英語を学べばバカになる


Amazonに『文科省が英語を壊す』がでています。一番売れていた時に売り上げランク、150くらいになったことがありますが、今や3万前後です。全部で、百万点弱あるうちの3万ですから絶望的に下位というわけではありませんが、発売1年半も経つとこんなところに落ちてきます。時々何位くらいになっているか覗くのですが、たまには千台になっていることもありますが、10万台もあります。そのところこの本を買った人が同じく買っている本の上位5点が出ていますが、この間見ていたら『英語を学べばバカになる』(光文社新書)という本がることを知りました。(因みにこの本は昨年5月発売ですが、現在の順位は5万です。)

早速買って読んで読んでみましたが、面白い本です。基本的に共鳴できる主張ですが、この本は「グローバル思考という妄想」という副題がついているように、アメリカスタンダードをグローバルスタンダードと思い込み、グローバラリゼーションについていくためには英語が不可欠というのは幻想、妄想に過ぎないことをそれこそ世界的な視野で、ヨーロッパの実情、アメリカの現実などを具体的に紹介しながら、きわめて説得的に説明しています。是非読んでいただきたい本ですね。5万にいる本ではありません。

私の本でもこのことは強調しましたが、この本はそれに集中して説明しているので、非常に迫力があり、参考になります。私の本は、それはいわば前提の導入部とし、さて英語は必要だが、その必要性というのは第二公用語などという日本人すべてに求められるものでは全くなく、せいぜい20%かその程度のひとにとってである。問題は実際に必要とされる人が要求されるレベルの英語力を身につけていないところにこそある。第二公用語を提案した「21世紀日本の構想」メンバー及びその同類の人たちこそがその人間に当たるが、にもかかわらずその能力に欠けていることが問題であって、国民一般にその責任を押し付けるのはとんでもない間違いであり、責任回避であることを私は主張しました。その点がこの本では余り論ぜられていないのは少々残念なことです。「武器としての英語」ということは私は非常に重視しているのですが、この本ではやや否定的な扱いもしています。それは、一部の必要な人と日本人一般とが明確に区別されていないせいではないかという感じがします。私は、国民一般に全く役にも立たない「日常会話」的な英語を教育しようという目標を掲げる文科省の考え方を徹底的に批判し、本当に使える英語はどうしたら身につけられるかということを提示しましたので、ニュアンスが変わってきたのだと思います。

神様語ではないし、グローバルリテラシーでもなんでもない英語を国民全員に中途半端に覚えさせようという文科省の方針は、確かに「バカ」をつくることにしかならないことは間違いありません。この本の主張に大賛成です。