愛情萬歳

《愛情萬歳》出演者と監督。鄭希怡(ユミコ・チェン)、洪卓立(ケン・ホン)、鍾舒漫(シャーマン・チョン)、陳柏宇(ジェイソン・チャン)、周柏豪(チャウ・パッホウ)、唐素琪(チェルシー・トン)、方皓玫(シャーメイン・フォン)、許願(クラレンス・ホイ)、呉日言(ヤン・ン)、鄧健泓(パトリック・タン)、張継聰(チョン・ガイチョン) 
崔允信(ヴィンセント・チョイ):監督


中環のSOHOを舞台に若者たちの恋愛を描く。
画廊を経営している如(鄭希怡)には証券会社勤務の優秀な彼氏(鄧健泓)がいる。100目のプロポーズには応えようと思っているが、如が困っている時にはいつも電話は通じない。そんな時、側で世話をやいてくれるのは近所のレストランの外売配達の星(洪卓立)。星は密かに如に思いを寄せている。SOHOで恋愛の悩みを聞くカフェを開いている生(陳柏宇)と晴(鍾舒漫)のカップルは、お金をためて2人で北京に留学するのが目標だが、生は無駄遣いしてお金はいっこうにたまらない。そんなところに晴の昔の彼氏・少雄(張継聰)が現れ、2人の間はぎくしゃく。医者の楊(周柏豪)は、つぎからつぎと彼女を作って一向に決まった相手がいない。ついさきほど彼女(方皓玫)に叩かれたと思ったら、もうバーで見た女性(唐素琪)が気になってしかたがない。


思いのほかよく出来ていて、2004年香港国際電影節で見た《追蹤眼前人》(id:hkcl:20040420)を撮った同じ監督とは思えない。
鄭希怡がこの中では年長でお姉様モード、これが意外によかった。鍾舒漫のぶすっとした顔もなかなかで、セクシー路線の歌(彼女は明らかに倖田來未を意識していると思うのだが)とはまた違った顔を見せている。台湾アイドルっぽい洪卓立は可愛い坊やな役(一番ファンが多く、スクリーンに向かってキャーキャーとうるさかったのだが)で、歌手志望。周柏豪は郭品超(ディラン・クオ)のパクリに見える&許願が蛭子能収に見えてしょうがないというおまけもあり(爆)。アイドルを揃え、それなりの雰囲気にあった役を与えているのは、香港映画キャスティングの王道という感じ。


若者の恋愛を描く群像劇としては、少し前は《百分百感覺》シリーズもあるし、近いところでは《擁抱毎一刻花火(恋する花火)》(id:hkcl:20050920)がある。特に旺角を舞台にした《擁抱毎一刻花火》とこの中環を舞台にした《愛情萬歳》には、とても近いものを感じたのだが、それもそのはず、《擁抱毎一刻花火》の監督・鍾少雄(ビリー・チョン)はこの映画のプロデューサーだった。こういうアイドル恋愛映画に、意外に香港映画の生き残れる道のひとつが残っているのかもしれない。
写真は、左から呉日言、許願、方皓玫、洪卓立、鄭希怡、唐素琪、周柏豪、陳柏宇、鍾舒漫、崔允信監督。
2008.3.23@香港国際電影節(文化中心)


■□08年に見た映画一覧□■


本来23日に上映予定だった《拾分、鍾情》は上映取り消しになっているのだが、この映画の10人の監督の1人で、香港電影評論學會の会長でもある張偉雄さんに事情を聞いたところ、大陸の審査が通っておらず上映が取り消されたそうだ。ということは当然、大陸の資本が入っていて、大陸で上映する気があるということだろう。