「うんち」を育てる

 今年はなんという天候なのでしょう。4月に入ってもなかなか気温が上がらず、桜の花もゆっくりと開いて比較的長く桜を楽しめると思っていたら、開花したとたん台風並みの強風で一気に桜吹雪に化してしまいました。まるで今年の国際情勢と重なるようです。穏やかな日々が一瞬にして荒れるようなことが無いよう願うのみです。
 また、4月から新生活に入った方にとって、環境の変化に身体が過剰に反応しているのかもしれません。人によっては胃腸の調子が狂い、お腹がピーゴロゴロと荒れてなければいいのですけど…。

 最近、テレビの健康番組などを見ていると「腸内細菌叢」「腸内フローラ」などの言葉を目にする機会が増えています。それだけ重要なことが近年の研究で解明されてきたということなのでしょう。あわせて「発酵食品を摂りましょう」とも言われ、私なんぞは「アルコールも発酵飲料だ」と自分に都合の良い解釈をしては時々晩酌を楽しんでいます。でも酒類は、通常なら発酵食品に含めません。お腹の話題だけに「屁」理屈にならないよう気を付けましょう。

 その腸内細菌叢は人の細胞数よりも多い600兆個もの細菌で成り立っていると言われます。中にはビフィズス菌のような善玉菌、ウェルシュ菌のような悪玉菌、大腸菌のような日和見菌が日々勢力争いをしているわけです。ですから、善玉菌を外から摂って腸内環境を調えましょうとアチコチで声が上がります。ヨーグルトメーカーや乳酸菌飲料メーカーなどは売り上げ拡大のチャンスとばかり広告宣伝に力を入れています。まぁ、間違ってはいない訳ですから黙ってみていればいいわけですね。

 その腸内環境が調うことで、いろいろな病気の回復や予防につながるらしいとの研究結果が続々と出ています。免疫が関係するアレルギー疾患・膠原病など自己免疫疾患・感染症クローン病潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患、肥満・糖尿病・高血圧・動脈硬化などの生活習慣病認知症うつ病など脳の病気、がん、皮膚疾患、など多数の病気に関連するとなれば、やはり無視するわけにはいきません。

 では、調った腸内環境とはどんなものなのでしょう?最新の機械を使って善玉菌や悪玉菌の割合を調べればわかるでしょうが、一般的ではありません。手軽に自分で確認できる方法として「うんち」のチェックが一番だと思います。良いうんち、自然な排便習慣、悪臭の少ないおなら、などが揃っていれば腸内環境は調っていると考えていいのでしょう。そうすると、下痢や便秘のある方は注意が必要となります。

 ですから「うんちを育てる」という発想が必要だと思うようになりました。ビフィズス菌や乳酸菌を摂取すれば一時的には腸内環境は改善されると思います。便の研究で有名な辨野博士は「外から摂取するビフィズス菌や乳酸菌はアルバイトのようなもので、その人の腸内にもともと住み着いている善玉菌(正社員)が増えるようでなければいけない」と言っています。つまり、補充はあくまでも補充であって一時しのぎですから、正社員の善玉菌を増やすには彼らのエサを与えることが重要なのです。

 そのエサとなるのが、食物繊維でありオリゴ糖などの糖質になります。私たちが毎日食べている食品こそが、善玉菌のエサになっているのですから、食事を疎かにするということは善玉菌を飢え死にさせるようなものですね。善玉菌の少ない腸では異常発酵がすすみ、ガスでお腹が張ったり臭いおならが出ます。便通にも乱れが生じ便秘や下痢になったり、息みや残便感など排便トラブルも伴います。

 このような状況では、いろいろな病気の準備が進んでいると考えた方が良いのでしょう。いろいろな病気の予防や回復を願うなら、あなたの健康のために頑張っている善玉菌の彼らにエサというご馳走を与える必要があります。正社員が疲弊しているのにアルバイトだけ補充しても会社が正常に機能するわけありません。あなたが、あなたの大切な正社員を育てるために何をすればいいのか考えてみましょう。あなたの実行した結果として「いいうんち」が育ってくれば、あなたの健康度が上がっということなのです。今から、いいうんちを育てましょう!


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新潟県長岡市 相談薬局 ひろはし薬局   廣橋義和(薬剤師・心理カウンセラー・新潟薬科大学臨床教授)
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