Temperley-Lieb Algebraの行列表現と対消滅と対生成が閉じ込められた素過程について。

檜山さんからコメントをもらったので、それについて考えを述べたいと思います。
圏論勉強会:3点テンパリー/リーブ代数の掛け算九九 - 檜山正幸のキマイラ飼育記


檜山さんのコメント

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1つ目
hiro> Temperley-Lieb algebraが行列で表現できない

檜山さん> いや、できるでしょ、がんばれば。僕はできないけど。

2つ目
hiro> それのファインマンンダイアグラムが∩∪と同一視できる。

檜山さん> 同一視できるとは言ってない。似てるでしょ?って程度。n点テンパリー/リーブ代数の元を、1次元空間上に配置されたn個の点の“運動”の記述とみなしましょう。縦方向が時間の流れね。そのとき、生成元Uiは、対消滅と対生成が閉じ込められた(単独では取り出せない)素過程だとみなせるでしょ。消滅と生成がいつも組み合わされているので、観測可能な粒子数は保存します。と、その程度のことです。

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結論

1つ目について

やはり無理だと考える。

2つ目について

そうかもしれない。

それぞれについてなるべく詳細に答えたいと思います。






まず1つ目のTemperley-Lieb Algebraの行列表現について

例として、

について考えたいと思います。

左側が単なる恒等演算子なので、
I= \left( \begin{array}{ccc} 1 & 0 & 0 \\ 0 & 1 & 0 \\  0 & 0 & 1 \end{array} \right)

問題は右側のほう。
どのように書くことができるだろうか?
Temperley-Lieb Algebraのtraceについて。 - hiroki_fの日記
で書いたようにドットを左から1,2,3もしくは鄯鄱鄴と名前をつける。

矢印の向きで双対空間を表すと2は1の双対空間、鄱は鄴の双対空間になっている。
単純な例として双対を複素共役で考える。複素共役を*で表す。
123の空間は2の座標が1の空間の複素共役になるので、*2と表す。
鄯鄱鄴の空間も同様に鄱の座標が鄴の空間の複素共役になるので*鄴と表す。
表現空間は3次元に埋め込まれた2次元の空間になり、123→鄯鄱鄴への写像は以下のように図示できる。

\gamma=exp(i\theta)  *\gamma=exp(-i\theta)とする。これでもTemperley-Lieb Algebraの性質は変わらない。このとき、\gammaの大きさは1となり、内積\gamma *\gamma=1となる。これは、\delta=1に定めたことと同じになる。

このとき、123→鄯鄱鄴への写像は一意に定まり、
写像は、
\left( \begin{array}{c} \beta \\ * \gamma \\  \gamma \end{array} \right)=\left( \begin{array}{ccc} 0 & 0 & 1 \\ 0 & 0 & 0 \\  0 & 0 & 0 \end{array} \right)\left( \begin{array}{c} \alpha \\ * \alpha \\  \beta \end{array} \right)+\left( \begin{array}{c} 0 \\ * \gamma \\  \gamma \end{array} \right)
と成る。

しかし、これは線形写像ではない。

2つ目については、檜山さんの例えを誤解していました。

ファイマンダイアグラムとは、要するに摂動展開を絵図的に行う方法で、確かに非連結グラフが出てくる。これとTemperley-Lieb Algebraがどう関係あるのかは、また後で思い立った時に考えてみたい。



そういうことで、たけをさんが推薦している本を読んで、勉強します。
2008-06-16


結び目理論概説

作者: W.B.Raymond Lickorish
出版社/メーカー: シュプリンガー・フェアラーク東京