大漁、異漁。

今どき風にいえば、鈴子はアイデンティティーを求めていたわけである。それを得るためには、人気などという不確かなものに未練がなくて当然だった。      富岡多恵子『逆髪』

12-1-30-月 大人の愛

ル・コフレ・ドゥ・クーフゥ  白金店

食べログル・コフレ・ドゥ・クーフゥ 白金店

作りかたのアイデア、どれも感心する。「カマンベールマスカルポーネクリームの2層のチーズケーキ」美味しい。

パウンドケーキも「黒ゴマと蜂蜜」、「抹茶マロン」ナド。


落語、鰻、ショコラティエパティスリーの了見は、成功よりも、生き延びかたにあるだろう。

[][][]「柔軟な道徳観念」 21:42

サンキュー・スモーキング (特別編) [DVD] ニコチン・ウォーズ (創元推理文庫) 「交渉でなく、議論をしなさい」


2005年の映画、『サンキュー・スモーキング』。父と子がえがかれる点、『ウォール街』を彷彿とさせる。監督、ジェイソン・ライトマン

たばこ研究アカデミーロビイストであるニック・ネイラー(アーロン・エッカート)。口八丁手八丁の男が離婚しているというのは、べつに皮肉な設定ではない。そこに因果関係はない。

ニックは息子のジョーイ(キャメロン・ブライト)に生きかた、しゃべりかた、しごとのやりかたをすこしづつ教えている。アメリカの映画らしくて感動的。道徳をもつことに大した意味はないが、教育は必要だ。判断力というのは、ものをひろげて、他人に判断させる力を有することだろう。“魔女を狩る”たぐいの道徳家には選択しかできない。ここでジル・ドゥルーズとクレーヌ・パルネの『ディアローグ---ドゥルーズの思想 (河出文庫)』から引用すれば、〈人は無理やり手に入れさせられ、所有させられ、あるいは剥奪させられている。強制された選択と呼ばれる有名なトランプの手品を例に挙げよう。あなたは誰かにハートのキングを選ばせようとしている。あなたはまず、君は赤と黒のどちらのカードが好きか、と言う。その人が赤と答えれば、あなたは黒をテーブルから引っ込める。その人が黒と答えれば、あなたは黒を取り上げ、やはり同じように引っ込める。あなたは続けさせすればよい。君はハートとダイヤのどちらが好きか、君はハートのキングとクイーンのどちらが好きか、というところまで。二進法の機械は、インタヴューする側が善意をもっているときでさえ、このようなやり方をするのだ

言語は信じられるためにではなく、従わせるためにつくられている


癌になった初代マルボロマン、ローン・ラッチ(サム・エリオット)を買収するためトランクに札束を詰めて訪れるばめんが好い。「私は買収に来たとはっきり言います。そのために、あなたは必ず受けとるでしょう」

金を受けとり、その委細をあなたはマスコミ各社に告げるでしょう。取材に訪れたかれらのまえであなたは札束をばらまき、怒りをあらわにする。あいつは買収に来たと。経理上処理された金だから置いて帰ると。あなたはこの金を全額寄付するでしょう、ローン・ラッチ癌基金をつくるとマスコミのまえで宣言する。

「お、おい、まってくれ。わしと、妻の取り分は……」「あなたはたばこ会社に恨みがあるというのに、そこからの金を欲しがるんですか?」

ニックが訪れることによって、“損”するように出来ている。欲がでてしまったローン・ラッチは、受けとるほかない。いま、トランクいっぱいの札束を突っぱねれば、とても空しい気持ちになる。寄付すらできない。マスコミにも注目されない。

ストーリー自体は、議論というものが時間に拘束される以上、なるようにしかならない。しかし美しい。

ロビイストはいつも正しい。パパは最高だよ。