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2012-02-13

「われ敗れたり」の感想

「われ敗れたり」読みました。面白かったんですが、うーん何を書いたらいいのかな・・・



内容については△6二玉の話が主。△6二玉がどういう戦略だったかについては色々な所で言われている解説と同じ。対コンピュータ用に割り切った戦略ということだった。
ただこの戦法を選択した背景として、ボンクラーズコンピュータ将棋は自分より強く、普通の人間相手の将棋では分が悪いので完全にコンピュータ用に対策を練り直した、と書いてあるのには感心した。米長永世棋聖ほどの大棋士が、自分はコンピュータより弱い、とはなかなか書けないと思う。将棋の強さに関してこう冷静に判断するあたりはさすがに元名人といったところか。

こういう非常に理知的な判断力を示し、またそれを率直に隠さず披露する豪胆さを持つ米長永世棋聖なのだが、対局に際してはかなり神経質だということもこの本を読んでわかった。電王戦本番の昼食休憩中にちょっとしたアクシデントがあり、それが精神状態に影響し、なにがしか将棋にもマイナスに働いたのではないか、などと書いてあったり、わざわざ中村太地五段を対面に座らせたのもそうだが、対局前日には将棋会館に泊まった理由なども普通の人なら気にしないような理由で、米長永世棋聖のデリケートさがちょっと異様にも見える。棋士は対局に際してここまで気を使うものなのかもしれないが、理知的で豪胆な面とこういう繊細な面、米長邦雄という棋士の一風変わった人間像が図らずも浮かび上がる内容になっている。

負けたことに関しては本当に悔しいようで、文面からは敗着を指してしまった事を悔やむ無念の思いがにじみでており、米長永世棋聖が並々ならぬ気迫や覚悟でこの戦いに望んだ事なども読んでいて伝わった。

ちょっと残念なのはこの本はあくまで米長氏の主観で書かれているので、資料的な価値はあまり無く、記録とか客観的な事実についての記述は物足りない印象を持ったこと。練習の対戦成績とか、テストでの△6二玉の棋譜とかのデータが載っていたりはしない。まあこれは将棋ファン以外の読者を想定しての配慮としても、どういうわけか電王戦プレマッチについては一切言及されておらず、ここを取り上げないのはさすがに不自然な感じがした。
実際の△6二玉のお披露目はプレマッチだったはずなのに、この本では本番でいきなり△6二玉を指した、というふうに読めてしまう。あの対局を踏まえた上での本番の△6二玉だから皆驚いた部分もあるわけで、本のストーリー的には邪魔な出来事なのかもしれないが、全く触れないことには少々疑問を感じてしまった。米長氏の中ではプレマッチは無かったことになっているのだろうか。

個人的な読みどころは棋士とソフト開発者の感想。羽生、谷川、佐藤康光森下卓中村太地が短文ながらそれぞれ独自の感想を述べている。面白いのは森下九段が対機械用のルールを人間とは別に考えているということ。どういうルールなのか残念ながら中身は書いていないのだけど、この森下ルールで戦えば、神の域に達したコンピュータでなければ人間も十分戦えるらしい。一体どんなルールなんだろう・・・?
また森下九段の感想には実際にボンクラーズと指したと書いてあり、その強さをかなり実感している模様。これは来年の電王戦に出るな・・・

本としての評価は五点満点で四点ぐらい。なんだかんだで電王戦は楽しかった。将棋の内容はともかく、電王戦を盛り上げた要因の一つには米長永世棋聖のキャラクターも大きかったと思う。来年の5対5につながったし、良かった良かった。

あとP57の詰将棋について疑問が。七手詰めと書いてあるけど五手詰めじゃないのかな(※追記あり)。

堂々と七手詰めと書いてあるんですが、解答が載っていないんです。わかる方教えてください。

2月14日追記

上の詰将棋の件ですが、担当編集の方からメールの返信があり、編集のミスにより七手詰となっていたそうです。正しくは五手詰とのこと。重版部から修正が入るそうです。

2月24日追記

ゆうたろうさんのコメントで「初手の王手は5通りでは無く7通り」であるという指摘がありましたが、担当編集の方からメールの返信があり、米長邦雄永世棋聖と相談の結果、詰将棋の図面を以下のように修正するとのことです。

三刷からとのことです。関係無いですが本を作るのも大変ですね。

3月4日追記

本に出てくる森下九段の対コンピュータ用新ルールは、どうやら対局中に人間側が盤面を使って自由に検討できるというルールのようです。棋王戦第二局の解説でそれらしい発言が聞かれます。

完全中継【将棋】第37期棋王戦五番勝負第2局?久保利明棋王vs郷田真隆九段 - 2012/02/25 09:00開始 - ニコニコ生放送

放送時間1時間44分頃から視聴者の質問を受けてコンピュータ将棋の話題になり、「対コンピュータなら盤駒を動かしてなら人間は相当負けない。人間対人間のルールではお互いに脳内将棋なのでハンデは無いが、コンピュータは鮮明に盤面を見ているので不利である。」というような発言をしておられました。

錯覚を防ぐという効果があるのでしょうか、人間はミスをするという前提にたっての発言と思われます。これで互角・・・になるのかどうかはまだ実戦例がないので不明ですが、非常に面白いルールだと思いました。
このルールは対コンピュータに限らず、人間同士で採用しても面白いんじゃないでしょうか。ついたてか何かを作ってそこで検討しつつ将棋を指す、まあそんな盤面なんていらないという人もいそうですが・・・1回ぐらいはこのルールでの対局を見てみたいと思います。

yaneuraoyaneurao 2012/02/14 04:05 > 堂々と七手詰めと書いてあるんですが、解答が載っていないんです。

どう見ても5手詰ですね。21の桂を角にすれば7手詰ですが…。

hokaze153hokaze153 2012/02/14 07:30 やっぱり本のほうのミスですかね。出版社にメールしてみます。
コメントありがとうございました。
ちなみに簡単な打ち歩詰めをコンピュータは解けない、という例題としてこの問題が掲載されています。
本には▲2三角不成△1一玉▲1二歩△2二玉までは書いてあるのですが、七手詰とあり、もしかしてと思いまして・・・

StanleyStanley 2012/02/14 10:12 ▲2三角不成、△1一玉、▲1二歩、△2二玉、▲3二飛成まで
の5手詰めと思います。

hokaze153hokaze153 2012/02/14 22:23 追記にも書きましたが五手詰で良かったようです。お二人ともコメントありがとうございました。

BigHopeClasicBigHopeClasic 2012/02/16 01:53 はじめまして。
確か森下先生は、「人間側の持ち時間無限」ということを別の場所で提案されていた記憶があります。
コンピュータは疲れないので、その条件でないとフェアじゃないとか。
次の一手まで何ヶ月何年待たされてもコンピュータは怒りませんしね。

hokaze153hokaze153 2012/02/16 20:04 はじめまして。よろしくお願いします。
無限はスゴイなあ。さすが森下九段。対局に一年かかった場合の電気代は誰が持つのか気になりますが・・・
パッと思いつくルールとしてはコンピュータの持ち時間を短くするとかですかね。でももうあまり時間に意味はないのかな。
しかしハンデ(?)ルールで対局すべしとか結構読んでてショックでした。森下九段はコンピュータの実力に相当な危機感を感じているからこその発言なんでしょうね。
どんなルールかわかりませんが、森下ルールでの実戦をできれは本人で見てみたいものです。

ゆうたろうゆうたろう 2012/02/21 19:09 詰将棋ですが、米長氏は初手2三角成、2三飛成、3二飛成の他に3二飛不成と2三角不成の二手があり2三角不成が正着なのでコンピュータは詰ませられないと書いていますが、1三飛不成と1三飛成の王手を見落としているようですね。その辺も2版で修正されるのでしょうか。ちょっと元名人としてはお粗末な見落としだと思いました。(まあ、1三飛なんて手は絶対に詰まないのでそもそも読まないですが)

hokaze153hokaze153 2012/02/21 21:36 ゆうたろうさんはじめまして。
ああ・・・確かに王手は5手では無く7手ですね。自分もその2手は全然気づきませんでした。
ちょっと可哀そうな気もしますが厳密には間違いですので、この指摘もメールで送っておきます。
コメントありがとうございました。

konton57konton57 2013/01/05 00:50 はじめまして。
昨日、本を買いました。第2版でした。
「5手詰め」になっており、確かに、2三に後手の歩はありません。
初手に1三に飛車が来るのは私も思いつきませんでした(笑)。
それを防ぐために2三に歩を置くわけですね。
これだけとっても、将棋は奥が深いですね。

konton57konton57 2013/01/05 01:38 こちらにリンクも張りました。

hokaze153hokaze153 2013/01/05 12:08 コメントありがとうございます。
http://konton.cside.com/index.php?%E3%82%8F%E3%82%8C%E6%95%97%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%8A:title
こちらのリンク先の記事も読ませていただきました。今買われて第2版ということはもしかしたら第3版はまだ無いのかな・・・?後で自分も本屋で見てみようと思いますが、幻の修正案かもしれないですね。
1三飛とかよくそういう手をを思いつきますよね。将棋の世界はすごい人がいっぱいいます。
米長永世棋聖が亡くなられて残念ですが、面白い本なのでこれを機会に多くの人に読まれることを期待しています。

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