法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

ちゃぶ台を返すよ!

それって作画の論点なのかな - 法華狼の日記の続き。
リアルっていうのと芝居っていうのは違うんだよ、作画的には - まっつねのアニメとか作画とか

うつのみや理さんはきちんと芝居の事を考え始めたというのが、
凄いことなんだ。


そういう「芝居」への意識みたいなものをね、けいおんではちょっと感じて記事にしたわけ。

上記エントリのコメント欄で返答したこととかぶるが、そもそも当該インタビューで語られているような「無意識」を描く作画は、キャプチャ画像2枚では紹介できないのではないか*1
私が『けいおん』に感じるのは、ちょうど当該インタビューにある、『THE八犬伝』第一話に対する評価に近い。
WEBアニメスタイル_アニメの作画を語ろう

うつのみや ある程度リアルなんだけど、それは漫画的なリアルなんですね。実写からくるリアルではなくて、画からリアルにどんどん近づけていったリアル。画の方から「もうちょっとリアルにしたいな、したいな」というふうに思って到達した、スタイルの最高峰だと思います。で、逆に、その後に作られた「浜路再臨」は、現実の方から来たリアルだと思ってます。

これと同じ方向性を『けいおん』に感じるわけ。相手を意識し緊張した手と、相手が去って弛緩した手。その2つの絵を動画で繋ぎ、アニメとして提示する。そもそも、キャラクター1人にカメラを固定しながら相手が去ったことを表現するという描写であり、わりと演出意図が明確なカットだと思う。人の無意識まで描こうという欲望は感じられない。
もっとも、その『THE八犬伝』シリーズで、うつのみや理はコンテ演出を担当していたように、もともと作画と演出がともに作用する領域ではある。


たぶん、うつのみや理が目指している方向性を実現すると、たとえば『電脳コイル』でも印象に残らない作画のような、そっけなくてさりげなくて言語化しにくいアニメートになるのではないかと思う。
演出という面でも、『アニマトリックス』で森本晃司が担当した「ビヨンド」みたいな、すごい作画を地味に見せるような作品になるのではないかと。

*1:この話題に対してsasahira氏は、キャプチャ画像を3枚使った上で文章解説もくわえている。http://d.hatena.ne.jp/sasahira/20101001/1285938249