっと手放しに褒めすぎたキライもあるのだけど、本当にそれくらいヤラレちゃってるhiroc-fontanaなので、ご勘弁頂戴ね。
最後に。彼女のこのクールさ(カッコよさ)は、もともとのクレバーさもあるとは思うのだけど、もしかしたら「母である」ということがその原動力なのかもな、とちょっと思ったのね。若くして子供を産んで、子供を育てるための十分な時間も取れず、それでも音楽を捨てられない彼女が、自分の一粒種に対して一生懸命自分の正当性を証明しようとしている、そんな気もするのだ。PVでのスキのないパフォーマンスの中に「これだけ本気に仕事をしているのよ!だからアタシを許して!そして認めて!」という心の叫びが聞こえてくるような。。。