岡田准一さんと無限ループ時間宇宙

今期、秀逸だったドラマは、「ガリレオ」と「SP」だと思う。
「SP」のほうは、深夜ドラマながら、すっげー視聴率を記録している。
とにかく、主演のV6岡田准一さんがめっちゃすげーのだ。


うちでは毎週、「SP」を熱狂しながら見ている。
どのくらい熱狂しているか、というと、普段はうざいCMを切って
見るために、うちではすべてのドラマは録画して見るのだが、
なんと! 「SP」に限っては、リアルタイムで見ているのである。
CMが終わるのをじりじり待ちながら見るのである。


つれあいは、このドラマを見ながら、「マスターキートン」の
主役を張れるのは岡田さんだと確信した、といってのけた。
いわれてみればその通りのような気がした。
マスターキートン」は、詳しくは別の機会に語るが、
浦沢さんが原作者の勝鹿さんと組んで作り上げた、最高の傑作マンガである。
その主役であり、考古学者でありながら、軍事能力に長けたキートン
いまや岡田さん以外考えられない。


なんで我が家でそんなに、岡田准一さんのことで盛り上がるか、というと
何を隠そう、このぼくが、岡田さんとラジオで共演したからである。
具体的には、2006年にj-waveの番組growing reed岡田准一さんと
1時間にわたってトークした。タイトルは「数学は役に立ちますか」。
以下のURLでそのときのトークの要約は読める。2006年、4月9日のところを呼び出してね。



http://www.j-wave.co.jp/original/growingreed/


後日、そのとき並んで撮ってもらった写真が送られてきた。
契約上、ウエブにさらすわけにいかないので残念だが、さすがにアイドル、
うへーというカメラ目線ですばらしい美形で、となりで明らかににやけて
いる自分がすごく恥ずかしい。家宝である。だって、やっぱ美しい男なんだもん。
つれあいが惚れ惚れと何度も眺めておった。


岡田さんは、数学が非常に苦手なそうだ。それで、トークになる前はとても緊張していたらしい。
しかし、話しているうちに、みるみる数学に対するわだかまりがなくなっていくのがわかった。
アイドルなのに、高飛車なところや、人を見下すようなスタンスや、お高くとまった感じはみじん
もなかった。営業用という雰囲気もまったくみせなかった。すごく健やかな青年に感じられた。
なにせ、机一個を隔てて、すぐ前に座っているのだ。しかも、あの独特の(SPでの井上の)瞳でじっと
ぼくの目を見つめながら話すのである。
男の自分でも吸い込まれそうになるのだから、女性だったら、我を失ってしまうに違いない。
数学ライターという仕事をしてきて、こんな役得にめぐりあうとは思わなかった。
友人の女性にこういわれた。
「それなりのお金を出せば、岡田くんと写真を撮ったり、まあ、酒を
ついでもらうことぐらいはできるかもしれないけど、どんなにお金を出しても、
1時間真剣にトークしてもらうことはできないわよ。小島さんが本当にうらやましい」。
確かにそりゃそうだ。


そう、ぼくはそんな岡田さんに、あのエバリスト・ガロアの話をしたのだよ。



実は、打ち合わせのときに、担当者に、「普通みんな奥さんを連れていらっしゃるのに
小島先生は連れてらっしゃらなかったんですねー」といわれた。
そのとき、ぼくは、超絶「しまった」、と感じていた。家を出てくるときのつれあいの
何か言いたげな表情が、痛い視線が、そのまま背後霊としてついてきていたからだ。
そうか、配偶者を連れてくることができたのか。ぼくは、とにかく仕事という頭しか
なく、そんなこと念頭にも浮かばなかった。
大変な過ちをおかしてしまったらしい、と気がついたのだ。


岡田さんは、とても、素直で健やかな青年だった。ぼくが、
「数学は人類の築いてきた財産。せっかく人間に生まれてきたのに、それを知らない
まま死んでいくのはもったいないですよ」
となにげなくいったとき、岡田さんは
「おお〜」
と重くうなりながら、椅子に深々と沈んだ。
( この様子はラジオを聴いていた人にもわかるまい、はっはっは、役得なのだ)、
そのときの同性さえ息を呑む美しさは、今でも鮮明に記憶に残っている。
人生の中で、これ以上の瞬間が来るだろうか。あるとすれば、奥菜恵矢口真里あたりと
トークする日だろうが、(木村カエラでも本望)、それが岡田さんとのトークに勝る、という根拠はない。


その後も、テレビで岡田さんを見るたびに、つれあいが、「あ〜あ、あのとき
なぜ自分はへばりついてでもついて行かなかったんだろう、ダメと言われても、
つけてでも行くべきだったぁ」、という。
何度でも何度でもいう。
その語気は、衰えをしらない。
これは、エネルギー保存則に反しているとさえ思える。
ぼくは、それを聞くだに、時間がぐるっと回って
またもとに戻ったか、のように感じてしまう。
いわゆるループ時間的宇宙というやつだ。
ひょっとして、宇宙の時間は循環し続けているのか・・・


岡田准一さんには、(オンナにとっての) 宇宙の時間の構造を根本から変えて
しまうほどの力があるのだ。