HOGHUGの日記  

February 24, 2017

今日のお題・・・・・・・・・・『キャロル』(2015年 英&米&仏)

(原作:パトリシア・ハイスミス 監督:トッド・ヘインズ 出演:ケイト・ブランシェット ルーニー・マーラ サラ・ポールソン カイル・チャンドラー他)

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1952年の米ニューヨーク。高級デパートの玩具売り場で働く女性、テレーズ・ベリヴェット(ルーニー・マーラ)は、娘へのクリスマスプレゼントを探す富裕な婦人、キャロル・エアード(ケイト・ブランシェット)の姿に息を呑む。キャロルに応対するテレーズは優雅で上品な彼女に一目で魅せられ、キャロルが忘れた手袋を届けた事を契機に二人は親交を育み始める。一方、キャロルには愛娘の親権を巡って夫のハージ(カイル・チャンドラー)と離婚準備中でありつつも、キャロルの心を何とか取り戻そうとハージは努力を重ねていたのだった。しかし夫婦の絆は容易に回復する事は出来ず、傷心のキャロルはテレーズを連れ出し、西へ旅行に出掛けるのだが・・・


こちらの作品は共に映画化もされた「見知らぬ乗客」、「太陽がいっぱい」の原作者としても知られる米国の女流作家、パトリシア・ハイスミスが1952年に仮名で発表した半自伝的小説を原作とし、『ベルベット・ゴールドマイン』(1998年)、『エデンより彼方に』(2003年)のトッド・ヘインズ監督が演出を務められ、TVMの演出も担当したフィリス・ナジーの脚本で映画化されてる。写真家志望ながらデパートアルバイトをするテレーズ・ベリヴェットにはルーニー・マーラ、そんな彼女の前に現れた美しい大人の女性キャロル・エアードにケイト・ブランシェットが扮し、他にもサラ・ポールソン、カイル・チャンドラー、ジェイク・レイシーらが出演されたヒューマン・ドラマ。


この作品で銃器ネタでもないけれど、書かないと忘れてしまうので俺メモ的に銃器ネタ(画像無し)・・・劇中にはニッケル鍍金のボディに真白いグリップが付いたS&W社製のスナッブノーズ・リボルバー、M36チーフスペシャルが登場し、この一瞬の登場が物語に緊張を促してくれる。で、自分はハイスミスの描く若者像にグッと胸を掴まれる事が多く、それ故に本作も非常に楽しみにしていたんだが、原作ではテレーズの視点で描かれていたように記憶しており、そんなテレーズを演じたルーニー・マーラが第68回カンヌ国際映画祭では栄えある女優賞に輝き、更に期待しないではいられなくなった。また一見すれば『太陽がいっぱい』(1960年)のアラン・ドロンに匹敵する“青春は屍を超えて”的美しさに魅せられ(笑)、当初、彼女の役はミア・ワシコウスカキャスティングされていたのだそうだけど、角度によってはオードリー・ヘプバーンにも見えてしまうクラシカルな魅力に観賞前から期待値が上がって仕方がなかったよ。そして彼女が魅せられてしまった優雅なマダムを演じたケイト・ブランシェットのゴージャスさは魂消る程だったりして、そう、彼女達が“恋に落ちる”お膳立ては見た目にも完璧過ぎるくらいに整っていると云っても云い過ぎではなかった。


そんな二人による全裸に近いラブシーンもあるにはあるんだが、この火の出るような女優二人の凄さにチンピクする暇もなく、何度か同じようなシーンがあっても決してエロくはなかったし、男の立場から云えばオカズに成り辛いシーンだったのは云うまでもない(キリッ。つ、若く美しい女性も社交界の衆目を集める有閑マダムも一皮剥けば何処かに焦燥を抱え、他人が見る自分と本当の自分との格差に抗う術もなく、男達の添え物でいる自分に辟易してしまっている。ハイスミスの作品に登場するキャラクターって自分探しの迷宮に囚われた結果、その陰でモラルや善悪を越えてしまう男女が多いように記憶しているんだが、こちらでは原作も映画も犯罪とは程遠い二人であるにも関わらず、その淵を歩かされているかのような瞬間は本当に息苦しかった。なので中盤、登場する事になったスナッブノーズ・リボルバーにはテレーズ以上に息を呑んでしまったと云うか、何が起こっても可笑しくないと云う一瞬はハイスミスらしいミステリーのスリリングさを思い出してしまう。まぁ、この作品を観れば異性愛も同性愛もそう変わらないと云う事が良く判るんだけど、敢えてそれを印象付ける為、監督のトッド・ヘインズはラブシーンに関してだけは必要以上に美しく、然も扇情的なモノとはしなかったのかもだね・・・にしても人の性は決して生殖だけでは語れなくもあり、互いに何を求め、何を与え合っているのか、と云う事が同性二人によって濃密に語られて行く本作、世代の違いや生まれに環境をも飛び超え、性別云々関係なく純化した愛だけを見せ付ける118分に訪れる境地は本当に見物だ。心からお薦め。

November 24, 2016

今日のお題・・・・・・・・・・『ザ・ガンマン』(2015年 米&英&スペイン&仏)

(原作:ジャン=パトリック・マンシェット 監督:ピエール・モレル 出演:ショーン・ペン ハビエル・バルデム マーク・ライランス ジャスミン・トリンカ他)

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アフリカコンゴ共和国で難民の為に働く海外スタッフ警護の為、元特殊部隊員であったジム・テリア(ショーン・ペン)は、仲間と任務に従事していた。一方、コンゴでは国外に輸出される希少鉱物を巡り、資源担当大臣が発令した内容から国内で輸出業務に勤しむ多国籍企業に影を落とす。その結果、彼等は大臣の暗殺と云う選択を選び、テリアは仲介者のフェリックス(ハビエル・バルデム)からの命を請け、大臣を狙撃した。また仲介者の命令によって国外に逃亡する事となったテリアはその恋人、アニー(ジャスミン・トリンカ)との突然の別れを余儀なくされる。そして8年後、贖罪としてコンゴにNGO職員として活動するテリアの前に武装した男達が現れた・・・


こちらの作品は日本でも原作が「眠りなき狙撃者」として発刊されたフランスの小説家、ジャン=パトリック・マンシェットによるサスペンス小説をモチーフにし、『96時間』(2008年)、『パリより愛をこめて』(2010年)で知られるピエール・モレル監督が演出を務められ、ドン・マクファーソン、ピート・トラヴィスショーン・ペンらの脚本で映画化されている。突然武装集団に襲撃された元特殊部隊員であるジム・テリアには脚本にも名を連ねるショーン・ペン、そして彼の最愛の恋人であったアニーにジャスミン・トリンカが扮し、他にもハビエル・バルデム、マーク・ライランス、ペーテル・フランツェーン、レイ・ウィンストンイドリス・エルバらが出演されたアクションスリラー


で、銃器ネタ・・・本作の主人公であるショーン・ペン扮するジム・テリア、そのキャリーガンがグロック18Cだったりするのが何気に新鮮。また実生活のショーン・ペンってグロックを護身用に携帯しているらしく、少し前に警察に拳銃の不法所持で捕まったんじゃなかったっけ。話変わってアメリカを舞台にしたのならフル・オートでも作動するマシンピストルの大抵は悪党の得物だったりするのだけれど(多分)、これを主人公に使わせる処なんざ、欧州を舞台にした映画らしくて良い(笑)。なので劇中では18Cにノーマル&ロング・サイズのマガジンを交え、ブワっとマシンピストルらしい銃火を撒き散らし、単純にカッコイイ。また登場するサブマシンガンの発砲音もそこそこ迫力があり、劇場で観賞してみたかったです。

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上画像:冒頭に登場する大口径狙撃ライフルマウントされたシュミット&ベンダーのPM2らしきライフルスコープ

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上画像:映像が暗いのが残念なのだけど、これの発砲による弾着や人体損壊のシーン等々、中々迫力がありましたな。

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上画像:50口径を使用するPGMヘカート2と云うより、338ラプア・マグナムを使用するヘカートかミニ・ヘカートでは?。

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上画像:そんな元特殊部隊員であったジム・テリア役のショーン・ペンが使用していたグロック18C(発砲あり)。

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上画像:この18C、偶にロング・マガジンを付けて使用。にしてもブワっとするマズル・フラッシュが良いよね。

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上画像:またテリアが途中から賊から奪って使用するスイス製短機関銃、ブリュッガー&トーメのACP9(発砲あり)。

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上画像:マイケル・マンもそうだけど、顔や目が写らなくても今時、この種の銃に光学機器が乗ってないのはキツい。

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上画像:冒頭に登場するFN SCAR-Lアサルトライフル。多分、今のFNなら絶対に劇中のような事はないだろうなぁ。

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上画像:良く出来たデコガンみたい。映画観てるとショーン・ペンも結構、アサルトライフルを使い慣れている。

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上画像:賊が使用していたH&K社製USPカスタムスポーツ。これ以外にもサイレンサー付きのやノーマルのUSPも登場。

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上画像:またサイレンサー有り無しで登場するベレッタPx4ストーム。これも欧州を舞台にした映画で最近良く見る。

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上画像:後半に登場するGen4らしきグロック26。が、これ以前に使われるカットはフル・サイズのグロックではない。

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上画像:ここからは再び長物。リューポルドMk4 CQ/Tを叩いて縮めたようなショートスコープが乗ったM4カービン

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上画像:一部を除いて賊の殆どはクリス・ヴェクター短機関銃を使用。またこの時の発砲音、ズシーンと中々の迫力。

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上画像:スペイン警察は突入部隊を含め、H&K社製MP5A3短機関銃を使用する(発砲は無し) 下画像:中盤、一瞬だけ登場するDSRプレシジョン社製のブルパップスナイパーライフル、DSR-1(発砲しているらしき一瞬のカットもあり)。

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うーん、ショーン・ペンにしては精一杯、メジャー側と妥協したと云うか(笑)、譲歩した結果じゃないのかね、これ。また当時、元CIA工作員だと云われたスティーヴン・セガールが主演するとして一世を風靡した『刑事ニコ/法の死角』(1988年)なんかを観ながら思い出させられ、正義に目覚めた工作員ほど体制側にとって厄介な存在もないだろう(ハハハハハ)。それで本作、周りではあまり評判が良くなかったのでスルーしていたのだけど、一見すれば相変わらず拗らせたショーン・ペンの偏りを感じない事もなかったなぁ・・・その証明に脚本にもショーン・ペンが加わっており、この原作って日本劇場未公開&アラン・ドロン主演で映画化された『最後の標的』(1981年)と同じだったりするんだが、どうも個人の入れ込みが鼻に尽き過ぎ、娯楽として観るにはかなり窮屈だった。いやぁ、確かに大国に騙されるかのように搾取され続けて来たコンゴの現状にも問題が多々あるのだけど、良く出来たアクションスリラーって事実を踏まえつつもフィクションとしての面白さを両立させている、と云うか、決してそれだけには終わらないんだよな・・・同じように大国に搾取され、その現実を訴えて来たモノならレオナルド・ディカプリオ主演の『ブラッド・ダイヤモンド』(2006年)なんて硬軟取り合わせ、かなり好い線行っていたし、ショッキングでいながらエンターテイメントとしての匙加減が抜群。そんな映画人としての立ち位置の不安定さが招いた客観視の不案内が残念な事に先に立ってしまったような。終了です。

February 12, 2016

今日のお題・・・・・・・・・・『シリアルキラーNo.1』(2015年 仏)

(原作:パトリシア・トゥーランショー 監督:フレデリック・テリエ 出演:ラファエル・ペルソナーズ オリヴィエ・グルメ ミシェル・ヴュイエルモーズ他)

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1991年のフランス。パリ警視庁の犯罪捜査課に赴任した新人刑事、“シャルリ”ことフランク・マーニュ(ラファエル・ペルソナ)は、捜査課が事件の糸口すら見付けられなかったレイプ殺人を担当する事になる。現場の模様は凄惨を極め、被害者の女性は拷問された末に惨たらしく遺体を傷付けたらしき形跡が見られ、それ故に捜査課は逸早く、事件の解決を目指していた。しかし同様の凶悪事件はパリ東部に集中するかのように繰り返され、同一犯と思われる神出鬼没さに警視庁は為す術もなかった。だがその後も同様の事件は忘れた頃に発生し、パリ市民を震撼させる。シャルリ達はSK1(シリアル・キラー1)と呼称した犯人に迫るべく、奮闘するのだが・・・


こちらの作品は1991年から実際にパリ東部で発生した、若い女性ばかりが狙われた連続レイプ殺人事件をモチーフにし、原作はパトリシア・トゥーランショー、そして演出は新人、フレデリック・テリエ監督が演出を務め、またヴィゴ・モーテンセン主演『涙するまで、生きる』(2014年)の監督でもあるダヴィド・オロファンと共に脚本にも名を連ねて映画化されている。恐るべき連続レイプ殺人事件を解決する為、。パリ警視庁の犯罪捜査課に配属される事となった刑事、“シャルリ”ことフランク・マーニュにはラファエル・ペルソナが扮し、他にもオリヴィエ・グルメ、ミシェル・ヴュイエルモーズ、アダマ・ニアン、ナタリー・バイ等が出演された日本未公開の実録サスペンス


で、画像を起こさずに銃器ネタ・・・シャルリとその相棒の女刑事が使用していたのは3〜4inくらいの銃身が付いたニッケル鍍金かステンレス素材のDAリボルバーだった。これはスターム・ルガーのパーツを使用したマニュリーン社製MR88か。そして同じマニュリーン社製のMR96(これは珍しい)が登場し、長物では冒頭で女刑事が折り畳み式銃床の付いたポンプ・アクション式ショットガンを扱っておりました。それでこれも『次は、心臓を狙う。』(2014年)に引き続き、驚くべき事件を基にした作品なんだが、どうも期待していたような面白さを最後まで見付けられず、残念だったよなぁ・・・ここには敢えて犯人の事は書かなかったのだけど、冒頭から誰が犯人であるかが判る裁判所の模様から始まり、裁判の行方と1991年から発生した連続レイプ殺人事件を映画は遡って見せる(沈痛で停滞を強いられるムードは中々)。なので映画は捜査と裁判が平行して描かれているんだが、どうも上手く交わっておらず、一つの事件を過去と未来に亘って繋ぐ筈の物が見当たらず、完全に仕掛け不足と云っても云い過ぎではないだろう。まぁ、劇中で再現された裁判がフランスではショッキングだった事は容易に理解出来るし、これを描かずにはいられなかったのかもね。


そんな凶悪事件を追うのは“アラン・ドロンの再来”と呼ばれるラファエル・ペルソナなんだけど、以前にこちらにもUPした『黒いスーツを着た男』(2012年)にも主演する彼だったりするんだが、あの時はアラン・ドロンよりは違う誰かに似ているよなぁ・・・と考えていたのだけど答えが出ず、やっと今回、スキっと出来たような(笑)。うーん、俺的にはアラン・ドロンと云うよりも若き頃の細川俊之と云う感じなんだが(ハハハハハ)、沢田研二主演の「悪魔のようなあいつ」や「ムー一族」に出ていた頃を髣髴させられ、何もそんな高い処を飛ばなくても良いのに、と本人に会ったら軽く囁いてみたい。まぁ、それにしても11件のレイプ事件を起こして被害者の7人を殺したと云う犯人、ちょっと検索すれば実の犯人が直ぐに判ったりするんだけど、映画に登場する俳優さんに良く似ているし、自分としては中々のキャスティングに感心しつつ、また女弁護士ポンス役にフランソワ・トリュフォー監督作として知られる『映画に愛をこめて アメリカの夜』(1973年)にも出演するナタリー・バイも出演しててビックリ。彼女なんて年取ってもフランス映画らしいフランスの女優さんと云うか、何時までもお元気でいて頂きたいもんだと感じつつ、映画としては題材に負けず、一映画として面白さをも追求すべきだったよなぁ・・・そんなこんなと本日も終了です。

February 08, 2016

今日のお題・・・・・・・・・・『次は、心臓を狙う。』(2014年 仏)

(原作:イヴァン・ステファノヴィッチ 監督&脚本:セドリック・アンジェ 出演:ギョーム・カネ アナ・ジラルド ジャ=イヴ・ベルトルート他)

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1978年のフランス。郊外を走る、ある女子学生が乗ったスクーターを一台の車が執拗に尾行していた。その車は故意にスクーターに衝突して転ばせ、更にスピードを出して彼女を轢いた末、射殺しようとして拳銃を向ける。だがその刹那、対向車が現れ、車を運転する男は急いで逃走してしまった。車のハンドルを握るのは地元の憲兵隊、フランク・ヌアール(ギヨーム・カネ)であり、彼はその夜、自分が犯した犯罪を告白した手紙を官憲に向けて送るのだった。そんなフランクは極普通の家庭に育ったのにも関わらず、奥底には制御出来ぬ暴力への衝動を抱え、罪のない市民を見付けては犯行に及ぶが、その影で一人の女性に想いを募らせてもいたのだ・・・


本作は1978年から翌年にかけてフランス全土を騒がせた連続殺人事件、“アラン・ラマール事件”をモチーフにし、原作はイヴァン・ステファノヴィッチ、また演出と脚本は日本劇場未公開の『殺し屋』(2008年)のセドリック・アンジェ監督が担当して映画化されている。執拗なまでに若い女性ばかりを無差別に狙い、無差別に死に至らしめて行く憲兵隊員、フランク・ヌアールには映画監督としても知られるギヨーム・カネ、そんなフランクを愛するようになるソフィーにアナ・ジラルド、そしてフランクの上司であるラコームにはジャ=イヴ・ベルトルートが扮し、パトリック・アザン、アルノー・アンリエ、ドゥーグラス・アタル等が出演された日本未公開のサスペンススリラー


で、銃器ネタ・・・連続殺人犯でもあるフランク・ヌアールは“ジャンダルムリ”こと国家憲兵隊所属の憲兵隊員なんだけど、この国家憲兵隊って日本でも有名な対テロ部隊であるGIGNの本体としても知られ、今となってはGIGNの装備(銃器類)は割りと映像作品でも見る事が多い。んで、wikiなんかを見ると“ジャンダルムリ”が第二次世界大戦でドイツ軍が使用したルガーP08やワルサーP38も使用していたと云う記述には正直驚いた。まぁ、昔のフランス映画なんかを観るとワルサーP38じゃなきゃダメだ、と云う悪漢もいたし(アラン・ドロン主演の『フリックストーリー』)、戦争映画でも意外と握っている姿を見るよね・・・あー、アレは仕方がなく鹵獲した奴を使っていたのか(笑)。

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上画像:連続殺人に使われるベレッタM935。グリップを見るとM1948だと思ってたけれど、セレーション見ると935だ。

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上画像:フランクの自室にはM935と幾つかの銃器がロッカーに仕舞われずに置かれ、弾丸も同様に扱われている。

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上画像:そんなフランクが森の中で発砲するウインチェスターのM1866レバー・アクション・カービン(コピーっぽい)。

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上画像:上にもUPされたイエロー・ボーイの他、アストラ・モデル357にこの直後、分割されたM16らしきライフルも登場。

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上画像:逃走中の連続殺人犯を逮捕する為、狩り出された“ジャンダルムリ”の隊員が握る仏製MAT49短機関銃。 下画像:同じく“ジャンダルムリ”の隊員が背負っていた仏製Mle1936ボルト・アクション式軍用小銃(これらはどれも発砲が無い)。

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それで実録物好きの自分としては非常に楽しみにしていたのだけれど、ちょっと微妙でしたな。うーん、主人公のフランクに対して作り手の愛情が当然感じられないのは理解出来るんだが(笑)、例えフランスのパブリック・エネミーNo?だとしても(あー、ジャック・メスリーヌがNo1か)、やはり映画としては知り得た事実を時系列にただ並べ、整理しただけではなく、独立した物語として面白くして欲しい。これがグズグズと最後まで語り手が駄目なウィークエンダーのようだったりして(笑)、だったら『脱獄広島殺人囚』(1974年)や『戦後猟奇犯罪史』(1976年)をダイナミックに映像化した東映の方が件の事件を題材にしても上手く作っちゃうだろうし、もう少し卒なくヤレなかったもんか、と小一時間問い詰めたいもんだ(ハハハハハ)。また俳優で映画監督としても知られるギョーム・カネが稀代の連続殺人犯に扮していて(実の犯人であるマルセル・バルボーには似ている)、彼が醸し出す何とも云い難き辛気臭さが物語を支配しており、ラストに説明される顛末からアプローチして行ってあの辛気臭さなのか(笑)、余計な御世話だけど色々と考えてしまう。まぁ、実際の事件と較べても其処此処が変更され、この作りであの物語を判らせるには今一つ役不足だし、今となっては何を映画化したかったのか、今更ながら考えてしまう一本でもありました。そんなこんなと本日も終了です。

January 18, 2016

今日のお題・・・・・・・・・・『ギリシャに消えた嘘』(2014年 米&英&仏)

(原作:パトリシア・ハイスミス 監督&脚本:ホセイン・アミニ 出演:ヴィゴ・モーテンセン キルスティン・ダンスト オスカー・アイザック他)

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1962年のギリシャ。得意の語学で観光ガイドを営むアメリカの青年、ライダル・キーナー(オスカー・アイザック)は、アメリカから来たらしい裕福な二人の旅行者の姿に目を留める。一方、アメリカから訪れた旅行者の夫婦、チェスター・マクファーランド(ヴィゴ・モーテンセン)と美しい妻のコレット(キルステン・ダンスト)は、親子ほどに年齢が違い、ライダルは美しくも若き人妻に一目で魅せられる。またひょんな事からライダルはチェスター達のガイドを買って出るようになり、そのせいもあって三人は互いに打ち解け合うが、アメリカからやって来たと云う男(デヴィッド・ウォーショフスキー )の死により、楽しかったバカンスが忽ちの内に逃避行へと変わって行く・・・


こちらの作品は共に映画化もされた「見知らぬ乗客」、「太陽がいっぱい」の原作者としても知られるパトリシア・ハイスミスによる英国推理作家協会賞に輝いた「殺意の迷宮」を原作とし、イラン出身で『ドライヴ』(2011年)、『47RONIN』(2013年)の脚本を担当されたホセイン・アミニが監督として演出と脚本も務められて映画化されている。アメリカから来た裕福な富豪夫婦のガイドをする事になるが、思わぬ危険に触れる事になったライダル・キーナーにはオスカー・アイザック、そんなライダルの前に現れた富豪のアメリカ人、チェスター・マクファーランドにヴィゴ・モーテンセン、その若き妻のコレットにはキルスティン・ダンストが扮したヒューマンミステリー


で、ネタバレしそうなので画像も起こさずに銃器ネタ・・・劇中には2挺の拳銃が登場するんだが、1挺は正体不明の自動拳銃、もう1挺は米S&W社製のスナブノーズ・リボルバー、M36チーフスペシャルでしたな。それでパトリシア・ハイスミスの映画化作品と云えばアラン・ドロンが麗しい『太陽がいっぱい』(1960年)が先ず思い浮かぶのだけれど、今年はアカデミー賞候補にもなっている期待の『キャロル』(2015年)なんて作品もあり、その関連で日本未訳の「The Price of Salt」まで読めるって云うんだから有り難い限りだ。また本作の原作でもある「殺意の迷宮」も映画の公開のお蔭で目出度く復刊されたし、これも個人的には嬉しい出来事でしたな。そんな中、現在も絶賛公開中である『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(2015年)にも出演するオスカー・アイザック、本作での姿を見るとほんの少しだけハイスミスが創造した“トム・リプリー”の記号を見出せない事もなく、映画を観ても意外とハマっていて感心してしまった。やっぱ何て云うのかねぇ・・・俺的には大藪春彦が創造した“伊達邦彦”と被さるところもあり、孤独で貧乏ながらも美しく、強靭な肉体に秘めた止められない野心等々、ハイスミスの描く青年と何時もダブってしまう。


それで映画は約100分と短いにも関わらず、確りと作られたサスペンス物なので最後まで飽きさせず、またクラシカルな味も相応しく、映像も美しいので旅行?旅情ミステリーとしても楽しめます(笑)。それと久しぶりに見るコレット役のキルステン・ダンストも可愛らしいし、その夫でチェスター・マクファーランド役のヴィゴ・モーテンセンもサマースーツを着込んだ姿がスタイリッシュでカッコ良く、60年のアメリカっぽい処が本当に良かったよね。まぁ、それにしても欧州や中東を巡る逃避行はスリルがあって見応えがあり、破滅手前の駆け引きは判っていながらも非常にスリリングで王道だわ、夫々の思惑がジットリとラッキーストライクを咥えるチェスターの紫煙の向こうで浮かび上がる様が堪らぬ。なので映像自体もシックで洒落たスタイルに腐心されていたと云うか、ラストなんかもトルコを舞台にしたフィルム・ノワールみたいだったりして、偶に頭の中で白黒に変換してシーンを思い浮かべていたよ(ハハハハハ)。ただ細かい事だけど、原作と較べても別に変えなくても良いのでは?と云う変更点が気になり、そうしない方が逆にクラシカルで良かったのになぁ・・・なんて観終わった今、感想を書きながら思えて仕方がなかった。うーん、映画を観ながらパトリシア・ハイスミスの良さを改めて感じつつ、日本未公開の作品群が公開なる事を願い、お薦めにして本日も終了です。