アダム・ラップ『きみといつか行く楽園』(徳間書店、2008年5月)
原書タイトルはLittle Chicago(2002)。著者のアダム・ラップは1968年にシカゴで生まれる。劇作家、小説家であり、映画監督や音楽なども手がけているようだ。代田亜香子訳。
- 作者: アダム・ラップ,代田亜香子
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2008/05/16
- メディア: ハードカバー
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登場人物の造形がちょっと戯画的・紋切り型だし、結末もありきたりといえばありきたりだ。氾濫する性的モチーフなど、日本人にはリアリティを感じづらいところもある。
しかし、それにもかかわらず、引き込まれ、一気に読み終えてしまった。それはおそらく、たとえ上記の状況に置かれてはいなくとも思春期の子どもが感じているであろう、周囲の世界と心と体のどうしようもないバラバラ感、非現実感をうまくすくい取っているからだと思う。あるいは、自分の発する言葉が自分から遠ざかっていくような感じとか。それに、ユーモアとシリアスのバランスがいい。
アメリカ人の若者が感じるリアル感を、日本人では感じづらいかもしれない。でも、ハマる子はたくさんいそうな気がする。