法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『ビートたけしの禁断のスクープ大暴露!!超常現象[秘]Xファイル』

今年は、テレビ朝日の屋上へUFOを呼び出し続けながら、世界各地のうさんくさい映像を紹介したり、超能力パフォーマンスで古典的な数字当てをさせたり、ブルガリアの吸血鬼研究を追う。


肯定派と否定派のバトルという面白味はすっかり後退してしまったが、各パートで何を見せたいかがはっきりしている。総集編でしかなかった昨年より楽しめた。
『ビートたけしの超常現象(秘)Xファイル』超ド級オカルトショック永久保存版!15周年総決算だ!大感謝祭SP - 法華狼の日記
自主制作を作ろうとしてた学生たちが撮った怪物とか、イギリスの空を舞うドラゴンとか、紹介される映像はどれも特撮っぽくてバカバカしく、逆に安心して楽しめる。超能力パフォーマンスも古典的な手品の延長っぽいから、首をかしげる必要はない。UFOを呼び出す風景だけは投げっぱなしで、光る点がモニターに映っただけで喜べるものかと首をかしげたが。


最大の見どころは、『相棒』タイアップで及川光博ブルガリアへ行き、吸血鬼研究を取材したパートだ。
遺跡から掘り出された白骨と杭を見せてもらったり、修復されたばかりの吸血鬼の復元像を内外のメディアで初公開させてもらったりしていた。ブルガリアの伝統的な風習という吸血鬼退治の儀式も面白い。3本の糸巻き棒を杭の代わりに墓へ刺し、ニンニクを埋め、墓穴周りを飾った紙切れを燃やしていく老婆の姿は、なかなか素朴で絵になっていた。
もちろん超常現象を起こすような吸血鬼が実在したという話ではなく、文化風習や遺跡の真面目な研究である。及川光博も「民俗学」と口にしたりする。もともと最も古い吸血鬼伝承がブルガリアにあるという話題は、ナショナルジオグラフィック等でも記事になっている*1。考古学者や民俗学博士は、はたしてバカバカしいバラエティ番組と知って出演してくれたのかどうか。