法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

タイアップ主題歌といえば『地球へ…』2期OPをコンテ演出した北久保弘之監督の話が面白い

演出家自身による技法解説として興味深い上に、半年から3ヶ月という短い期間で新しく変わるタイアップ主題歌の問題が、よく伝わってくる。
ただし、作品自体が前番組の打ち切りによって急にゴールデンで放映されたという経緯があり、主題歌に限らず制作状況がひっぱくしていた。放映まで3週間なのにコンテも全く出来ていないという異常事態は他の作品にそのまま適用できる話ではないとも思う。
http://togetter.com/li/59259
主題歌の秒数が通常のTVアニメOPの尺を超えている。スポッティングシートとCDデータの時間が合わず主題歌の正確な秒数がわからない。正確なスポッティングシートは作業時間内に届かず。
そうした音楽側の不備にくわえ、残り時間が限られた中で省力しながら*1主題歌に合わせたカットを積み重ねていく。結果として作画の見所も多くて*2作品にも合う、印象的なOPにしあがった。
もちろんコンテ演出にあたって「ファンの方には申し訳無いのだが、俺には余り理解出来なかった」という感想を述べつつも、その原作を全巻借りて読んでいる。短い頁数の作品とはいえ、放映まで3週間という状況で出来る限りの努力をしていたわけだ。


また、OPの内容には気づかれていない暗喩があるという。

「夢見た場所へ JET BOY♬」の歌と共に見上げると 頭上に輝く地球と月。で、このOPは終わる訳だが、多分、観て居る人がたった1人も気付いて居無い事がある。実はこのOPはキャラクターのライティングが全カット「アンダーライト(光源が真下)」なので有る。上からの光源は1カットも無い
LawofGreen
2010-10-15 12:55:38


コレは別に視聴者に気付かれ無くてもイイのだが、では何故、全ての光源が真下に有るのか?と言うと、実は登場人物達の画面外の遥か眼下に「本当の地球が有り、その地球から太陽の光が反射した「アースライト」に照らされて居るから」なので有る。良くスペースシャトルの船外活動で地球光に照らされる〜
LawofGreen
2010-10-15 13:06:42


地球光に照らされて居る宇宙飛行士の映像は観た事あるでしょ?結局「地球へ…」は 皆が望んで止まなかった 遠き故郷「地球」という幻想を追い 辿り着いたのはコンピューター・マザーが支配する「幻想の地球」であり 人類 ミュウに取って 幻であり最後にジョミーが見上げる地球は幻想の地球な訳。
LawofGreen
2010-10-15 13:36:09

キャラクターが逆光というところは一目瞭然だが、さすがにその暗喩がこめられていることはわからなかった。

*1:星空ばかりの背景も省力のためだったという。始まりと終わりの地球と月でも、同じ背景画を兼用しているが、これは省力というだけでなく映像を閉じる手法としても意味があるのだろう。

*2:村木靖板野サーカスは直線的な軌跡でわかりやすい。回転しながら滑空するアルテラのレイアウトは北久保自身が大幅に手を入れたという話を聞くと、アニメーターとしての技量も全く衰えていないと感じる。3段階変身を担当した平山英嗣は、本編でも最も作画の見所がある回で作画監督をつとめたが、当時の感想を見直すと軽く言及しているだけだった。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20070617/1182033081