大漁、異漁。

今どき風にいえば、鈴子はアイデンティティーを求めていたわけである。それを得るためには、人気などという不確かなものに未練がなくて当然だった。      富岡多恵子『逆髪』

09-10-11-日 実行せねば 悪はただの ありふれた夢におわるから

hiyakkoikiton2009-10-11

[]「この血潮の痕だけは、見るたびにゾッとする」「『犬の血』だからよ。これは、大逆無道の血だ。しかも謀反を企てて敗れると、袖にすがって命乞いした、卑怯者の血だからだ」 13:53

蜘蛛巣城<普及版> [DVD] シェイクスピア四大悲劇中の『マクベス』を翻案、黒澤明1957年の映画『蜘蛛巣城』。

森の奥棲む妖かし婆が「腐肉破れて花と咲き、悪臭却って香を放つ」と人間の宿業とそこから逃れられぬ振る舞いを予言する。三船敏郎演ずるマクベス=鷲津武時が妻の浅茅(山田五十鈴)にそれを語れば、能面の如き変わらぬ貌で浅茅は執拗くそそのかす。 

男と女でオカルトに突入すればもはや逃れるすべもなく。

鷲津とともに予言を聞いた三木義明。その子・義照が潔癖で、

ただ私には信じられませぬ。物の怪の予言などと、愚かな。


物の怪に操られ、己の手でその予言のままの事実をつくり、予言が当たったとお考えなさる。

正気の沙汰とは思えませぬ。

と。


鷲津は森の奥深く、予言婆との対話をかさねる。婆は鷲津にころされた者のすがたとなり「修羅の道を進むなら、思いきり極悪非道にやれ」と笑む。鷲津は「よぉし。則保も国丸も義明の小伜も皆ごろしにしてくれる!」。

「しかばねの山を築くなら、思いきり大きな山を築け」「よぉし! この白骨のうえに、新しい屍の山を築くぞ!」「血潮を流すなら、血の河血の海をつくれ」「よぉし、血潮の雨でこの森を! 真赤に染めてみせよう!」

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