Hatena::ブログ(Diary)

法華狼の日記

2011-12-02

[]『ドラえもん』おぼっちゃマンボ/うそつきかがみ

企画物なアニメオリジナルの前半と、原作初期を比較的忠実にアニメ化した後半と。


Aパートは、アイドルプロデューサーを見たジャイアンが、誰かをプロデュースしようと名乗りをあげる。時期的にはAKB48なのだろうが、作曲まで手がけるところはハロプロっぽい。

プロデュースさせればジャイアン自身の歌を聞かなくてすむという策略と、歌手として求められた時に高い自己評価を口走ってしまってプロデュース対象に選ばれてしまう自己愛ぶりが、いかにもスネ夫らしいので、アニメオリジナル展開でも違和感が少ない。

以降の展開は延々とスネ夫の歌を流し、当のジャイアンが嫉妬して台無しになるというシンプルさ。しかし歌を作品内外へアピールするため主題歌にのせてビラ配りや観客動員を無音で描く演出があったり、結末からシームレスに番組サイトの特設ページへ案内したり、企画物の制約を逆手にとった珍しい演出が多くて、わりと楽しめた。


Bパートは原作でも一二を争う、絵的にシュールな内容。しかし原作では描線の線質まで変えて劇画っぽくしていたのだから、アニメでも色指定を変えたりワカメ影*1にしたり、もっと現代風のアニメを思わせるキャラクターデザインに変えてほしかったな。

あと、原作では鏡台の鏡を割る展開のために、ドラえもんが前振りなくボーリングをするという意味不明な描写があるのだが、今回のアニメではのび太ととっくみあいして割るという自然な内容に。……しかし今回のようなギャグ全開の話なら、不自然な描写のままでも良かったと思うな。

[]『輪るピングドラム』18th station だから私のためにいてほしい

山内重保コンテ演出。山内演出の個性丸出し*2なのに浮いていない。作画監督や原画にも山内作品によく登板するアニメーターがそろっていた。けっこう荒々しいカットが多い。


物語だけを素直に読めば、家族から抑圧された過去の回想と、出会った子供からの赦し、そして現在に向きあうまでを描いただけの展開。つまり、ここ数回で描かれてきたことの反復ではある。

しかし傷ついた指の謎解きのような物語の道筋が明確で、表現主義な演出で飾られても予備知識があるため内容が理解しやすく、むしろキャラクターアニメとしての楽しみやすさへ繋がっていた。

[]『ルパン三世 血の刻印〜永遠のmermaid〜』

テレコムアニメーションがアニメーションの実制作を担当した2時間SP。

3DCG背景や背景動画を活用して、縦横無尽に空間移動するカメラが面白い。中盤と後半のアクションは作画も堅実かつ派手で、奇をてらった構図で楽しめた。

キャラクターデザイン総作画監督をつとめた佐藤好春*3は影の少ない、描線もさっぱりした、クセのない作画が魅力的。シンプルなデザインが激しいアクションを映えさせる。


EDクレジットを見る限りでは、演出からアニメーターまで、メインをほとんどテレコム関係者でしめているようだ。近年のテレコムは海外作品を手がけることが少なくなっているが、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』等の国内作品に参加して高い基礎力の健在ぶりを見せている。滝口禎一監督も『空の境界 第四章〜伽藍の洞〜』で監督に抜擢された後にテレコムへ復帰したアニメーターだ。

2007年でテレコムが制作を担当したSPは、作画が堅実なだけに、コンテのつまらなさが足を引っぱっていた*4。今回は最近の国内アニメに深く参加した経験が活かされているのかもしれない。

全体としても、伝奇要素とか不老不死とか人間の怪物化とかアクション描写の凄惨さとか、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』を参照したようにも感じられる。そういえば今SPで脚本をつとめた土屋理敬も各話脚本で参加していた。

もちろん比較するとSFや伝奇考証のようなディテールは色々と雑で、伝説を引っぱるならもっと説得力が高い史料も探すべきとは感じたが、『ルパン三世』は設定がもともと粗い作品なので期待しすぎてもしかたない。


物語は、プログラムピクチャーとして基本を押さえていった内容。

90年代以降のSPはレギュラーキャラクターいじりを多用して自己パロディが目についたが、今回は最大公約数的なキャラクター描写を踏まえて逸脱せず、安心してアクションを楽しめる。ちゃんと銭型警部にも見せ場のアクションが割りふられ、間抜け一辺倒な描写が多い過去のアニメ化に違和感を持っていた原作読者としても納得できた。

かわりにゲストキャラクターにドラマが集中して展開が重たくなったり、そのゲストキャラクターの回想が卑近すぎる題材で『ルパン三世』らしさを感じなかったり、敵が小物ばかりというバランスの悪さも見受けられたりしたが、レギュラーをふくむ各キャラクターがかかえた葛藤は結末までおおむね解決されている。きちんとテーマや設定は消化しているので、全体として悪い脚本構成ではない。初代ルパンがえた宝など、それらしいオチもついていた。

[]時間を夏季と勘違いしていた。

どうするか考えていたのに、鶴と竜の頭部だけで終わってしまった。しかも後者はうまくない……

*1:主に80年代に流行した、メカニック等の金属光沢や影を曲線で表現した作画技法

*2:説明的なロングショットを使用せず、身体の一部分をクローズアップしたカットを素早く切りかえてアクションを表現。白く色が飛んだ光景、等々。

*3:個人的には傑作防犯ビデオ『kidnap』の仕事が忘れがたい。

*4:感想はこちら。http://d.hatena.ne.jp/hokke-ookami/20070728/1185664740