公演プログラムの価値

 東京のオーケストラは無料で配っていることが多いが、日本にやってくる在外団体やアーチストの公演であれば有料で販売していることが多い、それが「プログラム」と呼ばれるものである。これを多く収集している図書館など、自ホールでの公演プログラムのみ収集している、東京文化会館音楽資料室や新国立劇場の資料室以外に聞いたことがないが、それだけ立ち位置があやふやなのだ。
 クラシック音楽の自主制作レーベルを主催している平林直哉氏は、自著の「クラシック100バカ」でプログラムには大したことは書いてないと述べているが、そうだと思われても仕方がないものもあれば、勉強になるものもある(もっとも平林氏は、演奏中に読むな!ということを強調するためにそう記しているのだが)。最近の前者の例は7月のパリ国立オペラ来日公演のプログラムで、後者の良い例は4月にペーター・コンヴィチュニーが演出した「アイーダ」のプログラムだったと思っている。
 主催者の仕事ぶりを示す指標として、音楽研究の文献として不可欠と思われるが、これらを体系的に収集する機関は現れないものだろうか。