シネサルの「映画のブログ」

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 『偉大なるX』 ★★

1948年、日本(松竹)、モノクロ、1:1.33、81分、日本語
【監督】大庭秀雄【脚本】新藤兼人
【出演】宇佐美淳津島恵子杉村春子笠智衆殿山泰司清水一郎、他
2013/10/28(月)鑑賞、WOWOW放映
<ストーリー>
 売れない小説家の九木(宇佐美)は、自分が作り出した架空の人物「偉大なるX」氏がいずれ現れて、犯罪や不道徳のない世界を実現すると言い出した、
 彼の住むアパートの住人の数人が彼に同調し、九木は街頭演説も始めて次第に有名になった頃、謎の怪盗Xが次々と盗みを働き、久木の前に現れて彼の理想主義を批判した。
 久木は警察にも取り調べられ、彼の夢想が白い目で見られるようになったので、Xが講演会を開くと言い出し、会場には怪盗Xが現れることも予想して警官隊が配備された。
 X氏は現れないと皆が思ったとき、九木に理解を示していた警察署長(笠)が覆面姿で講演し、観客は拍手で彼を送った。
 怪盗Xも会場で逮捕され、久木はXは誰かではなく、皆の心の中にいることが大事だと言った。
<感想>
 覆面姿の怪盗も登場したりで、サスペンス的な面白さもある作品。
 現実的には、現実性のない理想論、ましてや文化人が専門外の政治の世界に出しゃばって講釈を垂れるなんてとんでもないこと。
 圧政や大量殺人が、革命などの美名の元に行われたという数々の歴史上の実例を思えば、主人公の主張は無邪気過ぎる。
 でも本作の場合は、終戦直後のすさんだ世相という背景があっての、理想を高く持つことを訴えるストーリーなのかもしれない。
 不道徳さを表すイメージショットの中に、ストリッパーのバストトップが露なカットがあるのだが、思い付く限りでは日本最古。