加藤文元『数学する精神』(中公新書、2007年9月)読了
専門の勉強をせずに、逃避しております。
数学する精神―正しさの創造、美しさの発見 (中公新書 1912)
- 作者: 加藤文元
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2007/09/01
- メディア: 新書
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でも、文系かつ数学啓蒙書好き、という人ってけっこういるんじゃないかとも思うのだが、どうだろう。その層にうまく届いたのが、小川洋子の『博士の愛した数式』だったのではないかしら。この『数学する精神』も、数学の「不思議」をうまくすくいとって示してくれる。著者によれば、「一般向けにわかりやすく数学を解説した本」ではなく「『数学そのもの』についての本」なのだ、と。これは前回のメモとも関連するのだが、一見関係なさそうな場面に同じものがひょっこりと顔を出す、そのことで異質に見えるものがどんどんと「つながって」いく、そのおもしろさを上手に見せてくれるのだ。まるで、テキ屋の口上のように、手際よく、スピーディに(と思っていたら、あとがきに、この本は1週間ほどで書き上げた、とあった)。二項展開、無限級数の和、実数論、集合論、公理系、ときて、なかなかおもしろいと思っていると、パスカルの三角形が出てきて、二項定理が出てきて、あれよというまに各項目がつながっていく(これじゃなんだかわからないね)。一気に読みました。