法華狼の日記

他名義は“ほっけ”等。主な話題は、アニメやネットや歴史認識の感想。ときどき著名人は敬称略。

『残響のテロル』02 CALL & RESPONSE

報道を聴いている少年が沢田研二に自ら言及したり、かなり意識的に既存の作品をなぞったような作り。スピンクスという自称そのままのクイズが出されたり、それを解こうと推理する刑事パートが長かったり、画面だけが派手なゲームみたいな展開。何が飛び出すか、どこまでテロを描くかわからなかった初回より、良くも悪くも安心してTVアニメとして見ていられる。
その安全さを象徴するように、前回の都庁爆破において、死者が少数どころか皆無という説明が出てくる。もしも最初から建物だけ爆破すると話していれば今回に驚くことはなかったが、しかし前回の不穏な空気も生まれなかっただろう。前回にサスペンスが感じられたのは、少女が命の危機にさらされた上、少年たちの共犯者にされてしまったからだ。


今後もテロで死者は出さないのか、今回に死者が出なかったのは少年たちの意図か。
しかし考えてみるとテロの実態はさまざまで、対象が無差別でないテロも多いし、犯罪ですらない政治活動までテロと呼ばれることがある。破壊対象を建物にしぼってもテロとされることは変わらないだろう。
異教徒やテロリストといった外部ばかり虐殺者と恐れてきた世界が、自由を求める先進国と考えて支援した地域で武力衝突が起きている。それでも自己同一化された国家のテロルには目を閉ざしてしまう。そういう現在ならではの作品といえなくもないかな。


ちなみに同じ渡辺信一郎監督の『カウボーイビバップ』や『サムライチャンプルー』で主人公まわりが戦った時、わりとあっさり相手を傷つけ殺してしまっていた。SFや時代劇と、現代日本を舞台にした今回は違うということかもしれないが、おそらくメインスタッフは殺人を忌避しているわけではないと思うのだが。