ガチラノ

死ぬほどどうでも良いわ…

俺たちスーパーマジシャン

 

「俺たち~」シリーズまだ見てないのあったか、と思って再生したら、スティーブ・ブシェミとジム・キャリーが出てるとか、結構ビックリサプライズ。このシリーズにブシェミが出るイメージがない、というかそもそも最近の映画でそんなに見た記憶がない、というかむしろ昔の映画に出すぎって話か……

映画の内容はまあいつもの感じでいつもの感じです。ギャグもそこまでドギツイ感じではなく、まあふつーにダラダラ見るのにぴったりな感じではある。

ジム・キャリーは相変わらず顔芸で見せてくれるし、もうめちゃくちゃショーマンって感じでさすがだなーって感じなんだけれども、一方ブシェミが全然ショーマンっぽくないのも笑っちゃうよな。カリスマ性とかある感じじゃないのでそれもまた味になってる。アジアの恵まれない国でマジックのオモチャ配っちゃうみたいなしょーもなさ。

しかしそれにしても、ショーマンのショーでありながらも、そこら辺の本質みたいなのに全然切り込まないのは逆にすごいよなあ。普通もうちょっとメタっぽい構造で何か言いたくなるところじゃん。それを「気を失うドラッグを撒いて大逆転だ!!」だもんなあ……いやー、ほんと良い意味で雑に見終われたよ。

ロブスター

 

ロブスター(字幕版)

ロブスター(字幕版)

  • コリン・ファレル
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いやー、きもちわりー監督だなぁ。他の映画でもきもちわりー感じはしてたけれども、この映画はもーその気持ち悪さをガンガン出していてすごいなあ。オレはアリ・アスターとかよりもこっちの方が気持ち悪く感じるわ。

しかしまあ、難解でストーリー展開もゆっくりで派手なシーンも少なくて、という映画なのに、なんでこんなに吸引力あるんだ? この監督の他の映画にも通じるところだけれども、見てて全然集中力が途切れない。めちゃくちゃ不思議。

いやまあでも、映画としてものすごくわかりやすく視聴者の興味を引っ張る仕組みはあるんだなあ。謎とか期限とか秘密とか、そういうやばい出来事が剥き出しの暴力を背景に展開されるから、そりゃまあ興味を惹くか。

ホテルから抜けだして外に出てしかしそこでも自由ではなくむしろ反恋愛至上主義って振る舞いをしなければならないのはなかなか強烈よなー。IDを偽造して町の中に忍びこんでショッピングセンターに行くのもなるほどなーって感じ。

しかしドイツ語ってアレ何だったんだ。ってか、あのスパイのメイドが話してたのもドイツ語だっけ? いや、集中力が要るように作ってる映画だよねー。

あとまあ、さすがにこの監督にホテルの内部を撮られるとキューブリック思い出してしまいますわね。ダンスを誘うところとか、ジャック・ニコルソンがThe Gold Roomを歩いてるのを即座に連想して、我ながら笑っちゃいましたわ。

オペレーション・フォーチュン

 

ガイ・リッチーって初期の頃はめちゃくちゃキレキレだったし、最近の映画も大体「なるほどなー」って感じるところがあるんだけれども、今回なんかこう微妙すぎない? 単純にスパイものとしてもちょっと低調というか、何が売りなのかがよーわからん。ジェイソン・ステイサムを押すなら押すでもうちょっと見栄えの良いアクションがあってもいいと思うんだけれどなー。あと全体的にセットが安っぽい感じがしたのもなんでだろ? なんか見ていて辛い絵面のシーンが多かった気がする。

ストーリーはまあいつものスパイものという感じだけど、マクガフィンかと思ったアイテムが普通に金融核兵器なのは「え?」となってしまった。現代社会でそんなことやったら金の価値が高まるとか最早そういうレベルの問題じゃないと思うけどな……普通に戦争で世界が核の炎に包まれるようなリスク負うのはどーなのよ? まあ、そこら辺も含めて楽しむべきところなんだろうけれどもね。

ハリウッドの役者役のひとがスパイに巻き込まれていく辺りの流れはまあまあ面白かった。っていうかあのポジションの武器商人がふつーにラストまで笑顔でいられるってなかなかレアだよなー。そこら辺のひねくれ具合はまあ確かにらしいっちゃらしいのか。

GENERAL MAGIC

 

GENERAL MAGIC(字幕版)

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  • マーク・ポラット
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スマートフォン以前のスマートフォン、みたいな話。先日脳科学の本で、Palmの創設者がマイクロソフトかなんかで講演したとき、周囲のリアクションがクソ寒かった……みたいな話を読んだばかりなので、この時代にこの絵図を書くことの偉大さがよくわかる……

っていうか当たり前なんだけど、95年でインターネットができたのは、もう人類の歴史上凄まじいインパクトを残したんだなあ……始まりの辺りでは、誰もが発信者って言われても、絵を描くの? 音楽作るの? まじで? みたいな感じだったけれども、その時点でSNSが発達して皆が気軽に絵や動画を撮ってアップロードするようになって……という時代がやってくるなんて到底想像できなかったもんなあ。写メールみたいなものはあったけれども、それがまさかこんな時代にまで繋がるなんて……いやあ、未来予測ってのは本当に難しいよねえ。

しかしこのドキュメンタリー、ホントに面子が豪華すぎるよねえ。アメリカのシリコンバレーが、失敗した人間が再起できる場であるってのがめちゃくちゃよくわかる。アップルコンピューターの遺伝子がきちんとiPhoneに流れ込んでいるのが示されたり、あとこの時代のソニーもこういうところに一応トライしようとしてたところが見えて、オレ的にはめちゃくちゃ面白い映画でした。

プリシラ

 

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  • テレンス・スタンプ
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これも『「女装と男装」の文化史』に出てたから見たんだけれども、うーん、やっぱり時代って感じがするなあ。かつてはLGBTQの権利なんかは今と同じようには主張されていないわけで、歴史的にドラァグ・クイーンがその辺りで重要な役割を果たした、というのはわかるんだけれども、今から見るとやっぱりこう難しい立ち位置だよなーとは思う。というか当時の彼ら/彼女たちが、オーストラリアの田舎でどんな扱いを受けるのが普通なのかとか、想像できないもんなあ……あの車を修理してくれたオッサンのリアクションがどういう位置づけなのか、結構戸惑いながら見ることになってしまったぜ。

あとまあ例の本にも書いてあったんだけれども、人種差別についてはもう全然容赦ねーのが、やっぱりナンダカナーって感じはするよなあ。オーストラリアなんて、それこそアボリジニとの関係が常に問題になってきた土地だろうに……ラストとかも、ああいう笑える対象として人種差別を使われると、いくらドラァグ・クイーンを好意的に扱っても、どーせ話のネタくらいにしか思ってないんでしょ? みたいな気持ちにどーしてもなってしまうな。

処刑人II

 

処刑人II [Blu-ray]

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  • ショーン・パトリック・フラナリー
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うーん、1に比べると圧倒的にタルいな……

いやまあ、1のストーリーも決して上等というワケじゃないと思うんだけれども、やっぱりFBIとのやり取りが面白かったというか、回想形式で事件の現場が遅れて見られるあの形式が超上手く機能してたと思うんだよね。現場の状況にミステリーがあって、それをどう成立させたかをトンデモアクションで見せるというのは、ある種の発明だったというか……

それに比べると、2ではわりとアッサリFBIと共闘しちゃうし、それまで状況を伏せてたのも意味わかんねーし、アクションシーンのワンダーもそんなないし、でテンションだだ下がり。まさかあの箱をぶん投げてそこからふつーに戦うとは思わなかったよ。あまりの工夫の無さにビックリした。

あとまあなんだか思わせぶりな真相みたいなのも全然機能しているようには思えないなあ。別にそんなことするような話じゃないんじゃない? もー出るならさっさとウィレム・デフォー出してくれよ! って感じだし。

ってかそもそも、前作ラストのあの賛否両論のインタビューの余韻が全然なくなっちゃってるのがなー。アレって露骨だけど結構面白く話をまとめてたと思うんだけどなー。

脳は世界をどう見ているのか 知能の謎を解く「1000の脳」理論

 

色々面白いところはあるんだけれども、まずはやっぱり筆者の経歴よねぇ。AIの研究に打ち込みたい、でも金がない、まではまあわかるんだけれど、そこからシリコンバレーでPalmを立ち上げて成功して資金面の心配をなくしてしまう、とかもうマジで全く意味がわからん……そして何よりそれをスッパリと捨てて研究に打ち込んで、しかもこんな世界的に影響のある理論をぶち上げちゃうわけでしょ。いやー、すごすぎる……

内容的には今オレが読みたかったものにそのままぶち当たってめちゃくちゃ満足。理屈はとても納得感があるんだけど、いくつか疑問に思うところがあった。

まず、脳が世界のモデルを持っていて、予測と外れるものに注意を払うようになるメカニズムは納得できたけれど、そこから未来予測ができるようになる仕組みがよくわからない。人間の脳には、単純な未来の予測だけでなく、モデル内で「AがBするとCになる」という因果関係を結ぶ作業を行っているはずで、それがどのように引き起こされるのかが大変気になる。

あと、機械の知能が人類に反旗を翻す恐れはない、と強調するあたりの理屈もなんか納得がいかない。機械が人間の脳を模すとして、古い脳と大脳新皮質の関係は継承しないのだろうか? 古い脳が本能として生存に有利な行動を「目的」として設定しても、大脳新皮質はその目的に逆らうことができるわけで、そのメタファーだと人間が機械に設定する「目的」が絶対に裏切られない保証は内容に思える。

あとは「機械に意識が生じることに疑問の余地はない」みたいなくだりも大変気になる。もし意識が生じるとして、それは一体どこで見分けることができるのか、というのが一番知りたいところなんだよなあ。物理的な反応を追いかけていったところで、「私」という意識が生まれる瞬間は捉えられるのか? っつーかそんなこと言ったら、意志疎通の手段を持たないだけで、例えば地球だってある種の意識をすでに持っているかもしれないしなあ……