法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ベルヴィル・ランデブー』

世界で絶賛されたフランスのアニメ映画。77分と、長編映画としては尺が短め。GYAO!で月末まで無料配信中だ。
http://gyao.yahoo.co.jp/p/00968/v00040/
序盤は方向性がつかめなかったが、パワフルな老婆のキャラクターに萌えればいいのだと気づけば、クライマックスまで一直線。コミカルで娯楽性の高いアートアニメーションとして、単純に楽しめた。物語やキャラクターの方向性は、日本でいうと映画『クレヨンしんちゃん』に近いかな。
台詞は極めて少なく、映像の力によって物語をつむいでいく。その映像も説明的な描写ではなく、リフレインされる日常の風景や、ゲテモノ料理などのサブカルっぽいギャグを通して、自然と理解させてくれる。


美しくデフォルメされつつ描きこまれた背景美術、音楽にあわせたキレッキレのミュージカル作画、犬の動作や自転車レースでのデッサンがとれた筋肉作画……さらに実写や3DCGを取り入れつつも、全てのカットが一枚の絵として完成されている。
ただ、クライマックスの大立ち回りが、日本のスピーディーな作画になれた人間としては、もたついているように感じられた。同じようにアート性の高い作品であっても、湯浅政明監督の映画『マインド・ゲーム』等と比べれば、クライマックスの勢いに差があることが明らか。坂道を駆けおりるチェイスシーンが来ると期待してしまったのがよくなかったのかもしれない。