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hiroyukikojimaの日記

2017-08-10

素数についての本が刊行されました!

15:01

 ぼくの新著『世界は素数でできている』角川新書が、ネット書店にも入荷され、リアル書店でも並んだようなので、もう一押し、販促をかけることとしよう。

前回のエントリー(もうすぐ、素数についての本が刊行されます! - hiroyukikojimaの日記)では目次をさらしたので、今回は序文をさらすことにする。以下である。

   『世界は素数でできている』 はじめに

 

 皆さんは、「素数」をご存じでしょうか?

 2、3、5、7、11、13、・・・と並んでいる数です。

 素数とは、「割り切れない」数です。どのくらい割り切れないかというと、1と自分自身以外では割り切れないのです。だから、ある意味では、うとましい数です。例えば、37個のチョコがあるとしましょう。このチョコを同数で分け合うためには、37人で1個ずつ分け合うか、あるいは、1人で全部食べるしかありません。37が素数だからです。まったく融通がききません。チョコの個数が36個であれば、たくさんの柔軟性が生まれます。2人でも3人でも4人でも6人でも、あるいは12人でも18人でも等分に分け合うことができるからです。

 また、素数は、「ままならない」数でもあります。素数たちは、整数の中で、非常に不規則に分布しています。どのくらい不規則かというと、数学者が2千年以上も研究しながら、いまだにその法則を捉えきることができないくらい不規則です。天才数学者も手に負えないぐらい「ままならない」のが素数なのです。

 だから素数は、「わくわくする」数です。数学者は言うまでもなく、一般の人をも惹きつける魅力を持っています。素数にハマる人が後を絶ちません。かくいう筆者もまた、素数にハマっている素数マニアの一人です。

 本書は、そんな素数について、総合的に解説した本です。本書の特徴を箇条書きにすると、次のようになります。素数に敬意を払って、素数で番号を振ってあります。決して、誤字・脱字ではないので勘違いしないでくださいね。

2. 素数のよもやま話をたっぷり盛り込んである

3. 素数の歴史を網羅している

5. 素数にハマった数学者の人生模様を描き出している

7. 素数ネット社会を結びつけるRSA暗号について、詳しく解説している

11. 素数と物理の関係にも触れている

13. 素数の未解決の予想について、最新の進展を投入している

17. 最難関の未解決問題リーマン予想について、わかりやすい解説をしている

19. 素数をめぐる最先端数学に入門できる

そう、これ一冊で、素数のすべて(というと言い過ぎなら、ほとんど)がわかってしまうというわけです。まことリーゾナブルな新書と言えましょう。

 今、このまえがきを立ち読みされているあなた。あなたも是非、本書で、めくるめく素数の世界を探索してください。そうすればあなたも、明日から素数マニアの仲間入りです!

 上記の箇条書きでおおよそ、本書の特徴は網羅できているのだが、もう少しだけ補足をしよう。

本書で苦心したのは、素数の法則をただそのまま紹介する」というタイプの本から、もう一歩踏み込む、ということだ。

ぼくが数学の啓蒙書を読むとき、いつも抱いたのは、次のような気持ちだ。すなわち、ある数学的な定理を紹介され、「ほうほう、これは大変面白い、不思議だ」と思ったあとに必ず、「どうして、こんなことが成り立つんだろう、どういう理屈だろう」という好奇心がわくのである。しかし、多くの啓蒙書はこういう好奇心には答えてくれない。

それはある意味、仕方ないことである。多くの数学の名定理は、証明が複雑で長いか、あるいは、非常に高度な概念を使うから、とても啓蒙書では紹介できないのだ。

でも、ぼくがこのとき欲しかったのは、「完全な証明」ではない。「完全な証明」を読むのは、労力の負担が大きく、大変な苦痛を強いられる。また、高度な概念を習得するには、とんでもない修行が必要で、(その道のプロを目指すのでなければ)そんな意欲は沸いてこない。知りたいの「完全な証明」ではなく、「それを成り立たせる秘訣のようなもの」「おおざっぱだけど本質にあたるもの」なのだ。

そこで本書では、紹介する素数の法則たちについて、できる限り、「それを成り立たせる秘訣のようなもの」「おおざっぱだけど本質にあたるもの」を記載することを試みた。それなら、プロの数学者でないぼくにも可能だ。

例えば、双子素数予想ゴールドバッハ予想については、「ブルンの篩」のおおざっぱな仕組みを書いた。最新の素因数分解法である、ポラードのp−1法、数体ふるい法、AKSアルゴリズムは、その原理を紹介した。また、「x以下の素数の個数は、近似的にx/log xに等しい」という「素数定理」に対しては、リーマンゼータ関数とチェビシェフ第2関数を使ったおおざっぱな証明の手筋を提示した。さらには、「フェルマーの小定理」「オイラーの定理」は、有限体を経由する証明を書いた。また、双子素数予想とか、奇数完全数など、最近に進展があった予想については、論文にあたって、そこからの引用を試みた。こんなふうに、少年期・青年期の自分ならきっと知りたいと思ったに違いないことについては、それを記載する努力をしたのである。だから、ぼくと同じタイプに違いないこのブログの読者にも、必ず貢献できると思う。

 とにかく、本書は、ぼくの素数愛が炸裂した本となっている。是非とも、手にとっていただきたい本だ。