法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『キルラキル KILL la KILL』第一話 あざみのごとく棘あれば

ガイナックスから別れたトリガー制作による、オリジナルTVアニメ。
生徒会長から与えられた制服で、階級的に力が決められる学園。そこに、制服を切り裂けるような巨大なハサミを手にして、復讐のためふりまわす少女が転校してくる。


個人が階級制度に心意気でいどむアニメのように見せて、主人公がふるう力は因縁と偶然で入手したもの。少なくとも初回に敵と戦って勝つためには、熱血でも作戦でもなく、目に見える物質的な道具が必要だった。
敵にかなわないと思いつつ生身であらがって、その後に入手した力で敵を討つという段階を踏んでいない。中島かずきシリーズ構成が参加していた『仮面ライダー』シリーズのように、敵の力を奪ったわけでもない。いったん地下に落ちて復活するという、神話の黄泉帰りのような通過儀礼だけで入手する。それが一見した熱血ぶりと違う、不思議な冷たさを生んでいる。
ただ、だからこそどのように物語を転がしていくのか興味深い。先の情報が明かされていないオリジナルストーリーの楽しさ。


初回の映像は、止めたりスライドですませる部分と、巨大テロップで説明する部分と、ぐりぐり動く作画で楽しませる部分にくっきりわかれる。
わりとアニメーションとしての冒険はしておらず、スタッフが過去作品で見せた延長ではあった。しかし省力した場面と動かす場面を大きくわけていることで、映像にメリハリが生まれていて、恐れていたほど飽きがこなかった。