京都国立近代美術館「麻生三郎展」

 年明け早々に、京都国立近代美術館「麻生三郎展」を見に行ってきました。はっきり言って初めて知った画家なのですが、松本俊介らと交流が深かった画家との事で、一度見てみようと思い見に行ってきました。(今度いつ展覧会が開かれるのかもわからないので見れるときに見ておかないとと思ったので)
 結論から言えば、私的にはあまり合わない感じの絵でしたが、しかし、独特の色彩と一瞬では何が描かれているのかわからないものの、徐々に鋭い眼が画面から見えてきて人の輪郭が見えてきて・・・いうように、強烈な印象を残す作品でした。

京都高島屋7階グランドホール「東大寺本坊襖絵完成記念 小泉淳作展」

 東大寺に、画家が80歳を超えてから5年の歳月をかけて襖絵を収めるために描かれた作品が展示されていました。会場では16面の襖絵を見ることが出来るのですが、その素晴らしさに見るものを圧倒します。
 例えば、「蓮の花」では、ただ単純に「蓮の花」というのではなく、右に咲くもの、左に咲くもの、つぼみのもの、花が散ってしまったものという具合に花一つ一つがそれぞれが生きていることを見ることが出来ますし、枝垂桜の作品では、桜の花びらの変化(桜は開花初期は白っぽい花びらで、徐々にピンク色に染まっていく)を一つの画面で表現しているのは見事でした。
 また、障子の下部になかなかデザインされた仏教をイメージする絵が描かれた作品は、作者が過去にデザイナーなどの職を経ていたからこそ出来た作品であると感じました。
 今度は大阪高島屋で巡回があるので、機会がある方は見て損は無いと思います。

7階 美術館JR「えき」KYOTO「佐賀県立九州陶磁文化館コレクション 海を渡った古伊万里展」

 伊万里の海外輸出の流れを時代追いながら作品を順番に見ていくことが出来るわかりやすい展覧会となっていました。中国の混乱から陶器が輸出停止になったために、日本から陶器の輸出が一気に拡大した事やオランダ東インド会社の売り上げのうち一時期は長崎の出島からの貿易が全体の7割を占めたこと(←つまり、それだけ、日本の陶器が海外の王侯貴族から珍重されたということ)などなど、今まで知らなかった事を実際の陶器を見ながら知ることが出来ました。当時の、熱狂的な収集家のなかには、宮殿の一部屋を日本製の陶器で埋め尽くすほどの人物もいたようで、このような中から自分のところでも陶器を作りたいという願望が生まれ、やがてドイツでマイセンが陶器の製造に成功するというながれがあるわけです。
 面白かったのは、この展覧会場を出ると、明治大正期の伊万里焼きの即売が行われていて(さすが百貨店)、値段的にピンからキリ(3000円ほどから10万ほどのものまで)といった感じでしたが、商品の一つ一つの市場相場がわからないものの、AよりもBが高い値段が付いているというのは、意外と見ているとわかる気がするものが多かったように思います。ただ、単純に装飾が奇麗とかではなく、図柄の配置や空間の使い方なんか見ていて素人ながら「良いな」とおもうようなものは、やや高めの値段でした。まぁ、買う人のことを考えると、そんなもんなんでしょうね。
 実際に、3000円でもよいので実際におかずを食べるときなんかに使ってみると面白そうでした。