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法華狼の日記

2007-09-26 548が何をいいたいのか普通にわからない

[][]今さらながら橋下徹弁護士の答弁書について

橋下弁護士ブログにおいて答弁書のPDFファイルを公開している。

橋下徹のLawyer’s EYE

90頁にもなる枚数であり、ファックスで送った非常識さへの居座りは、批判の種ともなった*1

しかし答弁書は数が多ければいいというものでもなく、まずは様子見という感じで最低限の内容にとどめ、後から補足するべきではないか、とは小倉弁護士からも指摘された*2。その意味では、70頁でテレビ発言と懲戒請求の因果関係を無根拠に否定していることは、作戦として悪くないかもしれない。戦略から戦術まで間違っている*3から、小手先の作戦が良くても勝てない気はするが。

そしてそれなりにまとまった前半はともかく、後半まで読んでいくと、一般人の極一部*4にのみ向けて書いている気がしてきた。それくらい驚くべき文章がそこかしこにあった。


まず、光市母子殺害事件と無関係なオウム裁判が書かれているので首をひねっていたら、41頁から無茶苦茶な連帯責任論が展開された。

安田弁護士などは限りなく冤罪に近い*5裁判の被告に立たされた時、日本弁護士一割以上にあたる2000人以上の弁護団が結成された。その一割以上の弁護士も連帯責任をかぶせられるわけか、もしかして。


次に驚いたのが48頁。説明責任*6守秘義務が衝突することに対し、「頭を下げれば」と説明。

なるほど、記者会見においてひたすら一審二審の弁護人を批難し、弁護内容を変更するとだけ伝えて頭を下げ続けるだけならば、プライバシーの侵害にもならないだろう。……どうやら橋下弁護士が主張していたのは「説明責任」ではなく、“謝罪義務”とでも呼ぶべき代物だったらしい。

たとえば冤罪事件で主張を変更する時、常に記者会見を開いて弁護人は謝罪しなければならない世界。あるいは負担の大きい刑事弁護の合間に謝罪会見を開くため、裁判の進行に遅延をきたす社会。どうにもディストピア小説の設定としか思えない。だいたい毎回のように謝罪会見を開いたりするくらいなら、一般人の側が弁護活動について知る方が時間の節約になるのではないか。

しかも以前の橋下弁護士は弁護団に「公開バトル」を呼びかけていた。議論を戦わせるとなると、具体的な弁護内容にふれざるをえないだろうに。それとも一方的に弁護団の頭を下げさせて、勝利宣言をするつもりだったのだろうか。


一番の驚きは73頁だ。

宮崎哲弥勝谷誠彦三宅久之を「全国に名を馳せている」と称賛。さらに、やしきたかじんを「何十年もメディアで活躍」と賞揚。このような文章に好感を持つのは『そこまで言って委員会』を肯定的に見る一部視聴者だけではないだろうか。

もっとも、さすがに具体的な言動を引用しての肯定はできず、「世間の声に敏感」などという誉め方しかできていないようだ。実際の番組で、橋下弁護士が訴えられて即座にトーンダウン*7したのを見ると、世間の声に敏感な番組なのは確かかもしれないが、それは一般の目からすれば発言に信用がおけないというだけでしかない*8


79頁にいたっては、文学的な表現が飛び出してきたことに驚愕した。

「1億3000万人の国民が,弁護士会に対して信用を失ったと言っているのに,」……その「国民」には法曹関係者や安田弁護団の立場を理解する人まで入っているのだろうか。たかだか4000通ほどの懲戒請求、しかも複数出している人がいることを考慮すればさらに少ない人間しか実際に行動していないというのに。それともマスメディアを通しての印象論で語っているのだろうか。

ちなみに、弁護士会の人間を入れても、日本の現人口から考えると1億3000万人に達しない。もちろん自分の意志を示せない赤ん坊などを考慮すれば、文学的な誇張だとわかるが、答弁書でこういう文章はかなりまずいと思う。


そういえば橋下弁護士自身、今回の裁判では第一回も第二回も出頭しないという。

橋下徹のLawyer’s EYE

第1回期日は擬制陳述といって、法廷には出頭しません。言いたいことはすべて答弁書に書いたので、この答弁書の提出によって法廷で陳述したものとみなしてもらいます。第2回期日は、電話会議システムを用いるので、これまた出頭しません。

マナーとしては法廷で顔を合わせるくらいはしてもいいのではないだろうか。公開バトルを呼びかけていたくらいなのだから。

あと、原告側の主張も聞かないと判断が難しいが、「こっちも、原告らのぞろぞろ代理人に付き合ってる暇はねえから、お前ら勝手に来年まででも期日の調整をしてろよ!!」という怒りは弁護士の目線でなければ自然かもしれない。しかし……

橋下徹のLawyer’s EYE

ちなみに、裁判所は、ファックスを受け取ることは仕事だと考えてか、クレームは言ってきませんでした。

僕が訴状を受け取ったのが9月6日。書面提出期限が20日。

僕もいつもどおりに仕事をやってるから、90枚の書面を書いて、

20日までに郵送するのは無理だろうと常識的な判断をしてくれたんだろうし、

まあ官庁だから一々事前の連絡をもらわなくてもいいだろうと思ってくれたのかもしれません。

この郵送しなかった理由も「内部事項」にすぎないような。人間は私をふくめて自分に甘いものだから、多少はしかたがないとは思うが。

*1http://b.hatena.ne.jp/entrymobile/5964922原告に対してはともかく、裁判所へのマナー違反はいいわけができないだろうと思う。裁判所から何も言ってこなかったから良いという話ではないだろう

*2http://benli.cocolog-nifty.com/la_causette/2007/09/post_e760.html

*3:少なくともネットで多くの専門家から問題を指摘されている。

*4:具体的には『たかじんのそこまで言って委員会』を見て安易に懲戒請求を出すような人。

*5:一応は裁判が続いているので断言はしないが、裁判所から検察の手法に問題があると明言されてすらいる、かなり無茶な裁判。

*6:この存在を主張しているのは橋下弁護士独特の考え。

*7http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20070910/1189381317

*8:そして、やしきたかじん達の腰砕けぶりは「世間の声」が流動しやすいことも示している。

ななえななえ 2007/09/27 10:48 >あと、原告側の主張も聞かないと判断が難しいが、

弁護団の言い分はこちら
http://wiki.livedoor.jp/keiben/d/FrontPage
「損害賠償請求事件の裁判日程と経過」の「第2回期日(弁論準備手続)」。
さらにこちら
http://t-m-lawyer.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_1217.html
「児玉弁護士」ですさんのコメント。
『・・・その後(昨日),「FAX送信前に連絡をするべきであるという法的根拠を示してください」というFAXのお返事が届きました。』

ルクスルクス 2007/09/27 11:59 私が気になるのは、懲戒請求を実際に出したという4000人もの人間のうち、「自分は騙されていた!」ことに気づいて請求を取り下げ、今度は橋下弁護士を懲戒請求する人間がどれだけ出るか、です。
統一協会に騙された被害者の「青春を返せ」訴訟など、他人を騙して犯罪行為に動員した加害者に責任を取らせる行動はそう珍しくないでしょう。

もちろん、1人も出ない可能性もあります。自分が騙されるような馬鹿で、犯罪に加担するような悪人だという事実をどうしても認めたくない一心でますます教祖(それも偶像化した)にしがみつき続けるかも知れません。
私が詐欺師なら、ぜひこれらの懲戒請求者の名簿が欲しい。winnyで流出しないかな?

ななえななえ 2007/09/27 12:53 橋下弁護士に対する懲戒請求もさることながら、損害賠償請求する人が現れないのだろうか。
「口車に乗って懲戒請求させられた」という賠償請求は成り立たないのだろうか。

aaaaaa 2007/09/28 00:47 たかじんの番組を制作している読売テレビが制作して、昼に関東と一部地域を除く全国で報番組を放送するらしいですが、関東地区で放送されないからとたかじんの番組みたいにいい加減なことばかり放送しないか心配です(笑)

hokke-ookamihokke-ookami 2007/09/28 06:55 ななえさん、ありがとうございます。
期日についての主張は、エントリを上げた後に知りました。
橋下弁護士ブログ内だけを読んですら矛盾が見つかるというのも凄い話ですが、原告側の主張と比べると嘘の域に達していそうで、逆に頭を抱えてしまいます。

ルクスさんへ。
流出しなくても、原告被告が主張をネット公表しながら裁判している以上、どこかで特定される危険性は高そうですね。

aaaさんへ。
『そこまで言って委員会』に特定しなくても、たいていのワイドショーの扇動ぶりを思えば、あまり期待はできないと思います。
たまに良い仕事が見られたと思うのは、『ザ・スクープ』くらいでしたねえ……

hagakurekakugohagakurekakugo 2007/09/28 18:58 法華狼さん、答弁書のまとめ乙です。
法華さんが指摘した箇所を中心にざっと見てきましたが、橋本氏の答弁書の後半は絶句させられました…。なんですか、あれは。ただのアジビラと化してるじゃないですか。自分の言葉に酔ってるんですかね…。気持ち悪いナルシストの演説を見せられてる気分になりましたよ…。

TeruTeru 2007/09/28 20:08 橋下徹弁護士の答弁書の文学的な誇張の問題を、あと2点ほど。

1.36ページで「一般市民は(中略)皆常識的に感じることは同じ」として、性的な表現を用いていますが、このような表現を用い公開法廷に出すにあたり、48ページで自ら要求しているような「被害者遺族及び社会に対して迷惑をかけることになるかもしれないが」として答弁書提出前に「頭を下げ」たのでしょうか。

既に本村氏が「妻の絞殺された状況を図解した画像が(インターネット上で)流布され、議論されている状況を快く思っていません。」と同20日に法廷で意思を表明している以上、橋下氏もまた自説であるところの「謝罪義務」を実行しなければ自説の最大主張のひとつを、実践しなかったことになります。

2.88ページで「弁護人・弁護士は,神のような常に正しい行動をする存在ではない。
たかだか司法試験というペーパー試験を受かったに過ぎない」と書いている点は、弁護士資格認定に携わっている方たちからの反論を招く恐れがあります。

なぜなら、旧司法試験においても「口答試験」という面接が課されており、新試験でも同様であること。加えて、新旧どちらの司法試験に受かったとしても司法修習制度を通じて1-2年にわたり、教官や司法修習生間で「刑事裁判には被害者が存在して,社会の公器でもあることを認識し,弁護人は被告人そのものではないがゆえに被告人以上の様々な法律上の権利を有していることを自覚」(同答弁書88ページ)させる機会(刑事被疑者取調べ参加もあり)を有すると考えられるからです。

この司法修習制度に問題ありとするならまだしも、「ペーパー試験に受かったに過ぎない」という表現は、橋下弁護士自ら経験したはずの過程すら省いて表現しており、弁護士育成課程の周知が十分でない以上、「世間」に誤解を広めたとの批判を受けてもやむを得ない点があるでしょう。

TeruTeru 2007/09/28 22:47 >このような表現を用い公開法廷に出すにあたり

橋下弁護士自らblogで本弁護士間訴訟を「痴話喧嘩」と表現している事を受けて、こう書きました。
しかし、より核心を述べるなら「このような表現を用いた答弁書をインターネットに出すにあたり」ですね。

hokke-ookamihokke-ookami 2007/10/01 09:20 hagakurekakugoさんへ。
まとめといっても、つっこみどころを列挙しただけなので(苦笑)。
実は弁護士の意見を見ると、後半はあまりに内容が筋違いすぎるので、判決に影響を与えることすらなさそうという話です。つまり扇動に乗った人向け限定のポーズ、という可能性もあるようで。

Teruさんへ。
>36ページ

そのあたり、ある意味で弁護士らしい「一般の感覚」が麻痺した杓子定規な表現ですね。もちろんブログでも性的な罵倒表現を臆面なく使用しているので、本人の資質という点もあるでしょうが。
ちなみに同じページで、9月16日の『たかじん〜』で出た批判をもって野田鑑定を否定しているところもおかしいですね。懲戒請求がさんざん批判された後の野田批判をもって、懲戒請求に正当性があると一般人が判断したといわれても(笑)。

>88ページ

いわれてみるとペーパー試験だけという表現は微妙ですね。ペーパードライバーみたいな意味のつもりかもしれませんが。
逆に、たとえペーパー試験でも通ったのであれば、それなりの専門能力を有していると普通の一般人は考えるでしょう。

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