法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』のび太の遠足サバイバル

主題歌は固定のまま、OPが変更。
秘密道具がドラえもんとともに動き回る内容なので、最後まで人間は登場しないかと思ったが、最後の最後にのび太達も登場。良く動いているし、曲とのマッチングも悪くはないが、ちょっと面白い趣向と途中まで思ってしまったので個人的に残念な印象となった。


秘密道具「グレードアップえき」は原作に登場するが、オナラがらみの描写を除き、遠足を舞台に猿と食料争いをくりひろげるアニメオリジナルストーリーが展開される。安藤敏彦コンテということもあり、激しすぎるスラップスティックの癖が強い。
珍しく出木杉の登場場面が多いが、やはりキャラクター描写に違和感が大きい。どのような危機でも今回の出木杉はひたすら班行動にだけこだわり、具体的な解決策を全く示せない。目的が手段と化してしまうギャグは藤子F作品の特徴だが、他のキャラクターが担当すべきところだろう。出木杉は秀才キャラクターであると同時に、柔軟性ある思考を持てるからこそ「できすぎ」の名が冠されているのだ。無策のまま坂を転がり落ちてしまい、猿に拉致される展開にいたっては、のび太と同レベル。正直いって、出木杉が出てきた意味がほとんど感じられなかった。
しかしキャラクターの壊れかたが激しいところを除いては、グレードアップした高井山の密林ぶりが冒険映画らしくて楽しい。おかげで、珍しい構図やよく動く安藤演出の特色も活かされていた。頂上という目的地と、弁当という争奪対象がぶれず、冒険物としての一貫性もある。
観光客による猿の餌付け問題とか、社会派な描写が入るかと思ったが、良くも悪くも後に残るものが全くない。全体的に見て、娯楽回としては悪くなかった。


あと、数日前から流れていることを確認しているが、ロッテのCMにおいて、母の日にチョコレートを贈るという形でドラえもん達が登場。顔のラインから見て、渡辺歩作画っぽい。CM自体の出来も悪くないと思う。
ロッテのCMといえば涼宮ハルヒも起用されていて、こちらも悪くない出来だが、何かアニメへ力を入れるような動機があるのだろうか。

『ヤッターマン』

TVで視聴。『ガッチャマン』ではなく、邦画特撮の身の丈に合わせた企画を選んだ三池崇史監督が見事なのだろう。作り物っぽい質感のCGでも違和感はないし、基本が一話完結のマンネリストーリーだから長編映画に内容を凝縮することができる。
TVで人気のタレントを多数起用しないとならない近年の邦画大作として、コメディタッチな演出も合っている。実際、商業のためにと人気タレントを起用せざるをえない邦画の現状は、かなり三池監督も意識していたようだ。
ヤッターマン インタビュー: 三池崇史監督が語る「ヤッターマン」(2) (2) - 映画.com

あと、この業界って何年かやっていると、その世界の常識の中でしか考えられなくなってしまう。タレント名鑑を見て、いま人気があるのは誰だというところから映画作りが始まる。人気のある小説はなんだ、原作はなんだ、番組はどれだとか。そこからして夢がない。映画が驚異になる時代ではなくなってしまった。

映画で強化された描写として、ヤッターマン1号とドロンジョのラブコメは良かったし、バトルの物量も多くて時間いっぱいは楽しめた。原作の味を活かしつつ実写へ落とし込んだデザインワークも悪くない。ヤッターワンはもっとカラフルでも良かったが。
ただ、お約束と温さで楽しませる『ヤッターマン』の原作自体があまり好きではないので、そのお約束な雰囲気をも再現したこの映画のコメディ描写も好みではなかった。もっとテンポ良いギャグで見たかったな。

『HEROMAN』第04話 タマ

安藤真裕コンテ。
物語は、3DCGで描画された無機質な物体に、手書きで描かれたキャラクターが勝てないという構図。わりと主人公側の作戦は良かったし、敵の攻撃がシンプルなだけに細かいエフェクト作画が純粋に楽しめる。
実のところ、話の密度はあいかわらず薄いが、呼び出しさえすれば無敵だったヒーローマンが何度も力負けしたこと、伏線なしの巨大化であらがいつつも時間稼ぎしかできなかったこと、そういう時間稼ぎしかできない攻撃が複数くりだされて次回へ引くことで、緊張感をもって話を楽しむことができた。