〜奇々怪々か、危機〜
今回はどちらも原作アリ、ただしアレンジが相当に入っている。
アニメでサブタイトルにふりがながふられていて気づいたが、Aパートの秘密道具は地味に回文になっているのな。
Aパートは、他人に機械のような機能を与えることができる秘密道具が登場。人間の姿そのものは変わらずに、動きだけで道具のようにふるまうビジュアルが原作通りに素晴らしい。
http://www.tv-asahi.co.jp/doraemon/contents/topics/backnumber/0287/top.html
のび太はいつものように勝手に他人を機械にしていくわけだが、原作通りに寝ているドラえもん*1をストーブにするにとどまらず、アニメオリジナル描写で鉛筆削りにして口に鉛筆をつっこんだ不意打ちぶりに爆笑した。
前後するが、冒頭でのび太はしずちゃん達と流星観測に行くという約束をしている。その後は中盤まで原作を踏襲しつつ、アニメオリジナル描写をはさんでいくという流れ。ジャイアンに原作を超える密度でやりたい放題されるのび太の悲惨さが楽しい。
しかし原作で状況を収束するきっかけとなったママのアイロン化が放置されたまま、物語はのび太が天体観測へ間にあうかという目標を持って動き出す。そのオチは、のび太が山へロケット化して行こうとするが、真っ直ぐにしか飛べないロケットは目標にたどりつけず、流星となって観測されるのであった……いや科学的には色々と間違っているのだが、宇宙空間に投げっぱなしたオチのひどさに爆笑したので許せる。
今回のAパート脚本は『スイートプリキュア♪』でシリーズ構成をつとめている大野敏哉。なぜ今回の登板に繋がったのか、流れがよくわからない。正直にいって『スイートプリキュア♪』の構成や登板回は感心できないことも多かったが、そもそもアクション物より日常物が向いている脚本家だったのかもしれない。
西田健一コンテも、冒頭のストーブ探しで物置内にカメラを置いてキャラクターを見返したり、逆にキャラクターの主観視点で機械化機の発動を描いたり、全体的に良かった。
Bパートは、原作だと「あなただけの物ガス」表記。ガスを吹きつけることで、道具がペットのようにつきしたがってくるだけでなく、獣や人間も基本的に主人の命令しか聞かなくなる。
ほとんど原作通りの流れだが、決めのカットで出崎演出のような止め絵ハーモニーを使うギャグを入れたり、原作では通りすがりの目撃者でしかなかったスネ夫が秘密道具の騒動に巻き込まれたり*2。
でもまあ見所は原作通り、いわゆる「ヤンデレ」化したしずちゃんにあるのだった。のび太が望んだためとはいえ、夜になるまで部屋でじっと待ち続けるストーカーぶりが、恐ろしくもいたいけ。