法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『Yes!プリキュア5GoGo!』第46話 絶体絶命!没収されたプリキュア5!

久しぶりの座古明史単独演出。作画リソースが足りない感はあったが、さすがに殺陣や芝居が細かく、見ていて飽きなかった。鱗状の紋様が浮かぶ敵幹部アナコンディの変身シークエンスなど、印象的なアイデアが多い。
暗躍していたかに見えたアナコンディが敵首領に対する個人的な思慕のみで動いていたとか、その感情を意に介さず利己的な行動を徹底して悪役としての存在感が急速に立った敵首領*1とか、繋ぎ話なりに大きく物語が動いたよう感じさせる展開も良かった。

*1:敵幹部が策謀していた様子からして、前年に続いて敵首領とは和解する展開かと予想していた。

『機動戦士ガンダム00』セカンドシーズン#14 歌が聴こえる

二期に入ってから、軍事力で性急に反対勢力を排除するアロウズ、そしてその背後で策謀を巡らすイノベイターに諸問題の原因が集中し、単純な対立構図にまとまりつつあった。そこで今回、一期冒頭からの因縁を掘り起こし、主人公刹那の「ガンダムバカ」ぶりを揺り動かす……かと思えば、少なくとも今回は葛藤する素振りはない。
どのような問題と直面しても、刹那が愚直に行動してこれた根本は、「ガンダム」への信仰がある。それを問い直されたからには、過去を見つめなおす機会になっても良さそうなのだが……一期最終回あたりから刹那の戦う動機が変わってきたので、今さら揺り動かされはしないということなのだろうか。
ともあれ、いずれきちんとした物語上の決着をつけてほしいが、もし今回で使い捨てられる因果関係だとしても、悪くない問題提起だった。
また、一期序盤から指摘されていた刹那の不適格さについて、きちんと回答した描写でもある。リボンズが不的確な主人公を選んだ理由は気まぐれとしているが、後々に計画を横取りするために、障害となりそうな部門に能力が低い人材を配置しておく行動は合理的。おかげで、リボンズの行動がそれほど御都合主義とは感じられない。


アリーとリボンズ、刹那がテロリストそしてガンダムマイスターとなるよう導いた二人と直接会話するという絵面自体もハッタリがきいていた。ただし、あまりやりすぎるとリアリティが削がれる。実際、あえてアリーが刹那にとどめを刺さず、ロボット戦闘へ展開したのは御都合主義感がある。アリーは戦闘を楽しむキャラクターではあるが、躊躇なく相手を殺すことも特徴的だったので、違和感が残った。
一応、戦闘自体は良かった。アリーと刹那の戦闘だけかと思っていたら、影が薄いなりに飛行形態で押したアレルヤ戦、一期以上の珍変型ギミックが炸裂したティエリア戦、作中最強の一人に押し勝った刹那戦と、三者三様の戦いを見せる。それぞれが強敵からの攻撃に反撃し、押し返すことで爽快感を出しつつ*1、それは正しいのかと問いかける歌でEDになだれこむ構成もわかりやすい。


コンテ演出は宅野誠起。すでに演出で登板しているが、コンテまで担当するのは今回が初めて。コクピット内のキャラクターに、細かくも、整えず誇張された表情をつけており、戦闘の切迫感がよく出ていた。
機動戦士ガンダム00』では珍しく、技師の目覚めから光学迷彩機能が回復するまでのテンポが良いコメディ、一瞬スローモーションになるアリーと刹那の戦闘といった*2、呼吸で魅せる演出も印象に残る。
作画監督はキャラクターが大貫健一、メカが西井正典。原画に阿部宗孝、阿部美佐緒ら。前述した通りコクピット内のヘルメットをかぶったキャラクターは作画修正を甘くしつつ、刹那とリボンズ達が対面する場面では念入りに整えており、わりふりが上手くて全体の印象が良くなっている。

*1:約一名が出ても出なくても関係ないような役回りだったり、この作品らしくなく模型CMで先にギミックのネタバレがされたりは、それはそれでキャラクター性が出ていると考えるべきか。

*2:作画の仕事という可能性もあるが。