算吧啦、老豆!

《算吧啦,老豆!》
廖啓智(リウ・カイチー)、薛凱琪(フィオナ・シッ)、周柏豪(ザウ・パッホウ)、單立文(パル・シン)、劉以達(ラウ・イーダ)、細蘇(サイソウ) 許樹寧・劉健平:監督


俳優の祥貴(廖啓智)は、かつて《上海灘》に出演したことはみなが知っているが、これまでずっと芽が出ない。芝居のことばかりを考え妻には逃げられ、小さい娘もかまってやれなかった。今は役者の仕事もなく、コンビニで働くただのオヤジ。大人になった娘(薛凱琪)は家を出ており、父・娘のコミュニケーションは上手く取れない。
なんとか娘の関心をひこうと誕生日のプレゼントを渡そうとする父だが、娘は受け取ってくれない。そんなある日、コンビニやってきた不審な男が店員と子供につぎつぎと刃物を向け歌を歌わせろと騒ぐ。祥貴は犯人に近づき逮捕に強力し一躍有名になった。その時助けた子供の父が祥貴に礼金を渡そうとするのを辞退、自分の映画に投資してくれないかと話すのだった・・・。


父と娘のわだかまり、父の映画(俳優)へ執着の2つが柱になって物語が進んでいくのだが、柱が2つあって、どっちつかずで惜しい。もう少し整理してテンポをよくしゃきしゃきと物事が進んでいくと面白くなるだろうし、ライトコメディも生きてくると思う。突然歌って踊りミュージカル仕立てになったりするが、これも中途半端で苦しい。
父の妄想する映画のシーンなどにさまざまな映画のパロディやオマージュがあり、映画への愛はよく理解できるのだが、前半部分などは特に廖啓智の演技にすべてをまかせてしまっているのは辛い。廖啓智と薛凱琪の組み合わせに期待したが、どちらも想定内の演技で、はっとするものが感じされなかったのも残念。コンビニで働く人たちが実はみなかつては映画にかかわっていたらしいという設定は笑えるが、実際にありそうで悲しい気持ちになった。
監督は元々舞台演出家で、どうやらこれは映画1作目らしい。次回に期待。
2011.5.19@影藝


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