《頤和園》中国で公開禁止か?

今年のカンヌ国際映画祭に中国映画で唯一ノミネートされた婁燁(ロウ・イエ)監督の《頤和園》は、電影局の許可を得ず、監督の婁燁が個人名義でカンヌ国際映画祭に出品しているため、中国国内では上映禁止の可能性があるようだ。

2006.5.19「蘋果日報」大陸の《電影管理条例》には、「個人で映画を海外の映画展や映画祭に参加させた場合は、國務院広播播電影電視行政部門は違法な活動に対して禁止の申し渡し、映画祭に違法に参加した映画フィルムや違法したすべてについて没収する事ができる」「個人がこの条例−許可を受けていない映画を製作、輸出、配給、あるいは自ら内外の映画上映会や国際映画祭を主催、または自ら内外の映画上映会や国際映画祭にフィルムを提供−した場合は5年間映画関連の業務に従事することは出来ない」というものがある。
映画《頤和園》は、2人青年と1人の女性の20年に渡る連綿たる愛情を描いた作品で、天安門事件を背景にしている。婁[火華]は「この映画はひとつの挑戦。映画のクライマックスは結末ではなく、映画の中程にあり、物語りは終結することがない」と話す。また天安門事件だけなく、ベルリンの壁崩壊やソ連、東欧民主化の波にも言及している。北京で電影局に送ったフィルムは、16日に「音と画面が不鮮明」という理由で《頤和園》に対する第1回の審査は据え置きにされた。17日に再度審査に送ったが、これは電影局に拒否された。これでこの映画がカンヌの閉幕前に「通行證」を取る事が不可能になった。製作者は、この映画は敏感な年代について描いているが、すでに20年を経ている。注目すべきは、歴史の中の人の運命についてで、この映画は愛情映画なのです」と話した。
大陸では技術的な理由で《頤和園》はカンヌへの参加が出来なかったわけだが、婁[火華]は、原因ははっきりしないという。(略)by 2006.5.19「蘋果日報

これまで海外の映画祭へ密かに出品、受賞をしていながら、大陸で上映禁止になった作品の一覧というのもついているので、拾っておく。

  • 《藍風箏(青い凧)》監督:田壮壮 東京国際映画祭最優秀作品賞、最優秀女優、最優秀監督賞 1993年 田壮壮は、この後10年間映画が撮れなかった。
  • 《活着(活きる)監督:張藝謀 カンヌ映画祭批評家賞、男優賞 1994年
  • 《郵差》監督:何建軍 オランダロッテルダム国際映画祭受賞、ギリシャ国際映画祭 1995年
  • 《男男女女》監督:劉冰鑒 ロカルノ映画祭批評家連盟 1999年
  • 《過年回家(ただいま)》監督:張元 ベネチア映画祭最優秀監督賞、イタリア人批評家賞 2000年
  • 《蘇州河(ふたりの人魚)》監督:婁燁 東京フィルメックス受賞 2000年
  • 《鬼子来了(鬼が来た)》監督:姜文 カンヌ国際映画祭批評家賞 2000年 姜文は反省文を書き、今年になってようやく作品は大陸でDVD発売された。by 2006.5.19「蘋果日報

おどしなのか? 本気なのか? こうなると単なる「いじわる」にしか思えなかったりするが、謎な国だから、本気かも。天安門事件関係以外に、全裸シーンもあるということなので、こっちが引っ掛かっている可能性はないのだろうか? この記事、今日は娯楽版ではなく、国際版に掲載されている。

昨日午後7:00から7:30の間にsina.comから《頤和園》に関する記事がすべて削除された。by 2006.5.20「蘋果日報

sina.comの自主規制か?お達しか? tom.comなどは記事もそのまま。ついでにtom.comでサーチすると《頤和園》関係の大陸サイトがいっぱいひっかる。sina.comが神経質になりすぎ?
頤和園》でサーチ→http://search.tom.com/searchnews.php?word=%D2%C3%BA%CD%D4%B0

政府(省委宣伝部新聞出版処)から5月19日に通達があったようだ。

各新聞社へ
フランス、カンヌ映画祭及び映画祭参加の許可を得ていない映画《頤和園》についは報道する必要はない。《頤和園》の製作者は、マスコミの取材を受けなくてよい。
各新聞社(新聞、雑誌、ウエブサイトを含む)はこれを尊重し実行すべし。

by 2006.6.21「蘋果日報

禁止とは書かれてないようだが・・・。