風雲II(風雲 ストームウォリアーズ)

《風雲II》郭富城(アーロン・クォック)、鄭伊健(チェン・イーキン)、蔡卓妍(シャーリーン・チョイ)、謝霆鋒(ニコラス・ツェ)、任達華(サイモン・ヤム)、何家勁(ケニー・ホー)、林雪(ラム・シュ)、唐嫣(タン・ヤン)、黄徳斌(ケニー・ウォン)、譚耀文(タム・イウマン) 
彭氏兄弟(パン・ブラザーズ):監督


中原はいま、絶無神(任達華)と息子の絶心(謝霆鋒)に支配されていた。皇帝(譚耀文)をはじめ、歩驚雲(郭富城)や武林の者たちもまた囚われの身となっていた。歩驚雲らが抵抗を試みた刹那、武林の使い手無名(何家勁)と聶風(鄭伊健)が現れ強大な力を持つ絶無神に立ち向かったが力及ばす3人とも傷をおう。猪皇(林雪)の導きで3人と歩驚雲を慕う楚々(唐嫣)はかろうじて戦いを逃れ、生死鬥の邪皇(黄徳斌)を尋ねる。なかなか姿を表さぬ邪皇。そこに邪皇の姪で聶風に思いを寄せる第二夢(蔡卓妍)がやってきて、ようやく邪皇は姿を表す。邪皇は、入魔(魔物に取り憑かれる)しあらゆる人を傷つけてしまうため、自らの腕を切り落としていた。邪皇の投げた石を握りつぶさずに受け止めた聶風を見込んで魔を授けることにする。聶風は「もし自らをコントロールできなくなった時には、お前の手で」と歩驚雲に託し、魔を受け入れることに。かたや歩驚雲は無名を師として力を付けていった。ほどなくして絶無神は彼らの居所を突き止め絶心と刺客を送り、さらに皇帝の秘密を聞き出そうとしていた・・・。


大量のCGが使われており、ギミックに富んでいて面白い画面も多い。しかし問題は物語りに血と肉が感じられないこと。恨みや愛情が見えてこないことだ。前作が千葉真一演じる雄覇への憎悪と、雄覇の愛と憎悪、その娘への歩驚雲と聶風の愛、歩驚雲と聶風の性格の対比など、物語りが歩驚雲と聶風の運命と感情に支配されており非常にウエットだったのに比べ、今回は最初から悪として絶無神と絶心が存在しているだけで、悪に対する憎悪ははっきりとは描かれていない。歩驚雲と聶風の性格の対比も明確ではない。また歩驚雲には楚楚が、聶風には第二夢が思いを寄せているが、お飾り程度にしか2組の愛は表現されておらず、女優2人が演技を発揮する場面もなく不満が残る。
さらに悪である絶無神の任達華は、いかめしい甲冑を付けてはいるがミスキャストではと思うほど面白みがない。いや千葉真一が素晴らしすぎたのかもしれないが。とにかく主役たちの感情が見えてこないため、物語りに深みが感じられない。ところが脇役はなかなかよく、特に無名を演じた何家勁が印象に残った。ちなみに譚耀文の汚い皇帝は、それほど薄汚れてはいなかった。


それにしても人は入っている。前作をリアルタイムで見ていない人もいるだろうし、若い子の感想は聞いていないので分からないが、今の若い子にはこれでいいのかもしれない。前作をなぞっても意味はないわけで、彭氏兄弟は新たな《風雲》像を提案したということだろう。その意味においては成功しているとは思う。なお、続きを作れそうな終わり方であることも付け加えておく。
2009.12.11@旺角百老匯


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