はぐれ魔導教士の無限英雄方程式 たった二人の門下生

［著者：原雷火／イラスト：ポップキュン／ファミ通文庫］★★★

はぐれ魔導教士の無限英雄方程式 たった二人の門下生 (ファミ通文庫)

　この物語の世界における白魔法と黒魔法の概念、
それを使役する魔導士達の考え方や立場の相違、そ
して多くの思惑が複雑に絡み合い形成された魔導世
界の現状。黒と白の異なる魔導から端を発して、じ
っくり世界を広げて描写してみせる。そんな設定面
の練り込み盛り込み具合が素晴らしかったです。
　カイの正体は容易に察せられる程なので、隠した
強さを見せ付けても嫌味にはならず。ものぐさな様
で意外と面倒見が良く、それも自分には成せない未
来の希望を育成する為という信念が見て取れるので、
そりゃ信頼度も好感度も高くなるってものですよ。
　育成はまだ道半ば。今度はローザやリリィに関す
る個別のエピソードなんかも見てみたいですね。

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! １

［著者：九曜／イラスト：フライ／ファミ通文庫］★★

佐伯さんと、ひとつ屋根の下 I'll have Sherbet! 1 (ファミ通文庫)

　第１回カクヨムＷｅｂ小説コンテスト『特別賞』受賞作。

　冒頭の入居トラブルと解決策に関して、どうして
も現実的な部分と比較してしまい色々突っ込み入れ
たくなっちゃったんですが、書き散らかしてもつま
んねー事になりそうなので控えようかと思います。
　その辺りのちょっとした躓きを差し引いて、それ
でもこの主人公はどうにも好きになれなくてダメで
した。然したる理由も無いんですが、あえて言うな
ら何となくです。どうにも曖昧で済みませんけど。
　これはファンタジーでフィクションで妄想なんだ
と言い聞かせていましたが、付かず離れず恋愛感情
で好きかどうかもイマイチハッキリしない、そんな
距離感は案外現実味溢れるものなのかな、と思った
りもしました。そんな空気は嫌いじゃないです。