BSマンガ夜話「よつばと!」の回を見た。

よつばと! (1) (電撃コミックス)

よつばと! (1) (電撃コミックス)

本作品において、よつばの内面が字で書かれないという指摘。よつばは心で思ったことは全て口にするから雲形フキダシは必要ないのかとも思ったけれど、よく考えたら違う。よつばは主人公ではないからだ。我々おとなの読者にとってもう子どもは他者なのだ。他人の心の中は読めない。だからわからないものとしてしか描かれない。タイトル「よつばと!」は、「『よつば』と『○○』」という意味。だから我々は「よつばと」一緒に遊びはするけれど、もうよつばにはなれない。よつばは他者であるから。
たとえば牛の乳搾りをするシーンで、よつばが「5まで数えられます」と言ったあと、大人たちがよつばのマネをして「数えられます」と言うのは、大人たちがみなよつばになりたいからだ。
この作品を読んでせつなさを感じてしまうという話。それはこんな楽園はいつまでも続かないという現実をおとなは知ってしまっているから。よつばの将来のことを考えてしまうから。でも誰かが計算してたけど、一話で作品内世界の一日しか進まないというこのルールがこの先も守られるとするならば、月刊誌連載を一年続けても12日しか進まない。よつばがあの町に引っ越してから一年後が描かれるころ作者は75歳だそうだ。そうか、よつばは大人にならないのか(!)。