大漁、異漁。

十代をすぎても心を隠す私のような人間は、大人の形に見えるだけの羽化できないサナギのようなものなのかもしれない。    遠野りりこ『マンゴスチンの恋人』

11-10-20-木 やや掃除

[][][]「赤木かん子さんは『今さらドリトル先生でもないでしょ』と言われるが、『じゃあドリトル先生のどこが悪いのか』」 09:08

[asin:4810375811:image] 松本正司『[asin:4810375811:title]』(1999)。

あらいぐまラスカル』、『ペリーヌ物語』の脚本には宮崎晃の名も。〈映画畑の出身で、「男はつらいよ」の助監督も務めている大ベテラン〉

〈「ペリーヌ物語」では、クライマックスのあと4話が、後日談のようにゆったりと語られる。「ペリーヌはおじいさんと再会しました。めでたしめでたし」ではなくて、かつて自分に親切にしてくれた人や労働者の幸せのために努力していくのである。もちろん今では資本家善意社会福祉が成り立つなどという考えは否定されているが、作者の人間味が感じられて、なにやらほっとするのだ〉


〈物語の舞台を少しでも正確に表現しようと、ロケの際、スタッフが原住民の言葉や野鳥の声のカセットテープを買ってきた。しかし脚本家に送る途中、紛失してしまった〉『南の虹のルーシー』。アフレコ現場で〈当時演出助手だった山口くんが、逆さ言葉を思いついた。「ラノクボラアコ・ノア」「テマ・トーチョ」「ズーボ・ゾクイ」などなど。気がついた人はほとんどいなかったようなので、彼のとっさの判断勝ちだろう〉


高度経済成長まっ盛りのころ〉放映された『ピーターパンの冒険』。松本が、原作者バリ(ジェームス・バリー)について、〈ルイス・キャロルが少女アリス・リデルを愛して「不思議の国のアリス」を書いたように、バリも友人の幼い子供を愛し、その子をモデルにピーターパンを書いた。ルイス・キャロルロリコンなら、バリはショタコンだったのである〉──よくわかんないけど言い切ってる。

名犬ラッシー』──〈「七つの海のティコ」は原作のないオリジナル・ストーリーで、アニメファンには声優人気でウケがよかったが、肝心の幼児や母親といったファミリーにそっぽを向かれて、結果的に低視聴率のまま終了した。前年「ティコ」と競合した「ラッシー」がようやく登場、思いきって、キャラクター・デザインも頭身を下げたり全体に丸くして、低年齢の視聴者にも受け入れられるように心がけた。「ハイジ」や「フランダース」の雰囲気に戻したのである。作画も社内スタッフで固められて、「ピーターパン」以来名作離れしてしまっていた作風が、ようやく本来の名作らしい名作になった。しかし、遅かったのである〉


[asin:B00005HVLX:image] 大草原の小さな天使 ブッシュベイビー(1) [DVD] いくつかきちんと観たいとかんじる作品でてくる。松本は世界名作劇場とともに歩みながらだんだんと愚痴っぽくなり、過去作品に苦言を呈しはじめるが、『大草原の小さな天使ブッシュベイビー』ではテンションが回復する。〈凝ったダイナミックなオープニングは、名作アニメで初めてアフリカを舞台にしたスタッフのやる気〉、といっても時代設定は1964年、コスチュームプレイの楽しさはないから〈ストーリーの面白さが命なのだ〉。『ブッシュベイビー』の現場で松本が忘れられない人物のひとりが、〈各話演出担当の加賀剛さんである〉。

〈原作にもあるジャッキーの入浴シーンで「でも足をあげたのはやりすぎでした」と、いつまでも恥ずかしそうに言っていた。「バウ」の監督の後、退社して「エヴァンゲリオン」の第二話を演出して、間もなく不慮の死を遂げられた。「日本にいて金髪の外人を演出できるんですから、名作アニメ大好きですね」と笑っていた加賀ちんの顔が忘れられない〉

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