大漁、異漁。

今どき風にいえば、鈴子はアイデンティティーを求めていたわけである。それを得るためには、人気などという不確かなものに未練がなくて当然だった。      富岡多恵子『逆髪』

10-6-30-水 密室のない人生は まずしい

hiyakkoikiton2010-06-30

ボスを落ちこませたあと、ボスとの淫夢みる。


画像はゆうきまさみ『鉄腕バーディー』より。

心臓に『プリンセスチュチュ』と合わせて入れたかったんだけど、『チュチュ』まだニガテ……。



A.I. [DVD] A.I. [DVD]

[][]勝呂だけ体臭がちがう 22:50

鉄腕バーディーEVOLUTION 5 (ビッグコミックス)

ゆうきまさみ鉄腕バーディーEVOLUTION 5 (ビッグコミックス)』。物語には痛みをかんじる能力がないのだから、にんげんをえがくことでしか痛みを摘出できない。

交通事故に遭って意識のもどらない少女の「記憶/思考」を、人工脳をもたせた「人形」に入れる。「人形」にはそれ以前の行動の記憶があり、ときに少女の判断と衝突もする。少女はすこしずつ、「現状」を理解する。その実験につき合うことになる千川つとむ。「実験」のそとで少女と「密談」する。それは図書室で筆談のかたちをとる。しかし、ほんとうに訊きたいことがあるのは少女のほうなのだ。

千川くんは

こんな姿の私は嫌いですか?

少女は、「人形」に入れられたことを「罰」だとかんがえている。

私は自分が だれだかよくわからない

きっと ばちがあたったんだと思う。

すっごい展開。「空気」をえがくことに長けているゆうきまさみゆえ、「人形」=(この章における)ヒロインが眼帯ブレザースカートで夏の海に混じる「不自然さ」ををみごとに描出し、水着の男児に科白させる。「お姉ちゃんケガしてるの?」

「そうよ。

アタシ、交通事故に遭って──

大ケガしちゃったの。

だから、こんな姿になっちゃったのよ。」

このばめんに立ち合っておぼえる鳥肌は、SFよりもオカルト


そしてかっこいい、勝呂(すぐろ)三尉。かなりな傑出、正統進化の画。

マンガっていうのは鳥山明的なものかもしれないし、アニメって宮崎駿的なものかもしれないけど、それだけじゃないよね、ヤスヒコヨシカズもアリだしオンだよね、というわすれられつつある道。ゆうきまさみに「自分自身であろうとしないこと」を嗅ぎとると、背すじがピンと伸びる。

運命の悪戯などという言葉では、表わしきれません。

「神の御業」? そうとしか言いようがないではありませんか。

ひとつのばめんに皆が揃うことも可笑しいけれど、「人形」=ヒロインとも、勝呂らの4特で働くチョビ=千明(ちぎら)とも知り合いの千川つとむが「アンタ、チョビだけじゃなく、こいつとも知り合いなの!?」とツッコまれていて可笑しい。

[]ゆうき先生やジュピロ画伯の女体絵におもうのは 12:31

にんげん、好きなものあつかうときほど記号化に陥っていくということ。自由にうごかせない。