卜占に使用されていた骨は、食用の動物のものですか、それとも卜占専用に飼育されていたものですか。 / なぜ牛の骨や亀の甲羅を用いたのでしょうか。 / なぜ骨や甲羅に生じたひびで、占いをするようになったのでしょうか。

中国の卜占には、狩猟採集時代には主に主要な狩猟動物である鹿、牧畜時代には羊や牛、とくに占いに使用しうる面積との関係で牛、やがて亀甲が使用されるようになりました。もともとは神霊に対して動物を供犠すべく火に投じており、燃え残った骨の色合いや状態から神霊が喜んで受け容れたかどうかを判断していたものが、やがて裂文から神霊の意志を問う内容へ転換していったと考えられています。鹿や牛は、神霊に対する代表的な犠牲獣でした。一方の亀は、上でも少し触れましたが、供犠とは別の文脈で新石器時代から占いに使用されてきたもので、いつの頃からか亀甲には神霊の意志が現れるとの信仰が生じていたようです。その2つの流れが殷代に融合し、クサガメやハナガメを用いた亀卜が一般化してゆきます。殷代の卜府の記録によると、卜占に用いられる牛骨や亀甲は、周辺地域から貢納されるものであったようです。またこれらは、付着・浸透している強い脂分によって、解体後すぐには熱卜に使用できないことが明らかになっています。土中に一定期間埋めるなどして脂分を分解し、乾燥させたうえで使用したようで、殷代のシステマティックな卜占機構においては、食用云々からは分離されていたようです。