HOGHUGの日記  

September 12, 2008

今日のお題・・・・・・・・・・『アキレスと亀』(2008年 日本

監督脚本編集&挿入画:北野武 出演:ビートたけし 樋口可南子 柳憂怜 麻生久美子 中尾彬 伊武雅刀他)

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絵を描くのが大好きな倉持真知寿は恵まれた家庭に生まれた。ある時、父の会社倒産を経て両親が自殺し、突如孤独が訪れて程なく生活も困窮するが、生来からの芸術家肌の真知寿“まちず”は困窮を極めながらも生きる糧として絵を描き続けていた。バイトで貯めた金で美術学校に通う真知寿(柳憂怜)に、同じ工場で働く人生最大の理解者になる幸子(麻生久美子)と云う美しい女性と出会う。幸子は真知寿の絵に賭ける純粋な態度に惹かれ、厳しい現実にも関わらず彼女の直向で献身的な愛情に支えられ、絵画以外で初めての希望見出し、やがて結ばれ結婚する事となる。しかし彼の創作活動は周囲に理解されず、作品自体も世間や巷で評価される事も無かった。相変らず評価される事もなく幸子(樋口可南子)と真知寿(ビートたけし)は長年に渉って創作を続けて来たが、それは作品同様に周りに理解されずに警察の厄介になる事にもなり、そしてエスカレートする2人の活動に最大の危機が訪れる・・・


本作は“世界北野”と呼ばれる北野武監督作として通産14作目にあたり、先に開幕されている第65回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門に出品され、プレミア上映の終了後には観衆から万雷の拍手で称えられ、映画破壊し、賛否両論だった『TAKESHIS'』(2005年)、『監督・ばんざい!』(2007年)等、映画作家芸術家でもある北野武自身を投影された完結編にもなるとの事。今回も北野武監督の他に脚本編集&挿入画を担当し、一見破壊的なまでに創作活動に向かう中年時代の倉持真知寿“まちず”にビートたけし、その青年期の真知寿には柳憂怜、少年期の真知寿に吉岡澪皇等が、美しい真知寿の理解者で共に破壊的な創作に向かう中年期の幸子には樋口可南子、若い頃の幸子には麻生久美子が扮し、他にも中尾彬伊武雅刀大杉漣筒井真理子、円城寺あや、徳永えり大森南朋等が出演され、何よりも芸術最上のモノと信じ、周りを巻き込んだ2人の男女の悲喜劇


それで映画少年期や青年期の真知寿の部分はつげ義春漫画を読んでいるみたいだった(笑)また樋口可南子ビートたけし夫婦を演じたパート実験的な夫婦漫才を観ているようだったね・・・そこで俺も含めて皆さん大笑いされていた。ま、そんな体裁なので『TAKESHIS'』や『監督・ばんざい!』を観るよりは痛痒も感じない作品だったりするんだが、俺はビートたけしがべレー帽被った瞬間に大久保清を思い出して困ったりもした(ハハハハハ)劇中に出演する女性レイプして殺し回るのでは?と妙な怖さもあったりもした。んで、取り敢えず芸術家を夫に持った妻と家族の良い話のような感じではあるんだが、やっぱりたけしは想像するように壊れている初老芸術家に扮し、確固とした考えもなく画商(伊武雅刀大森南朋)に云われるまま、その時の流行に自分をはめ、芸術のようなものを量産して行く。しかもこの芸術家両親は結構な鬼畜であって(笑)、娘に金を無心しては絵の具を購入し、何かの理由を付けて没入しては芸術を量産して行く。この芸術芸術と云ってしまえばそれまでなんだが、その過程を映画は笑えるように描いていて、芸術活動をする清貧な夫婦を描くと云うより、芸術と云う慢性の中毒にやられた気の毒な芸術家と随行者を笑う日常は、痛ましさが雑じり過ぎるくらいだった。そこが可笑しいと云えば可笑しいんだが。


取り敢えずラストまで観ると夫唱婦随ドラマではあるみたいなんだけど、冒頭のタイトルにして(笑)真知寿の創作の理解者である筈の幸子にして深層で追い着けず、ある奇妙な衝動を持った夫婦物語としては奇しくも追い着けた奇跡物語となっている。と云いつつ夫婦の描写に関しては一切の涙も介さず(笑)、それでも他人には理解する事が出来ない夫婦を描く事には成功しているのは確かなんだが、彼の人生の寛大なパトロンとして描かれる樋口可南子麻生久美子も、この手の人種がお好きな女性のように描かれていて少しくすぐったい限りで(笑)、結果的にここ数年観て感じていた北野武作品のヒロインとしては一番相容れ易いように感じたのも確かだった。俺は樋口可南子の意外な可愛らしさに驚かされたし、もう少し本格的なコメディエンヌとして活躍して欲しいとすら思わせる成り切りだった。また単純にビートたけし樋口可南子の破滅的な夫婦漫才も毒満載で面白いんだが、結構な夫婦の清貧の麗しい物語の体を為しながら、これだけ人が死んじまう映画もないだろうね(ハハハハハ)。一方で芸術家の思考を詰りながら、尚且つそうする者達を寛大に解釈した物語は何がどうあれ心に残るモノではある。そう思いながらも賞取りを逃したのは残念だったけれど、ある程度年齢が上の方がご覧になっても楽しめるようになっていたし、芸術に興じた者をユーモラスに描き、また一方で“困ったちゃん”のようにした筆には余裕と円熟をも感じさせられた。個性的な邦画作品がご覧になりたいならお薦めしたい映画

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