スポーツ法及びエンタテイメント法における諸問題(2/2)

第2 諸外国の状況・国際的な動向 1 国際的な動向 国際的な動向として、本来であればWIPOやTRIPs協定等の関係を考察しなければならないが、本報告では主たるテーマたる権利制限又は報酬請求権に関連する部分のみ取り扱うものとする。 権利制限について考察…

スポーツ法及びエンタテイメント法における諸問題(1/2)

第1 報告書の概略 本報告書は、スポーツ法、エンタテイメント法にかかる諸問題をある程度網羅的に概観し把握した上で、特に重要であると考えられる著作権の権利制限における一般条項の導入及び報酬請求権化の是非について検討することをその趣旨としている…

産科医療における無過失補償制度について(5/5)

2 論点 (1)補償の目的 ア 補償と原因究明 上記のような構造を有する産科医療補償制度にはいかなる論点が存在するかを検討する。 本制度は、(1)分娩により重度の脳性麻痺となった児及びその家族に対して速やかに補償するとともに、(2)脳性麻痺の原因…

産科医療における無過失補償制度について(4/5)

産科医療における無過失補償制度の検討 1 産科医療補償制度 (1) 制度創設の経緯 被害者救済という観点からすれば、全医療を対象として無過失補償制度を実施することが望まれるが、補償対象を拡大すれば財源上の限界という問題に直面する。そこで、緊急度…

産科医療における無過失補償制度について(3/5)

各国の制度 1 概論 (1) 類型 補償制度の類型としては、以下のような3種類があるといわれる。 第一に、社会保障制度が挙げられる。この制度の下においては、民事責任との関係は断ち切られている。すなわち、資金の拠出者は、侵害者または潜在的侵害者とは…

産科医療における無過失補償制度について(2/5)

2 社会保障法・保険法 (1)概論 ア 保険の定義 保険を定義した法規定は存在しないが、一般に保険とは、同様の危険に晒された多数の経済主体が金銭を拠出して共同の資金備蓄を形成し、各経済主体が現に経済的不利益を被ったときにそこから支払いを受けると…

産科医療における無過失補償制度について(1/5)

はじめに 本稿の目的は、産科医療における無過失補償制度を検討することである。 日本の周産期医療は、世界的にみても低い新生児死亡率や周産期死亡率を達成している。 ところが、産科医不足、産科医療提供体制の問題点がなどが指摘されて久しく、出産医療を…

インターネットのコントロール・ポイント

要旨 インターネットに関する技術と市場の変化は、コントロール・ポイントを顕在化させた。そのため、アーキテクチャ自体を変容させる形で規制作用を及ぼす技術的ゲートキーパーを利用する可能性が生じた。しかし、アーキテクチャ自体を変容させることは、生…

レッシグの4つの制約要素

要旨 法(Law)以外にも人の行為を制約する要素(constraints)は存在する。規範(Norm)、市場(Market)、アーキテクチャ(Architecture)がその要素である。 ただし、各制約要素は相互に影響を与えている。なかでも法は、規制を規制するもの(meta-regula…

法音について

法に関する記事を書く予定です。