SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

小説の感想を日々書き連ねるブログ

アビスゲート1 果て見えぬ淵の畔に

[著者:神坂一/イラスト:芳住和之/富士見ファンタジア文庫]★

 緊張感を台無しにさせる、一部脱力系シーンの仕掛け方は流石と言うしか。神呪使いの素質は高いが、神呪を生み出す源の『魔力素』をかじると必ず腹を壊すというクラウス君。ルグナードによって暴露されてしまう恥ずかしい秘密→それに続いてアリサの“気の毒美形”発言、の流れに吹いた。まあ“格好悪い”って言葉にかなり釣られてる辺り、言い得て妙なんだろうな。クラウスは基本的に格好付けのええ格好しいみたいだからねぇ。

 淵海孔(アビスゲート)と、そこから這い出て来る淵より来るもの(アビスフォーム)の性質説明。主役を張る傭兵3人のパーティ結成で、アビスゲート異常多発の謎を追いつつ、アビスフォームと対峙する展開。

 一応大雑把に出るべきものは一通り出揃っていたと思うんだけど、まだどの要素にも踏み込み始めてすらいないので、お楽しみは次巻に持ち越しと言った具合。

鋼殻のレギオス7 ホワイト・オペラ

[著者:雨木シュウスケ/イラスト:深遊/富士見ファンタジア文庫]★★

 本妻キタコレ。長らく開催まで引っ張りまくって来た自立型移動都市同士の対抗戦も、こうして見ると悩める者達の背中を後押しする“切っ掛け”という一要素に過ぎなかったのかな? と。都市対抗戦そのものは、想像してたよりもかなりあっさり片付いちゃった印象だったんだけど、その最中で様々な事に対して悩み惑い迷う者達――レイフォンやニーナやフェリにナルキ、などは何か手応えみたいなものを或いは掴めたのかも知れない。

 都市対抗戦が終わっちまった後で何が残ったかと言えば、ニーナの中に眠る『廃貴族』、都市の中枢『電子精霊』、『イグナシス』という名と『リグザリオ機関』など。廃貴族にはツェルニから離れたグレンダンや天剣授受者とも繋がりがあるみたいなので、今度は残された最重要機密っぽい部分が物語に絡んで来るのかなと。

 んで、繰り返すが本妻キタコレ。リーリンとの再会によってそっち方面でも嵐が巻き起こる事必至。レイフォンは己の置かれた状況を理解してもっと必死になれ。

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