魔警(クリミナル・アフェア 魔警)

《魔警》
張家輝(ニック・チョン)、呉祖彦(ダニエル・ウー)、思漩、林嘉華(ラム・ガーワー)、安志杰(アンディ・オン)、廖啓智(リウ・カイチー)、歐錦棠(スティーヴン・オウ)、李國麟、陳芷菁、王合喜(ケン・ウォン)、呉浩康(ディープ・ン) 林超賢(ダンテ・ラム):監督 
2014年


警官のDave(呉彦祖)は性格に問題ありと上司から評価されており、現在は病院内の警官詰め所が勤務地だ。兇悪犯罪集団「鬼王黨」を追ってきた刑事・莫子勳(林嘉華)らは一味のアジトに踏み込むがすんでのところで首謀者の韓江(張家輝)を取り逃がした。重症を負った韓江は自ら病院へとやってくるが、彼の血液はRH−。病院の詰め所に居たやはりRH−のDaveがすすんで輸血し韓江は一命を取り込めた。Daveは韓江の顔を見て驚く。かつて同じ団地に住んでいた警官だった男とそっくりだったからだ。男は祖母と2人暮らしだった。子供だったDaveは、その警官の男が市民の暴動を取り締まる際にあやまって父を殺したと思い込み、2人の部屋に火を放ち男は亡くなり祖母だけが助かっていた。今は、Daveがその祖母の面倒をみていた。莫子勳から韓江を助けたことを強くののしられたDaveは混乱し、1人で鬼王黨を追いかけはじめた。Daveは厳格だった父の要求に応えられない自分に罰をあたえる一種の自傷行為を行うなど、子供の頃のトラウマが強く精神的に不安を抱えているもののこれまではかろうじ保たれていた精神状態が、韓江の出現によりいっきに崩れていくのだった。。。


林超賢今回は、不敵な笑いを浮かべる凶暴な張家輝に髪をきっちり分けてなでつけた神経質そうな呉彦祖をぶつけて、凶悪な犯罪を暴いていくと同時に、精神のバランスを崩した警官の心の闇をえぐり出すという、なんとも異色の警匪片(警察と犯人の映画)を作り上げた。全体に重苦しく、見終わってもちっとも救われず、見ているものの精神状態にも影響を及ぼしそうだ。しかしその重苦しさは、心理作戦というよりは火気や銃器によって作り出させる凄惨な場面によっているのが林超賢らしく、時にはやり過ぎになっているのもらしい。(そして密かに思っているのは、林超賢は棒がささるのがお好き。)
脇役にも直情形の林嘉華、やっぱり裏切る安志杰、智能派の廖啓智、企んでそうな歐錦棠、臆病ものの李國麟など的確に配置。しかし、やはり彦祖をいじめるのは爾冬陞の方が上手なことと、林超賢が張家輝をあまりこき使っていないので、濃密な画面のわりには不満が残ってしまった。ただし、嬉しかったのは久々に梁焯滿の姿を観られたこと。そして相変わらずゲスな野郎で女好き役だったこと。
2015.02.17@シネマート六本木
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