3D 夢遊(夢遊 スリープウォーカー)

《3D 夢遊》
李心潔(アンジェリカ・リー)、霍思燕(フォック・シーイン)、楊采妮(チャーリー・ヤン)、李宗翰(ケルビン・リー)、鄭則仕(ケント・チェン)、黄徳斌(ケニー・ウォン)、鮑起静(パウ・ヘイチェン) 
彭順(オキサイド・パン):監督


紫怡(李心潔)は1人暮らし。仕事は洋服の仕立てで、2人女性を雇っている。しかしこのところ紫怡の情緒は不安定。雇われ人たちも彼女の言動や行動をいぶかっている。ある時、紫怡は水道の水の流れる音で眼が醒めたり、夜中に警察官が家にやってきて「真夜中一人で歩くのは危険だ」と諭されることが重なる。さらには同じ場所の夢を何度も見て、果たしてそれは現実なのか夢なのか分からなくなる。紫怡はもしかすると自分は夢遊病なのではないかと疑い始めるのだった・・・・。


李心潔と楊採妮、霍思燕がある事件をきっかけにどんどんたぐり寄せられていくという謎解きを、ホラー仕立てに見せる。ホラーではなく推理劇として作った方がより面白かったのではと思う。
この映画、主なロケ地は香港映画を見慣れた人にはすぐに分かる場所なのだが、映画に写っている場所は香港的記号がはぎ取られている印象を受ける。
李心潔の家と森の位置関係も、深夜に夢遊している李心潔は家を出た後、どうやって森へ行くのか? お金を持ってタクシーを拾うとも思えないし、オクトパスを持ってバスに乗るとも思えない、。さらに李心潔の住まいは建物の1階(つまり路上と同じ高さ)になっており、ドア横にブザーがついているが、香港の住宅特有の鐵閘(鐵の作のような扉)がない。そんな無防備な家は香港の町中にはない。さらに二階建てバスもトラムも小巴も写らない。李心潔住まいの周りの風景も坂道のある街というだけで、(道路標識は写るが)香港的な風景の記号はまったく写らない。霍思燕が母を尋ねていくシーンではボーダーを越えるように思えるが、具体的な土地名は出てこない。つまり香港である必然性がまったくないし、画面から香港が感じられない。もともと香港という土地に執着がないと思われる彭順にとって、物語が発生する場所は、ある雰囲気(条件)を持った場所であれば、それが香港でもタイでもかまわないのだろうと思う。そこがもうひとつこの映画に踏み込んでいけない理由でもある。
2011.11.3@旺角百老匯


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