HOGHUGの日記  

May 31, 2006

今日のお題・・・『初恋』

2006年 日本 原作:中原みすず 監督脚本:塙幸成 出演:宮崎あおい 小出恵介 宮崎将 小嶺麗奈他)

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これも昨日の『日本沈没』と同じ原作付きだ。作者の中原みすず女性作家さんで、本名経歴等一切不肖なのだそうだ。それがこの物語にピッタリだ・・・最初この物語書店で見付けた時は、その本の腰帯に「あざとい・・・」と思い買わなかったのだが、相方が買って来て読み終わった後に回してくれた。俺はこの小説の題材になった“3億円事件”と“ケネディ大統領暗殺事件”には妙に食指が動く。なのでやはり辛抱溜まらんかったよ。


小説はとても面白かったのだが、少し少女漫画臭くても何ていうかそれが悪く作用していなかった。人様の小説の題名で例えて悪いと思うが、その空気感が1960年代特有の喧騒に漂う“限りなく透明に近いブルー”って感じがした。読んだのは改訂版だと思うんだが全く自信がない。それで小説の中味もタイトル通りに「初恋」になっていて、何処か甘酸っぱく、3億円事件”という世間を驚かせた大胆な犯行も、彼女の目の隅に映った、傍観した様な、犯罪当事者いうより、岸と言う青年を拠所にして、感化された者にしか判らない世界が開かれた様な物語だった。


幼少の頃から孤独だった高校生みすず宮崎あおい)は、ある日突然尋ねて来た兄(宮崎将)に「何かあったら尋ねて来い」とジャズバーの紙マッチを貰う。そのマッチを手にバーを訪ねたみすずは、バーに入り浸る岸(小出恵介)を含む、後の仲間と知り合う事になる。少し大人びた仲間と過ごす内にみすずは、岸にある相談を持ち掛けられるが・・・という話。本人が熱望したと言っても、少し幼過ぎるし可愛過ぎるかな・・・と思った宮崎あおいも、彼女以上の“みすず”もいないし、小出恵介以上の“岸”もいない様に映画を観ていて思えてきた。


映画だが、他にご覧になってた方にも、ご感想を終映後にお聞きしたのだが「リアルに感じない・・・」と仰っていた。実はそれは俺も同じに思ったんだよな・・・文字の中の曖昧私小説の様な中の“3億円事件”に納得出来ても、実際に映像に切り替わると、文字を取り込むより目に入る情報量に抗えないので、その曖昧私小説の良さも、映像になった時点で良さが否定されてしまう。作者の世界の良さが、映画にした時にそのまま切り替わるなどとは夢にも思わないが、実際を目にする事で微妙な均衡を保っていた世界が崩れた様に感じてしまった。


が、俺が好きな“3億円事件”を題材にした中では、この作品が今も傑出した一つと考える。もう一つは沢田研二のTVドラマ悪魔のようなあいつ」(1975年)かな。他は思いつかない。この事件に今でも何らかの思いがある方はご覧になって欲しい。宮崎あおいの当時を再現しながらも今に通じる様なファッションや、シニカルに冷えたアナーキストを演じた小出恵介も時代を想像させる。男子的には小嶺麗奈ヌードも見られるよ。で、最近邦画女優が前に出て来ているので面白い。共犯者になる事を選んだ彼女が、得たのがそれだったのが胸に痛かった。

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