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2015-12-02

「のうりん」の絵問題から感じたことをつらつらと

「私はこんな感じでしたよ」

色々と騒ぎになってますが、いやあ、私がもしこのコラボの主催者側だったら絶対SNSで同じことやって炎上騒ぎ起こした自信が満々にあるって思うんですよね……だって本当にあの良田胡蝶ちゃんのイラストをエロいとか欠片も思わなかったもんで。

実際「可愛らしく描けてるなあ。さすが切符氏だぜ……」とかでしたから。

でも世の中を見渡せば「いやらしい……」「無理やりやらされてる感が凄い」「見た瞬間にセクハラ絵」とか言われていた訳で、正直かなりビックリしましたよ。

「なんでこんなに感じ方が違うのかしらん?」

……まあその後「俺なんでそう感じなかったんかなあ」とか考えた時、シンプルに「『のうりん』という作品に長く触れていて、良田胡蝶ちゃんをよく知っていたから」って結論に到達したんですけど。

これあくまで大雑把な例えですけど、

それらを今現在の世の中でエロとしてだけ切り出して多くの人が取り上げてああだこうだ言いたくなるか、っていうと、批判的な視点ではあまり無いんじゃないかと思うんですよ。だって「マリリン・モンローも峰不二子もそういう部分を含んでいる存在だから」って前提が出来上がってるからだと思うからです。「主人公がアフロって何考えてるんだ」「あのカッコ悪いメカデザインは何なんだ」って改めてケチ付けられても何がなんだか。だってこれイデオンですよ? みたいなもんです。

「キャラクター全体を知ってたからか?」

「のうりん」の原作読んでると、それを当然のものとしてみる積み重ねを10冊とか続けてる訳です。

そうすると大騒ぎになった良田胡蝶ちゃんのイラストのあの姿も、

  • 畜産に関して凄い熱意を注いでいる真面目少女
  • ツナギ姿で牛の世話をする姿が標準
  • 同級生に非常に分かりやすい恋心を抱いていて微笑ましいを通りすぎている感じ
  • しかし物凄く素直ではないので一体どうなってしまうのか周囲がヤキモキする
  • 指摘されるまでもなく普段から胸がデカイのを恥ずかしがっている
  • 「む、胸のことは言うなっ!」

という原作における彼女のキャラクターを一枚絵で端的に表現しただけにしか見えないんですよね。胸がでかいとか恥じらっているとか、わざわざ「良田胡蝶を構成する個別の要素」を解体してどうこう言うとか思いつかなかったです。だって「良田胡蝶って元からそういう部分を含んでいる存在だから」です。

いやそれどころか……作中でしょっちゅう恥ずかしがっていたりするんで、

「胸のことで本人をからかったりするの止めなよ。本人も気にして恥じらったり隠そうとしたりしてるけど、良田胡蝶ちゃんはそういう人でしょうが。なのにわざわざ胸の大きさとか恥じらってるとか取り上げてどうこう言うのもセクハラの一部じゃん。エロいって文句つけてるお前の視線がエロいよ」

って実在の人物でもないのに考えたりしましたからね。

「どっちが正しいかなんて分かんねえ」

自分の考えが変な気がしてはいますけど、ぶっちゃけ本当にそんな感じでした。

……まあこの問題の切り口としては公共性の問題とかそれを仕掛けた側の思惑とかそもそものキャラクター創りの部分とか、まあ色々ありそうなんで実際にはそんな単純な話じゃないんですが。

でもあの絵を大騒ぎした人がほぼ原作未読であろうことは間違いないと思ってますがね。一人の独立したキャラクターとしての視点がないから、キャラの一要素だけ自然に抜き出して批判するんだろうって思ったりします(或いは強度のおっぱい星人で、胸が大きいと問答無用でそうしか見えない、とか)。

でも改めて絵を眺めてみて、

確かにキャラクターとしての手がかりなしのまま、この絵を要素だけを手がかりに見たらエロく見えるか? ……そう見えそうだな……。というか見る人は確かに一定数いそうだな……。

って気がついたのが随分後です。

キャラクターを知ってる人知らない人、目にする人に両方いるのは分かりきってることですからね。ファン向けのコラボとしてはエロくなくても(私みたいな感じ方の人とか)、偶然それを目にした人にはエロく映ったりするも避けられないし、そしてエロいって言い出した人に対して「そりゃお前の受け取り方が変だろ」とか言うのもまた間違ってるって思いますし。

地味に「目をつけられたのが運の尽き」って言えなくもない気がしますが、それ言ったら身も蓋もないですね。でも本件の内部と外部の大きな温度差は、恐らくこの辺り「要素で見たか/キャラクター全体で見たか」にあるんじゃないかと思ってます。

「誰がエロいって決めた!?」

もちろんエロいって誰がどう感じるのかって千差万別過ぎて分からないってのももちろんありますが。

はてブのコメントにも書いたけど、かつて西洋では裸婦画が猥褻なものとして大批判の憂き目にあっていた時代があります。今の世なら大多数が美術史に残る作品として見るマネの「草上の昼食 」とか、当時激しく批判されたことでも有名だったりします。さらに時代を遡れば裸婦画描いて異端審問会に没収されたりとか。「鏡のヴィーナス」という裸婦画なんて怒り狂った女性に包丁で刺されまくったなんて事例も実際にあったりします。……20世紀の話ですよ?

猥褻というのは半世紀違えば、或いは土地が変われば、文化的背景が違えば、宗教が変われば、そして受け手の状態が変われば全く違ってしまうようなものだってことです。昭和初期の日本の女学生が現代の少女たちのような短いスカートを着たら、当たり前のように下品とか恥知らずと言われそうです。水着でビキニ着たら恥ずかしくないのかと聞かれたでしょう。うる星やつらラムちゃんの姿がヤラシイって騒ぎになったのもそう遠い昔の話じゃないですよ?

日本で有名な「チャタレイ裁判」とかの事例を出すまでもなく、猥褻とか卑猥っていうのはいつでも酷く曖昧です。それは性的興奮を何から得てしまうかという点に不変の合理的な正解が存在しないからです。

「疑ったりしないの?」

なので、「のうりん」絵でも「これを問題あると感じられない人の感覚はおかしい」とまで言い切っている人とかいましたけど、なんで猥褻とかいやらしさなんて曖昧な存在のものについてそこまで断言できるのか私には良くわかりません。いやらしいって感じることが理解できないのではなく、時代とともに大規模アップデートされることが避けがたいシロモノで、自分の立ち位置もあやふやなのにそれを曇りなく信じられる心境が理解し難いと言いたいのです。特にこの件は18禁とかのレーティングみたいにルール化されている部分を乗り越えちゃってる訳でもないですしね。

ただ同時に「この『のうりん』の絵には問題は全くないだろいい加減にしろ!」とか言いたいわけでもないです。単に、「貴方の自称”正常な感覚”を保証してくれるものは一体どこにあんの? 疑問に感じないの?」って言いたいだけなんです。

「私とは違いすぎる」「この絵を不快に思う」とかならよく分かります。でも時々「世間というのは、私でしょう?」ということを平然と宣って、それどころかそれを世の中に強制する人がいたりするので油断できません。まあ些細な言葉遣いの問題の部分が多いでしょうからあまりカリカリするようなことでもないんですけど、間違いなくいますよね。

……言うなればマナー問題みたいなものでしょうか? エスカレーターの右側は空けるのがマナー、みたいな。いやでもそれ正しいの? 誰にとって? 貴方の口にするマナーって単なる俺マナーじゃないの? って思ったりすることありません?

それと同じような問題だと感じてます。

「貴方は何がエロく感じます?」

ついでに、私個人の話になりますが、こうした現代のアニメ調のイラストとかと裸婦画を比較して見た場合、よりエロく見えたりするのは裸婦画の方だったりすることがしばしばあります。

なんというんでしょうか……画家の視線を通り抜けて出てきた女性の裸の絵って、そこにはエロスに関する幻想とか妄想的な何かとか画家の主観を含みまくってる訳じゃないですか。それを見るっていうのは……まるでお熱い夫婦の寝室を覗いているような気分になる時があるというか……。

裸のマハ」って有名な絵がありますけど、あれとか画家とモデルの間の物語を想像して色々と悶々とします。あの女性の眼差しとか、それを受けながら絵にする画家の気持ちとか……なんかそういうのです。

作品に含まれる物語というか作家性というか、そういうものが私の脳内のエロスイッチに直結することがあるってことですかね。もちろん逆に物語性がエロを完全に排除することもあります。私の場合、前者が「裸のマハ」だったり、後者が今回ののうりん絵だったりするって話で、そういう人は珍しくないんじゃないかって話です。

まあ上手く説明も出来ないんですけど、でもまあそういう人もいるんだってことを押さえておいては欲しいです。

「Noが嫌なんじゃないです」

繰り返しますけど、あらゆるコンテンツは公開先の場を意識する必要がないなんて言うつもりはないんですけどね。好きなものは好き、イヤなものはイヤって言われる、それ普通の反応ですよね。

結果として主催者はチラシを回収したんでしたっけ? それはそれで間違った判断だとかもちろん言いません。批判している人がおかしいとかももちろん思いません。感じ方はみな違うものだし、そういう人たちの不快感を黙殺するのもまた変だろうと思うからです。そもそも事の発端は観光絡みの宣伝話ですし、無視していいどころか笑い事じゃないでしょうし。

私個人が本件で不快に思うこととすれば「自分の偏見を『一般的に』『世間では』『常識的に』『ポリティカル・コレクトネスの観点から』などの言葉で多数派を装って押し付ける声だけでかい人」がイヤなんです。

……まあ私もいろいろ口走ってきてますから、人ごとじゃない感じはひしひしとしてますけど……。私は正しい、お前は間違ってるって言い切るのは快感ですから。……でもそんなことこの世の中にどれだけあるんだろうっていつも思ったりしますので、この手の話はずーっと口を噤んで黙々と人生を歩いて行くのが一番利口な振る舞い、かも知れません。

まあ久しぶりに

脳内に出力したいことが溢れてきたんでまとめましたけど、すっきりしたようなしないような……。でもいわゆる偏見とか主観でしか見ることが出来ない話題って難しいです。……さらに考えてみれば、ブログなんて個人の偏見の塊の表明みたいなもんですし……偏見から自由になるというのは……(以下永遠にループ)

2014-03-28

お、おおお……。

ルルイエの

クトゥルフばりに眠っていた訳ですが、死んでません。死んでませんが復活してません。

ものすっごい久しぶりにブログを覗いてみたんですが、特に代わり映えなく自分のブログがあったことに驚きです。が、消えちゃってたら泣いちゃったと思うのであって良かったです。

ブログの更新が止まってから数年が経っていますけど、まーやることがアレコレと変わったりはしましたが、相変わらず日常的にちんことか口走っているので、やっぱり人間の精神年齢って高校生くらいで止まるんだね〜と妙な確信を持ったりします。

が、お前は高校生でもちんことか言ってゲラゲラ笑ってたんかと言われたら、ぐうの音も出ないです。人生すいません。

ラノベ

読んでますが、随分読む量は減りましたねえ。

以前もあったんですけど、市場が飽和する頃には私の脳内も飽和状態になってしまっていて、なんかもーヤダみたいな感じになっちゃうんですよね。なんでかは知りませんけど。別にラノベが面白いつまらない関係なくそういうことが起きます。

読了後に何か書きたい気持ちになる時が無いわけではないんですが、どうも言葉が重たいというかねぇ……脳が働かないというか。アラフォーの限界でしょうか? 性欲の減退でしょうか? 頭髪の後退でしょうか? 性欲はまだスゴイので多分性欲のせいじゃないですし、髪の毛フサフサです。羨ましい?

まあ

ボチボチとね。ボチボチとイキますよ。だらだらとね。

だらだらで思い出しましたが、来世はスライム型生物とかに生まれ変わって、ビキニアーマーの女戦士とか白銀の鎧で身を固めた女騎士とかに襲いかかって触手系のアレする暮らしとかを送りたいです。火が弱点と見せかけて実は強アルカリ水溶液に弱いとか、そんな感じでお願いします。

2012-03-21

ゴールデンタイム(4)裏腹なるdon't look back

ストーリー

前巻のあらすじ部分でも使ったような気がするけども、春真っ盛りのはずである。

「はずである」という言葉が使われる場合、現実は大抵録でもないというのはご存じの通りで、「苦しまなかったはずである」と書いてあれば多分苦しんだに違いないとか思うのが人情である。だからこの言葉が使われた場合は大抵の場合要注意である。

何が「はずである」のかというと、当然多田万里加賀香子の順風満帆ワッショイキャンパスライフの事であって、つまり「はずである」という事は「そうなってはいない」という事でもある。そこに暗雲を立ちこめさせているのはもちろん主人公たる万里に隠された「もう一人の万里」。

彼が消える時に抱え持った想いは実際の所、まだ消え去ることなく万里に張り付いているのであって、その亡霊をどうにかしないことには今の万里に悩みのない生活はやってこない。しかしここで最大の問題になるのは「一体どっちの万里の想いこそが万里にとって優先すべき、あるいは大事な想いであるのか」が誰にも分からないところ。

万里の前に否応なく過去を連れてくるのは、不幸によって精算し損なった過去そのものであり、今を楽しく過ごしていくための重要な関係の一つでもあるリンダその人である。誰かが悪いと言えればナンボか楽だろうが、強いて挙げれば悪いのは万里その人であって、強いて挙げなければ誰も悪くないという見事な泥沼を構成していた。

そうこうしつつも時は流れる。そしてまた誰も彼もがゆるゆるな大学生をやっているように見えて、それなりに必死であるという事でもある。過去に襲いかかられる万里に、何かに感づく香子、そして知らん顔が仕切れないリンダという面子に、一体どんなラストシーンが用意されているのか、まだ誰も知らない……。

という4巻です。

そうですねー

そろそろ万里と香子は一発ヤっといた方がいいんじゃないすかね?

いきなしぶっちゃけましたけどね。個人的な本音です。が……どうやらそうなってないところを見るとそういう準備が出来てないというのが正しいんでしょうなあ。香子がというよりヘタレ万里がですけど。好きだ好きだと思っているのに彼特有の後ろめたさがもう一歩を踏み出すことを躊躇させている訳ですよ。香子的にはひょっとしたらもうかなりウェルカム状態のような気がするんですけどね。

大体ですねえ、万里はヘタレの最上級系ですよ、本編中で、

そんなの香子に大して冒涜的だ。

とか寝ぼけまくった事を抜かしてやがりますからね。この野郎は香子を何だと思ってるんですかねー? 現人神かなんかなんでしょうかねー? というか自分の後ろめたい部分のある本音と向き合いたくないからそういった「穢してはいけないもの」とかって位置に押し上げてるんでしょうけどね。正直そういう勝手な思い込みとかって童貞っぽくて無様ですよねー。香子だってうんこするんですよ。ねえ?

・・・まあこんな風に万里の事を悪し様に書きまくってるのも、えー、つまるところ自分の身に覚えがあるからなんですけどね!

話の方は

進んでいるようで進んでいないという感じの一進一退って所じゃないですかね。

じわじわとリンダと万里の過去を本編に混ぜ込んで来ているので読者の不安感は徐々にMAX目指している感じで落ち着きません。万里は主人公だからとにかく七転八倒してもらうしかないにしても、香子には万里と上手く行って欲しいという気がするし(痛くて面倒くさいけど良い娘でもあるんだわ)、リンダはリンダで万里との事を上手く出来たらいいねと言う気がします(お調子者でついつい本音と逆を喋るのが混乱に拍車をかけます)。

結局のところ万里次第なんですが、彼は彼でぶっちゃけどん詰まり状態なので、もういっぺん頭をハンマーでぶん殴ってもらう位しか抜本的な解決策が見あたらないところが痛いです。自分に正直に! とかって次元じゃないんですもん。半ば二重人格になっちゃってますからね。もう真ん中で二つに割って、片一方を香子に、片一方をリンダにとかした方が良いかもしれないレベルです。

この4巻の中では誰が良かったとか言い辛い展開だったんじゃないでしょうか。自分が分からない万里はともかく、とにかくストーカー気質全開で痛い怖い所を沢山見せまくった香子に、踏ん切りをしっかりと付けられないためにあっちこっち地雷散布中のリンダという案配です。うわあ、肩入れしにくいなー。いやみんな好きですけどね。

暗黒青春ラブストーリーとかそんな感じじゃないッスか! どこらへんがゴールデンタイムなんですか!? ・・・いやまあ、恋愛ごとに集中してられるってのは十分人生のゴールデンタイムですよね。・・・でも中に踏み込んでみると、相当ドロドロしているんですよねこのゴールデンタイムは・・・。

そういえば

ちょっと気になったのが本の薄さですかね。

今までよりページ数が少ないのでちょっと残念無念という感じでした。唐揚げを食べる量を減らしたりしてガス欠になっちゃったりしてませんか? などと考えたりする訳ですが、あとがきによるとまだ34歳らしいですねゆゆぽりん。ウホッ! 俺的には余裕でイケる年齢じゃねえすか! 全然関係ないですけどね!

年齢のことはともかく、本が薄いと悲しいです。料金的な意味ではなくて、話に没入していられる時間が必然的に短くなってしまうので、本大好き人間からすると「文字が大きくて薄い本」=「人の夢と書いて儚い……何かもの悲しいわね……」というアグリアスおねえさんが登場してしまう事態になるのです。まあ分厚いけど中身がない本は最悪ですが、たけゆゆに限ってそれは無いので贅沢な要求ではありますけど。

それ以外には特に文句はないんですけど、なんですかねこの「一言もの申したい」感。普通ここまでそんな気持ちにならないんですけど、やっぱあれですか、全力失踪中のゆゆぽが「もっと出来る子」とか思っちゃってるのがいけないんでしょうね。まあ先日も三冠馬のオルフェーヴルが無茶なレースとかして話題になってましたけど、あんな気分ですかね。女性を競馬馬と比較して良いモンかどうかは別として。

総合

うーん、なんだかんだ言って文句言ってたりするしな・・・星4つ位ではあるまいか。

話はつなぎっぽいはずじゃないのにつなぎっぽい印象を受けるという不思議な出来です。面白いッスよ。面白いけどもう一波乱とかありそうと思ってたのに最終ページになっちゃった! って感じなのでこの星の数になってます。読者ってのはつくづく贅沢に出来てますね。でもまあ彼らのゴールデンタイムがどんな結果を出すのか、それをきっちり見届けたいという気持ちには寸毫のブレもありませんけどね。

少しだけ気になるのは、こういうゴールデンタイムって、後々「ああ、あの頃のぼくらは確かに光の中にいたんだなあ……」なんて事を「今のどこか不幸せな現実」から振り返った時に始めて分かる類のもののような気がするんですよね・・・それって、彼らの行く末が決して幸せにならないことを暗示しているようで、ちょっとドキドキです。せめて物語の中で位は、誰もが笑っている未来図を見せて欲しいなあなんて思ってしまうんですよセンセー。

イラストは”この人がなんで評価されているのか本当に俺には分からない”駒都えーじ氏です。意味不明一歩手前なファッション用語で描写される香子の姿は果たしてイラストでは正しいのか!? などと検証したくなりますが、そんな重箱の隅をつつくような事は正直どうでもよくて、とにかく奥行きが無くて動きが無くてついでに個性も無いようなこの絵柄が俺は大嫌いです。

2012-03-20

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。(4)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 (ガガガ文庫)

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。4 (ガガガ文庫)

ストーリー

自称《積極的ぼっちだからキングオブぼっちでOK》比企谷八幡の高校生活は”アラサーシングル寂しくて(曲名でありそう)”平塚先生に「奉仕部」に入部させられたことによって新たな局面を迎えているような気もしたが、夏休みにもなると全力で海へ山へ……行くはずもなく、完全なる引きこもり(完全体ヒッキー)となって浪費されていた。いや、本人曰くこれが正しい夏休みの過ごし方であるので、ぼっちライフを積極的に生きる彼に後悔は無いのだった。……うん、多分無いと思う。

客観的に見て、対人スキルが無い訳でもないと思われる八幡の場合、ぼっちはぼっちでも積極的ぼっちとも言えるある種の主体性のあるぼっちであり、排斥されているからこその結果としてのぼっちでは無くなっている(多分長年の悲しい経験が彼を一流のぼっちとして鍛え上げた)所がミソであり、無駄に鍛えられた観察眼と無駄に発揮される一人でも生きられますパワーが、よく分からない魅力となっている妙な主人公である。このまま行くと将来の死因は心筋梗塞とかで、いわゆる孤独死まっしぐらである。まさに一人社会問題の縮図野郎である。

とにもかくにも夏休みなので八幡的引きこもり夏休みを満喫していた訳だが、溺愛する妹の《千葉方面にはシスコンが多いから世界一可愛いに決まってんだろ》小町に騙されるような形でまたしても奉仕部の活動に付き合わされることになってしまった。そうなると当然その現場には例の《容赦というものを知らないので氷の女王》である雪ノ下雪乃や、なんか優しい少女なのに脳が残念なお陰で複数のキャラから哀れみの視線を送られてしまうという《それでいいのか》由比ヶ浜結衣というビッチ(と八幡はカテゴライズしている)がいるのだった。

だが彼女らと一緒に《正ヒロインの座は八幡的に揺るがない》戸塚彩加(男?)も現場にいたので、もうゴールしてもいいよね? という気持ちになったとかならなかったとか。他にもざ、ざい……ざい……座薬? みたいな名前の人間がいたような気もするが、この4巻で登場しないところを見ると、まさしく《見苦しいので視界に入れないで欲しい》という読者からの無言の圧力怖えー!! とか思わずにいられないのであり、ライトノベルビジネスの中にすら厳然たる欺瞞に充ち満ちた暗黙の了解があるのだなあと思う訳だったりする。

とにかく山でキャンプである。まあボランティアの一環として小学生のキャンプを手伝うだけではあったが、なにやら《リア充全開》のクラスメイトの葉山やら、《クイーン・ビー》(アメリカの学校内ヒエラルキーにはこう呼ばれる女生徒が実在する)も一緒にいたりしたので波乱含みの展開に。さらには引率する小学生の一段の中にちょっと問題を抱えた女の子の姿なども発見してしまったりして、奉仕部の活動はここでも展開されることになるのだった。

更新する気があるんだかないんだか分からないブログの主にこんなこと言われるのも不本意かも知れませんがね、もうちょっと刊行スピード上がるとイイですね。という4巻です。……あ? 3巻の感想がねえって? 3巻はバカ以外読めない感想になってるから、読めなくて正解なんだよ! ヨカッタネ!?

という感じですが

八幡ってなんかこーーー、作者の過去を想像せずにはいられないキャラクターですよね……。

なんというか、異常なまでに冴え渡る、学校という特殊な集団に対しての観察眼と思考の冴えが、「ああ、実際のその年齢の時に、そんなことばっかり考えてる時間が沢山あったんだね……」と読者に思わせるじゃないですか。いや、私も人の事言えないから別にだからどうしたって訳でもないんですけどね。

……そんでまあまたこんな理屈っぽいラノベで仕入れた中途半端なロンリー思想とか脳内に植え付けちゃったりして、より一層ぼっちを悪化させるリアル十代中高生の行く末を案じちゃったりする訳ですが、まあ実際はこんな本読んだとか読まないとかでキミの人生は大きく変わったりしないので心配はしてない。うん、なるようにしかならんよ!

そんな風に思えるのも当方が立派なオッサンだからですけどね。実際の十代の少年少女からすれば切実な問題以外の何物でもないので軽く見ようとかは思わないんですけど、ぼっちはぼっちなりにぼっちの楽園を見つけてさまようことなるだけで、よくよくヒアリングをしてみるとリア充の人たちとそう変わらないというか。いや変わるんだけど変わらないというか。なんなんですかね。

ああそう、作中で八幡もちょっと言っていたような気もするけど、いわゆる十代学生生活前半戦の人間関係と、十代後半以降学生から社会人という辺りで、対人関係能力として要求される部分がかなり大きく変わることになるんですよね。利害関係もあるけど強いて言えば仲がよいとか悪いとかを優先して繋がっていられる世界と、利害関係の繋がりの方が好き嫌いよりも大きくなる世界とで二分されているというか……うん、まあ、学生のうちに対人関係に絶望するのは早いってことですね。

……え? 社会人になった辺りで自分の対人関係能力の無さに「絶望した!」場合はどうするのかって? ………………そんな子はまさしくこのラノベとか読んで自分を慰めると、イイんじゃないかな……!? そう、私のようにな! ハハハハハハハ! は? このラノベ、そういう意味では大人向けの作品なのかッ!?

泥沼

のような後悔とも失望ともとれない一人語りはこのくらいにして、話の中身ですけどね……。

今回も面白いですよ。今まで読んできて好きな人なら全く何の問題も感じないほどの出来です。良く作り込まれたキャラクターたちに加えて、読んでて興味深い社会に対する考察なども交えて一冊まとめ上げてます。やはりこれは残念ながら八幡(あるいは過去の作者か?)の魅力によるところが大きいですよね。作中のほとんど全てが八幡の一人称語りで進められる関係上、彼がつまらないと作品が自動的につまらなくなる訳です。でもそれは今回も無いと断言できそうです。

シリアスなのかコメディなのかよく分からない中庸的なキャラクターやイベントの配置の仕方も見事です。トラブルの種を自分たちの学校生活の中から持ってこないで引率した小学生の方から持ってくるとか、いや上手いですよね。対人的な悩みという意味では高学年の小学生と高校生とかって基本的に変わらないですもんね。既に経験しているか対処方法を知っているか位の違いしかない訳ですから。

そんな状況を「ヒッキー&氷の女&おバカで良い子&ヒロイン&リア充男&リア充女&その他」とかのそれぞれの視点から解決策を模索させて、仕舞いにはパイルドライバー的な方法で解決に持っていく訳ですから、面白くない訳がないとでも言いますかね。

うーん、それに登場人物の全員が嫌いになれないしなあ。リア充の葉山とかは秘孔でも突いて女共の目の前でウンコとか漏らさせてやりたいとか思ってもおかしくないキャラなんですけど、何気にキャラの背景を匂わせるような描写があったりするので憎みきれないんですよ。なんか雪乃とも過去に色々ありそうだし……まあ痴情のもつれとかじゃあなさそうですが。

そうそう

恋バナとしてはこの話、どうなんですかね?

八幡はダンゴムシのような奴ですが決して悪い奴ではない(駄目な奴ですが駄目じゃないという絶妙のさじ加減のキャラですね)ので、一部のキャラに好かれたりする理由も分からないではないですよね。ぶっちゃければ由比ヶ浜とかですが。雪乃は全く分かりませんが、今後どうなるのかは興味深いですね。八幡を好きになるとかは無さそうですけど、何気に気を許しているのだけは間違いないところがまた小憎らしくも可愛いところです。

まあそうは言っても八幡の大本命である彩加が本気出すまでのつなぎかも知れませんがネ! いやいや文章だけ(あとイラストもか)の情報というのはオソロオドロオドロシイものでして、私ちょっとっつーか結構っつーか、彩加にトキメキますもの! 男性ホルモン全開のこのワタクシがですよ!?

……そういえば比較的最近別のラノベで主人公に「あにき」と慕ってきていた後輩の少年に「ついているはずのものがついてなかった」なんという展開がありましたしね。それ少年じゃないじゃんという事になる訳ですが、そういう事がガガガ文庫でも起こらないとも言えませんから――まあないだろうけど――あったらいいな――あったらどうしようかな――なんて考えたりするのは私だけじゃあないはずだ。

日々の妄想の中で、どうやったら由比ヶ浜を押さえつつ、メインルートに彩加を選べないかと模索する人生に充実感を覚えたりするようになると、仕事が手につかずに大変な事になったりするので、現実逃避は用法用量を守って正しくお使い下さい。

総合

いや面白いでしょ。★5つでも問題なしでしょ。

ラストの方では新たなボス(?)っぽい連中も出てきたり出てこなかったりで、次の展開も目が離せません。そうは言っても別にそれ程大したことが起こる訳ではないんでしょうけど(あくまでラノベ的にはですが)、まあ期待させるには十分な感じです。あと誰か先生を嫁にもらってやってくれ。っていうか何で男がいないのか理解に苦しむな……。

浮かれているキャラがいそうな感じですが、その実「てへぺろっ♥」とか言う即斬首の刑に処したくなる致命的なキャラは出てこないという、何気に心に優しいこのシリーズが一体どこまで行けるポテンシャルを秘めているのかは分かりませんが、生々暖かく八幡の行く末を追いかけていきたいような気がします。

そうそう、なんか八幡の理屈を読んでいると八幡がハードボイルドな格好いい奴に見えてくるから不思議ですよね……明らかに孔明の罠なんですけど。あれはダンゴムシ。みんな!ダマされてあんな感じになりたいとか思ったらいかんですよ!

イラストは変わらずのぽんかん⑧氏です。私この人の絵好きですね。背景とかをきっちり書き込んでいたりするタイプじゃないですが、イラスト本体の手抜きじみたユルユル感が好きなんでしょうかね。よく分かりませんけどガガガ文庫の絵師は全体的にハズレが少ないような気がしてます。