法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ドラえもん』決戦!ネコ型ロボットvsイヌ型ロボット

今回は年一回恒例の、ドラえもん誕生日スペシャル一時間。ドラえもん誕生日と放映日が一致するのはリニューアル後で初めてで、誕生日スペシャルと一致するのはリニューアル前と合わせても初。
ドラえもん:誕生日祝う1時間スペシャル 9月3日当日の放送は初めて - MANTANWEB(まんたんウェブ)

 ドラえもん誕生日の9月3日にドラえもん誕生日スペシャル「決戦!ネコ型ロボットVSイヌロボット」がテレビ朝日で放送される。これまで06年から毎年9月に誕生日を祝う1時間のスペシャルアニメを放送してきたが、誕生日当日の放送は今回が初めて。ドラえもんのび太がきずなを確かめ合うオリジナルの感動長編ストーリーが描かれる。

 今年は誕生日の9月3日がちょうど放送のある金曜日だったため実現した。ドラえもんのテレビアニメは1979年4月に放送がスタートし、今春で31年目に突入。これまで誕生日の9月3日に放送日が重なったケースは82、93、99、04年と4 回あったが、誕生日にスペシャルを放送するのは初めて。


今回は水野宗徳脚本で、未来を主な舞台とした、元になった原作も思いつかない全くのオリジナルストーリー。特にSFとして面白いガジェットが登場するわけではないが、登場人物の行動動機が明確で、障害をのりこえる様々な伏線も物語に埋め込む形ではられ、笑いあり涙ありの娯楽小品として良くまとまっていた。のび太が平均的な少年と勝負する映像をドラえもんが見る場面が特に映画的で印象深い。
ちなみに、のび太の成長程度を根拠としてドラえもんの育児能力に未来のロボット関係者が不審をいだいて回収する展開は、以前の誕生日スペシャルと同じだ。そのため残念ながら新鮮味はない。しかし、その誕生日スペシャルで登場した「パワえもん」が再登場することで、ただプロットを使いまわしたのではなく同一の世界観にもとづいた物語とも感じさせる。
『ドラえもん』誕生日1時間スペシャル「ドラえもんが生まれ変わる日」 - 法華狼の日記
繋がりを感じさせるのはキャラクターだけではない。のび太にとってドラえもんが大切であることを示す絵日記が、これまで夏休みに放映された物語を描き、強く連続性を意識させてくる。絵日記が子どもらしい稚拙な筆致というところまでは予想できたが、これは不意打ちだった。同時に、夏休みに入って誕生日スペシャルの前振りが何度も続く宣伝に違和感を持っていたが、それが一気に解消される爽快感もあった。
今回のアニメオリジナルキャラクターも、犬型ロボットを売り込むDG社の人間達こそ稚拙だが、犬型ロボットのワンダフル達は真摯なキャラクターに描かれているところも好感を持てた。優秀な育児ロボットという設定からして当然の描写だし、ライバルが子ども達のために共闘する楽しさもある。


次回予告で予想していた以上に作画演出も素晴らしかった。コンテ演出は映画で腕をふるっていたアニメーターの大杉宜弘*1マタタビ弾でグンニャリする量産ドラえもん達のメタモルフォーゼぶりからして楽しいし、秘密道具を使って部屋の中に暴風が吹き荒れるビジュアルも面白い*2。ネズミに驚愕するドラえもんが独特の描線で描かれているところも面白かった。空間を感じさせる広がりあるレイアウトも多い。
作画監督は三輪修、吉田誠、をがわいちろを。原画には『鋼の錬金術師FA』で腕をふるっていた亀田祥倫と大城勝と佐古宗一郎に加え、西村理恵や斎藤拓也の名前も。ひらがなで表記された「わしお」は誰だろうか*3

*1:演出は夏休み中の予告パートを担当してきた八鍬新之介と連名。

*2:亀田祥倫か斎藤拓也の原画だろうか。同じ部屋で静かな空間に包まれて勉強するのび太との、静と動の対比表現も映像として良い。

*3:シンエイ動画に参加していたアニメーターの系列で考えると、「尾鷲英俊」の偽名かな。

『HEROMAN』第23話 ソルティ

大和屋暁に脚本を戻し、最近の単発エピソードで描かれた出来事を全て説明する答えが出された……のだが、真っ先に予想して捨ててしまうような単純すぎる真相は期待外れだった。米政府関係の怪しい動きが説明できていないので、もう一ひねりぐらいはしてくれるだろうと期待しておくが。
今回単独で見れば、大きな戦いを前にして少しずつ盛り上げていく流れは良い。特に出撃前のジョーイとリナがディスコミュニケーションする場面は、2人を門扉が遮断する隠喩演出やヘリが到着して声をかきけす音響演出が王道で決まっていた。


前回にアクションがなかったなりに作画は整っていたが、序盤の背景動画や終盤のアーマードヒーローマンなど、戦闘そのものより前準備を描く作画に力が注がれていた感じ。今回自体が前哨戦なので、良いリソース配分だと思う。