Fate雑記(士凛特化)&血だまりスケッチ こと 魔法少女まどか☆マギカ観測所

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基本的に日本の財政上ベーシックインカムの導入費用と対価となり得る財源は社会保健医療費(介護費・生活保護費含む)のみ(所得税相続税では絶対的に足りないし、消費税だと1%2兆円程度なので何十パーセントになることやら)。
ということで現行の医療保険介護保険生活保護等の全廃が前提になりますが、この際最終的に発生するのは「究極の命の選別」。今は国民皆保険でなおかつ真面目に払ってれば「高額医療費の限度額認定」という制度があるので保険適用症例内ならどんな高額治療しても精々月十万以内。
ですがこの十数年での薬や医療技術が驚くべきスペードで進展(自分がこの職に就いた頃には再発性肺癌の致死率ってほぼ99%以上だったのに今では20から30%までは助かる)。但し当然それに伴って医療費用は増加し、月の医療費が数百万単位なんて普通のレベルになり、月千万単位も珍しくなくなり、とうとう去年は「患者一人当たり」月1億を超えた事例が発生しました。
ですが患者負担の上限は前述のとおり月十万以内。残りの医療費は結果的に国民全体で負担しているわけです。ちなみにこの日本では若い人間だろうがどんな高齢な人だろうが等しくその高額な医療を受けられます。
当たり前ですが、アメリカでは「自分のかかっている保険の範囲内」でしか治療を受けられません。日本のマスゴミがやたら理想の楽園のように喧伝する北欧では一定年齢以上の高齢者はそもそもそんな治療を受けないし(←そのように生まれた時から国に教育されてる。キリスト教の宗教観もありますが)、若い人間でさえ大変な順番待ちになります(普通の風邪やらなんやらならそもそも病院に行かないし、行ったら非常識人扱いされる。そもそも医者の方に診察拒否権まであるし)。
日本のようにたかが風邪でもアホみたいに簡単に病院を受診できて(完全フリーアクセス)、馬鹿高い治療費も「保険診療の範囲内」という制限だけは付きますが、保険医療の範囲内なら月億単位の手術&治療さえちゃんと保険料さえ払ってれば(払ってなくても医者に拒否権はないので実際には治療できてしまうのですが。ちなみに当然病院側は踏み倒されるのを前提で受けざるを得ない)誰でも受けられる国が世界中にどれだけあるのか(中東の原油産出国とかならあるのかも知れませんが)。
こんな状況だから昔から財務省は「医療費を削れ削れ」と云ってるわけですが、厚労省も一応削減の努力はしているものの日本医師会日本歯科医師会の顔色伺っている有様。ちなみに今年4月からの診療報酬改定は最後の最後、麻生さんと日本医師会会長の二人だけの密談で決めてしまいました。
でも医者の金儲け(もっぱら開業医メイン)が最優先なのは確かに事実ではあるのですが、それでもなお医師会は医師会でそれなりに信念を持って「国民が安価で等しく医療を受けられる」ことを追求しているわけです。
ですがベーシックインカムの導入と引き替えに現行の社会保障制度が全廃されればどうなるか。
簡潔に云えばこうなります。
「ああ、この病気は放置しておくと死に至りますが、この薬を投与又はこの手術をすれば助かりますよ。お値段はこれだけ。え、とてもそんな高額払えない? 民間保険にも入ってない? じゃあ残念ですけど死んで下さい」
ただそれだけの社会です。大金持ちや財務省からしたら理想の社会かも知れません。
この話は別に元々障害を持っている人だけではありません。それまで普通に生活して普通に働いていても、ある日突然病気に罹って治療費を何百万何千万も払う羽目になった時、どうするのでしょう? 医療費で莫大な借金背負って残りの人生借金返すのに使うのでしょうか? 
なお自己破産してもセーフティーネットとしての生活保護は既に存在しなくなってる設定なのでベーシックインカムの費用内で生きるしかありませんが、病気が再発して高額医療費が発生した際には既に借金すら出来ずに人生が文字通りの意味で詰みます。
ほとほとかようにベーシックインカム導入賛成派の人間は自分がいざ弱者(病人)になった際のことを一切想像できていない人間だと論ぜざるを得ないわけです、はい。
まあこういう訳で、実際の政治でベーシックインカムが俎上に上がったところで政治家が国民に「金が払えない人間は助かる手段があろうが黙って死ねという制度ですが賛成しますか?」と大上段から聞いてそれでも「はい、自分は賛成です」という人間が日本国民の過半数になる事態は想定できないので議論するだけ無駄だと思うのですが、一応ベーシックインカムが導入された社会はこうなる、というお話でした。