SIDE ONE ~小説の感想を日々書き連ねる~

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ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンII

[著者:宇野朴人/イラスト:竜徹・さんば挿電撃文庫]★★★

 帝国北域への遠征。最初はイクタ達に現場での実
戦経験を積ませるのが目的でしたが、北方民族シナ
ーク族の侵攻が切っ掛けで北域鎮台との戦争が勃発
し、その戦いの最中に身を投じる事となります。
 帝国内の反乱分子鎮圧のような戦いは表向きの見
え方で、裏ではシナーク族に肩入れしたくなる程の
北域軍上層の薄汚さと無能な愚かさが際立ってた感
じです。殆どが司令長官サフィーダ中将の事を指し
てるのですが、その中での最たる罪であるシナーク
族の精霊捕獲・監禁の実態をイクタが目の当たりに
した時は、もしかしたら彼はシナーク族が優位に立
てるように動くのでは? と思ったりもしました。
 実際にはそこまで大胆に考えを巡らせる余裕も無
い程、過酷で凄惨な戦いの連続でした。開戦前に準
備期間がもっとあって、シナーク族と帝国北域の現
状をイクタが掴んでいたら、もしかしたら味方も敵
も大量の犠牲者を出さずに済んだかも知れません。
 そこまでの期待をどうしてもイクタに抱いてしま
うんですよね。ただ、最後の状況は、さすがのイク
タでも絶望する程これまで以上に厳しいものがあり
ます。この劣勢な戦況を覆す事が出来るでしょうか。

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